埋没法の糸ってどうなるの?糸にまつわる疑問と回答

埋没法は糸をまぶたに埋め込んで二重にする方法です。切る手術などと比べてお手軽にできることから、受ける人も増えています。

ただ、糸を使うと言ってもどんな糸?身体に入れて大丈夫?糸はいつか取り出すの?クリニックによって糸は違うの?など色々な疑問があると思います。

このページではそれらの疑問にできる限りお答えしていきます。

1.埋没法で使用する糸はどうなるのか?

埋没法で使用する糸は医療用に作られたものを使用します。医療用の糸には大きく分けて2通りあり、「溶ける糸」と「溶けない糸」です。

埋没法で使用するのは基本的に「溶けない糸」です。溶ける糸では数か月で緩んで糸が取れてしまうでしょう。

溶けない(体の中で分解されない)糸ですので、一度入れたら取り出さない限りはずっとそのまま入っています。細い医療用の糸ですので、糸自体が人体に悪さをするという事はほとんどありません。

2.埋没法が取れるって聞いたけど、糸はそのままなの?

上で説明したように、何らかの理由で二重が緩んで取れてしまっても、糸はまぶたに残ったままです。

取り出さなければ二重が取れたからと言って、勝手に取れません。

基本的には、糸が悪さをする確率は低いので放置しておく場合がほとんどですが、簡単に小さい穴から抜糸できそうであれば抜いてもいいと思います。

恐らく。二重が取れてしまった人は、再度埋没法を考えると思いますので、その手術の時に簡単に抜けそうであったら抜いてもいいのではないでしょうか?

埋没法の抜糸について詳しく知りたい方は以下のリンクをお読みください。

埋没法の抜糸すると元に戻る?抜糸するかの判断基準

3.糸が出てくることはないの?

まれにあります。よくあることではないので、確率は難しいですが感覚として0.1%程度の確率ではないでしょうか。

糸が出てきてしまった場合は放置しても戻りませんので抜くしかありません。まぶたに黒や青色の糸っぽいものが出てきたら手術を受けたクリニックを受診しましょう。

痛みはほぼありませんので放置している方もいるのですが、早めに行った方が良いと思います。

4.糸や糸玉が透けて見えることはないなの?

あります。糸が透けることはほんとによく見ないとないですが、糸玉が透けてしまうことはあり得ます。

糸は結ばないと止まりませんので、どこかで結び目を作らなければなりません。多くの場合は糸玉が皮膚の真下に来るようにします。

ですので、中には糸玉が透けて見えたりポコッと膨らんで気になったりする場合があります。

糸玉が出ないようにするには、例えば糸を強く結べば奥の方に埋まって見える可能性は低くなりますが、強く結んだ糸が埋まり過ぎれば二重が薄くなる可能性もあります。また、一時的ですが腫れも大きくなります。

ただし、手術後半年ほどかけて目立たなくなっていくことも多いです。

4-1.糸玉が見えない方法

糸玉が見えない方法もあります。糸を結ぶ位置をまぶたの裏側にする方法です。

当院でも行っておりますが、やはりメリットがあるということはデメリットがあるというのが普通です。

例えば、糸玉が裏側なのでゴロゴロする可能性が高くなるのではないか、何か問題があった場合に抜糸は行いにくくないのか。などが考えられます。

5.糸が原因で痛くなることはないの?

糸が瞼の裏側から出てきたり、糸を通した場所が変形することによって眼球を刺激した場合に痛みを起こすことがあります。ちなみに瞼の表から出てきた場合、痛みを伴うことはほとんどありません。

ゴロゴロして痛いとき、目薬で治まることもありますが、繰り返すようであれば抜糸しなければなりません。

また、診察で糸が出ていているのであれば抜糸しなければ痛みは治まりません。

6.糸の違いってあるの?

埋没法で使用する糸は、どこのクリニックに行ってもさほど変わりません。糸の種類や違いは「太さ」「材質」で決まります、

医療用の糸の規格(太さ)は1-0、2-0、、、、、7-0、8-0のように表現されます。埋没で使用される糸は大体が7-0の太さの糸です。

7-0というのは、直径0.050㎜~0.069㎜の範囲です。メーカーによって多少の違いはありますが、非常に小さな範囲というのが分かるでしょう。

また、使用されるのは「ナイロン」もしくは「ポリプロピレン」という糸がほとんどです。この二つはナイロンの方が若干硬く、ポリプロピレンの方がコシが強いです。ナイロンは硬いのでクセがつきにくく、ポリプロピレンはクセが付きやすいという特性があります。

この二つは、医師の好みの差というくらいです。ですので、7-0ナイロンか7-0ポリプロピレンが使われますが、埋没法の糸はこの糸に集約されます。

ナイロン糸は時間とともに弱くなる?”

確かにナイロン糸は非吸収性の糸ですが、体内で加水分解され弱くなると言われています。それまでにはかなりの時間を要しますが。

そして、実験データでは10カ月目のポリプロピレン糸 の結節強度が90%以上であるに対し,ナイロン糸は70~86%に落ちるとの報告もあります。

ただし、埋没法が持続していると言うのは糸がずっと引っ張りつ続けているのか?糸の周りにできた組織があれば糸の張力がなくなっても持続しているのか、などがハッキリしないので、やはり、ナイロン糸が良いのか、ポリプロピレン糸が良いのかは分らないと思います。

*東 術後15年目にモノフィラメント血管縫合糸の劣化を認めた 吻合部仮性動脈瘤破裂の 1 例 . 日血外会誌  16:619–623,2007 

クリニック独自の糸なんてものはありえません。あるとしてもメーカーにパッケージをつけてもらったり、1袋の中の数量を変えてもらったり、自分の好きな針をつけてもらうとかで、糸が変わることはないのです。

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