脂肪吸引の手術に興味はあるけれど、痛みが怖くて心配…という方は多いのではないでしょうか?
どれくらい痛いのか、我慢できる程度なのか、いつ頃まで痛みが続くのか、仕事や家事はできるのか、痛みが少ない方法はあるのかなど、痛みに対する疑問や不安があるために、なかなか手術をする勇気が出ないという方もいると思います。
脂肪吸引の手術では、個人差があるものの、少なからず痛みは出るものです。お顔・二の腕は範囲が狭いので痛みは強く出ませんが、逆に範囲が広いお腹や足は強い痛みが出やすいです。
今回は、部位別に痛みの程度やピーク、持続期間、痛みが強いときの対処法をご説明していきます。これらを事前に知っておけば、痛みに対する不安や恐怖心はなくなるでしょう。
特に、痛みに弱い方や怖がりな方は、ぜひこのページを参考にして下さい。
2015/8/5公開 2017/12/11加筆・修正
目次
1.脂肪吸引の痛みについて
痛みは個人差が大きいです。同じ痛みでも人によって感じ方がかなり違ってきます。
脂肪吸引に関係する痛みには「手術時の痛み」「手術後の痛み」ガありますので、それぞれ解説していきます。
2.脂肪吸引手術中の痛み
手術中は痛みが取れるようにどこのクリニックであっても麻酔を使用しますので、痛みはほとんど感じないか、痛みがあってもたまに感じる程度、少し感じる程度と言うのが通常です。
ですので、手術前の注射などは痛みを伴いますが、手術中の痛みに関してはそんなに心配しなくてもいいと思います。
また、麻酔を使用する事によって痛みを取る訳ですが、クリニックによって使用する麻酔の種類が違うことがあります。これらの違いは6章で詳しく解説します。
*中には、局所麻酔(脂肪吸引の場合チュメセント麻酔と言う)を使用するのみで痛みが大きいクリニックもあるようです。
3.脂肪吸引手術後の痛み
手術後の痛みは「筋肉痛のような痛み」です。「動くと痛い」「触られると痛い」と言う痛みが続きます。
基本的にはクリニックから出される痛み止めで対応します。もし処方された薬が無くなってしまって、痛みが続いているようであれば市販の「ロキソニンS」を飲んでいただく事も可能です。ただし、用法容量は守ってください。
各部位ごとに痛みの程度やピークは違います。下の表にイメージを記します。濃い色は痛みがあるポイントで、薄い色は徐々に痛みがなくなってほとんど気にならなくなってきている時期です。
顔の脂肪吸引の痛みの経過
痛みは出ますが、クリニックから処方される痛みどめでほとんど解消できる程度です。期間は1週間ほどです。
日常生活が制限されるほどの痛みの程度ではありません。フェイスバンドによる圧迫や腫れ、内出血の方が気になると思います。
顔の脂肪吸引について痛み以外にも「腫れ」「ダウンタイム」「手術の効果」など詳しく知りたい方は「【顔の脂肪吸引】気になる腫れ、経過、値段、失敗の全て」をお読みください。
二の腕の脂肪吸引の痛みの経過
痛みはありますが、痛み止めを飲めば手術後翌日からお出かけできる程度です。痛みのピークは3日以内で、1週間くらいで痛みは落ち着きますが、「物が当たると痛い」「触られると痛い」と言う状態は2週間~1カ月ほどでなくなります。
肉体労働でなければ、手術後2-3日のお休みで仕事復帰は十分可能です。
二の腕の脂肪吸引について痛み以外に、ダウンタイムや効果、手術後の過ごし方など詳しく知りたい方は「医師が教える二の腕の脂肪吸引で絶対後悔しないための全知識」をお読みいただけるとより詳しく二の腕の脂肪吸引がイメージしやすくなります。
太もも全体の脂肪吸引の痛みの経過
広範囲になるので、そのぶん痛みも大きく出ます。クリニックなどから処方される痛みどめを服用しても痛みは残るでしょう。痛みのピークは3-4日です。
お休みは3-4日あれば痛み止めを使用しながら可能です。余裕を見た場合は1週間のお休みがあれば十分です。
より詳しく太ももの脂肪吸引について知りたい方は「脂肪吸引で太ももを細くする前に知っておきたい7つの事」をお読みいただくと、手術前や手術後、効果のイメージが付きやすくなります。
お腹の脂肪吸引の痛みの経過
お腹全体の場合は範囲も広くなるので痛みも大きくなります。お腹の広い範囲に筋肉痛のような痛みが出ます。太ももよりもお腹の方が楽ではあります。
痛みのピークも3日程度なので、3日程のお休みで大丈夫でしょうが、痛み止めを使用しながらの仕事になります。余裕を見た場合は1週間弱のお休みが必要です。
お腹の脂肪吸引について詳しく知りたい方は「お腹の脂肪吸引を安心して受けるための効果・リスク・注意点」をお読みいただくとお腹の脂肪吸引について痛み以外にも詳しく知ることが出来ます。
ふくらはぎの脂肪吸引の痛みの経過
痛みはそれ程ではありません。クリニックから処方される痛み止めでかなり痛みが落ち着くと思います。手術後に2-3日のお休みがあればいいでしょう。痛みよりもむくみが大きく出るので硬い靴は履きにくいと思います。
ふくらはぎの脂肪吸引の痛み以外にも知りたい方は「憧れの細いふくらはぎに!脂肪吸引の効果・リスク・料金」をお読みいただくと、痛み以外の経過や効果も分り易くなります。
3.手術後の痛みをやわらげる対処法
3-1.有効な痛みどめの使い方
基本的にはクリニックから処方される痛み止めを使用する事になりますが、使用に際して注意することがあります。
・早めに使用する
我慢できないような痛みになってしまうと効きにくいので、痛みが出てきたら早めに使用するようにしましょう。
しかし、痛み止めを使用する間隔は指示されている時間を守りましょう。同じお薬であればだいたい、4-6時間は空ける必要があります。
・空腹は避ける
痛み止めに使用されるお薬の多くは、胃に負担がかかります。少しでもいいので何か食べてから服用するようにしましょう
・眠気・吐き気などが出るお薬もある
強めのお薬は眠気や吐き気が出る場合もあります。手術後のお薬の説明をしっかり聞いておきましょう。また、これらの薬を服用した後の車やバイクの運転は控えてください。
3-2.圧迫はしっかり行う
圧迫固定をしっかりしている方が痛みは少なくなります。圧迫していると筋肉の細かい動きや動いた時の振動が抑えられるので痛みが少なくなります。
4.受診したほうが良い痛み
脂肪吸引後の痛みは筋肉痛のような痛みです。それ以外のひどい痛みは手術を行ったクリニックに相談してみてもよいでしょう。特にお腹の脂肪吸引の手術後に筋肉でなく、お腹の中にひびく様な痛みがある場合は注意が必要です。
5.脂肪吸引の種類による痛みの違い
脂肪吸引の手術は基本的に同じなのですが、日本では使用する機械によって脂肪吸引の名前が変わってきます。代表的なものはベイザー脂肪吸引でしょう。
では、使用する機械によって痛みに違いはありません。あえてどっちの方が痛いかと言うとベイザー脂肪吸引の手術後の方が痛みを感じる可能性が大きいです。実際にベイザー脂肪吸引のメーカーがスポンサーをして行った実験の結果でも以下のような違いが出ています。
*患者の主観的判断 0:全く痛くない 5:ひどい
*無感覚と言うのは、触っても皮膚に鈍い感じが出ている状態です。
Nagy MW, Vanek PF Jr : A Multicenter, Prospective, Randomized, Single-Blind,Controlled Clinical Trial Comparing VASER-Assisted Lipoplasty and Suction-Assosted Lipoplasty.Plast Reconstr Surg.2012;129:681e-689e
ベイザー脂肪吸引というものが痛みが少ないとか、ダウンタイムが短いと思われている方もいますが、そうではありません。上の表を見て頂いて分る通り、痛みについては同程度か、すべての状態でベイザー脂肪吸引を行った方が痛みを強く感じているのが分ります。
ベイザー脂肪吸引についてより詳しく知りたい方は「ベイザー脂肪吸引とは?術前に必ず読んでおきたい効果の違い」をお読みいただくと、ベイザー脂肪吸引があまり意味のないものという事がお分かりいただけると思います。
またシリンジ脂肪吸引というものもありますが、これも吸引圧をシリンジで作っているだけなので痛みについては変わりません。シリンジ脂肪吸引について詳しく知りたい方は「シリンジ脂肪吸引は選ぶ必要なし!医師が解説する5つの理由」をお読みください。
6.脂肪吸引手術時の麻酔の方法
脂肪吸引の痛みについて説明してきましたが、最後に痛みを抑えるための脂肪吸引手術の麻酔について解説します。
クリニックの考え方によって、実施する麻酔方法は異なりますが、手術中の痛みをしっかり抑えなければ、痛みによって手術中に動いてしまい脂肪吸引がしっかり行えないこともありますので、手術中は痛みをしっかり取り除くことが重要です。
それでは、部位別の麻酔方法について解説します。
最低限必要な麻酔は局所麻酔です。しかし、局所麻酔を行う注射の痛みが気になるかたも多いです。そのため、局所麻酔を行う前に静脈麻酔といって点滴からお薬を注入し、痛みを取ったり、意識を薄くする方法が行われます。
これらの小範囲の脂肪吸引では局所麻酔(チュメセント麻酔)のみでも、吸引するときの痛みは取れてしまいます。ですので、問題となるのは局所麻酔をする時の痛みです。
静脈麻酔と言って点滴からお薬を注入し、痛みを取ったり、意識を薄くする方法が使われます。
吸引している間は局所麻酔によって痛みは取れています。静脈麻酔を継続して使用するのは手術中に不安が強い人や怖い人のために、眠って、ボーっとするために使います。
*静脈麻酔を使用しないで脂肪吸引をするクリニックもあります。メリットは静脈麻酔によって呼吸が小さくなる事がないという事で、デメリットは痛みです。そのため、痛みを抑えるように麻酔液のpH(ペーハー)を調節するなどの工夫をしているクリニックもあります。それでも、痛みは残ります。
お腹周り全体や太もも全体の広範囲の脂肪吸引
お腹周り等広範囲の脂肪吸引の場合は、局所麻酔のみでは痛みが取れないことが多いです(局所麻酔に使用上限があるため)。より痛みを回避するために、硬膜外麻酔という麻酔を行う場合があります。
硬膜外麻酔とは背中から神経の近くに注射をして強力に痛みを抑えてくれる麻酔です(背中に注射する時、少し痛いです)。この硬膜外麻酔は意識を薄くする効果はありません。ですので、硬膜外麻酔を使用する時は静脈麻酔も軽く使用することが多いです。
下の図のようなイメージです。
クリニックの考え方によって使用する麻酔方法は違います。リスクがあるので硬膜外麻酔や眠るような麻酔は使用しないというところもあります。静脈麻酔のみだと、術後の気分不良が大変という事で硬膜外麻酔を使用する所もあります。
静脈麻酔の痛み止めでも、長時間痛みを取る事はできますが、静脈麻酔のみで長時間の麻酔を使用すると、手術後の気分不良・吐き気などが出る可能性が高くなります。
しっかりときれいに吸引するためには手術中の痛みを抑えて、痛みによって手術中に動くことがないような状態で手術した方が仕上がりが良いです。
7.まとめ
美容整形の手術には痛みが付き物かもしれません。痛みは人によって感じ方に違いがあり、解説するのが難しくもあります。痛みについて不安な方も多いと思いますが、心配な方は手術前のカウンセリングでしっかり聞いておきましょう。痛みに対してちゃんと答えてくれて、配慮してくれるのがいいドクターの一つの要素です。