目の下の脂肪注入・FGFによるしこり|原因・治療法・修正手術を症例で解説

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【著者】渋谷高野美容医院
院長:高野 洋一

脂肪注入やFGF治療の後に、目の下にしこりや不自然な膨らみが生じることがあります。

「真顔ではそれほど気にならないのに、笑うとポコッと膨らむ」

「クマ治療を受けたはずなのに、むしろ目の下の膨らみが目立つようになった」

「触ると硬い部分がある」

といった症状で相談に来られる方もいらっしゃいます。

目の下は皮膚が薄く、眼輪筋や骨との位置関係も特殊なため、一度このようなしこりや凹凸が生じると、簡単には修正できない場合があります。

この記事では、

・目の下のしこりにはどのようなタイプがあるのか
・なぜ笑うと膨らんで見えることがあるのか
・どのような治療方法があるのか
・修正手術では何が難しいのか

について、実際の症例を交えながら解説します。

先に結論

目の下の脂肪注入やFGF治療後に生じるしこり・不自然な膨らみは、できている位置によって見え方や治療の難しさが大きく異なります。

大きく分けると、

・tear troughより上側にあるタイプ
・tear trough周辺から下側、特に眼輪筋内に入り込んでいるタイプ

があります。

前者は比較的切除しやすい場合があります。

一方、眼輪筋内に入り込んでいる場合には、笑ったときに不自然な膨らみとして現れたり、切除する際に遠い位置にあるため難しかったり、術後の眼輪筋への影響を考慮する必要があったりするため、修正手術が難しくなります。

また、しこりを除去すれば必ず元通りになるわけではありません。

除去した部分が凹んでしまわないか、目の下の動きに影響しないかなども考えながら治療する必要があります。

🎥 実際の修正症例を動画で見たい方へ

脂肪注入後に目の下のしこりが生じた5症例について、術前の状態から修正後の経過まで動画で詳しく解説しています。

▶ 脂肪注入後のしこり修正5症例を動画で見る

1,目の下のシコリの2つのパターン

目の下のシコリには2つのパターンがあります。目の下の骨(正確にはtear troughという凹み)よりも上側にシコリができるパターンと下にシコリができるパターンです。

tear troughとは目の下の凹みの部分で下の図の位置です。

黄色矢印:tear trough 凹みの位置

赤線:骨の位置

しこりがこのtear troughより上側にあるのか、周辺から下側にあるのかによって、見え方や治療の難しさが変わってきます。

1-1,2つのタイプの違い

パターン1 パターン2
主なしこりの位置 tear troughより上側 tear trough周辺~下側
関係する組織 眼窩隔膜前方など 眼輪筋内・その周囲など
見え方 真顔でもクマや膨らみのように見えることがある 笑ったときに膨らみが強くなることがある
修正 比較的切除しやすい場合がある 難しくなる場合がある
注意点 除去後の凹み 眼輪筋への影響・術後の拘縮など

1-1,tear troughより上にシコリができる例(パターン1)

tear troughは、目の下の骨の縁よりやや下に存在します。

このtear troughより上側、つまり本来の目袋に近い位置に脂肪などのボリュームが加わってしまうと、目の下の膨らみが強く見えることがあります。

そのため、「クマ治療を受けたのにクマが改善していない」あるいは、「治療前より目袋が大きくなった」ように見えることがあります。

解剖学的には、眼窩隔膜より前方など、本来あまりボリュームを増やしたくない位置に注入された組織が存在している状態です。

術前:一見すると通常の目の下のクマ・目袋のように見えますが、脂肪注入後に生じた膨らみが大きく影響しています。

術後:しこりとなっていた部分を切除し、必要に応じて眼窩脂肪を移動するなどして目の下の凹凸を調整しています。

1-2、tear troughより下にシコリができる例(パターン2)

これは上の例よりも下側に脂肪などが注入された場合です。

この場合は目の下の筋肉(眼輪筋)の中に脂肪が入った状態になります。この場合は、真顔では気にならないことが多いですが、筋肉の中にシコリがありますので動く(笑う)とポコッと変な膨らみが生じます。

下の方は真顔では問題ありませんが、笑うとポコッと膨らんでいます。

術前:笑うと不自然な膨らみが出ます。

術後:シコリを切除して、無くなった脂肪で組織を補充しています。

このような「笑ったときだけ目立つ膨らみ」は、目の下のしこりを診断する上で重要なポイントの一つです。

🎥 実際にはどのように見える?

動画では、脂肪注入後のしこりがどのように見え、修正後にどの程度変化するのかを5症例続けて紹介しています。

▶ 実際の症例を見る(3分54秒~)

2,なぜシコリが出来てしまうのか?

脂肪注入自体は顔のボリュームを補う方法として広く行われています。

一方、目の下、特に内側は他の顔面部位とは少し異なる解剖学的特徴があります。

主な理由として、

1.皮膚が非常に薄く、深部の凹凸が表面から分かりやすい
2.皮下脂肪が少なく、注入したものを隠す余裕が少ない
3.内側のtear trough付近では眼輪筋と骨との付着関係が特殊

という理由があります。

Haddockらによるtear troughの解剖学的研究では、tear trough部分では眼輪筋が骨に直接付着していることが報告されています。

つまり、この部分には顔の他の部位のように「筋肉の下に十分な脂肪を入れられるスペース」が広く存在しているわけではありません。

そのため、tear troughに深く脂肪やフィラーを注入しようとしても、実際には眼輪筋内や筋肉の付着部周辺に入る可能性があります。

少量が分散して存在している場合には問題にならないこともあります。

しかし、一定量の脂肪が限局して定着したり、不均一なボリュームとして残ったりすると、笑ったときの筋肉の収縮によって膨らみが強調されることがあります。

また、脂肪注入では注入した脂肪がすべて同じ割合で定着するわけではないため、最終的なボリュームを完全に予測することも困難です。

FGF治療後でも、目の下に硬結や不自然なボリュームが生じ、修正治療が必要になる場合があります。

これらは目の下を詳細に解剖して報告している、Haddock先生の報告にも以下のようにあるようにあります。

「Any attempts to place fat or filler deep to the muscle along the tear trough are probably, in actuality, placing the material within the muscular origin of the orbicularis.」

「脂肪やフィラーをティアトラフに入れようとすると、筋肉内や筋肉の付着部に入るだろう」

3,目の下のしこりにはどのような治療法がある?

この記事に辿り着いた方であれば他でも目の下のシコリについて調べていることと思います。

しかし、目の下のシコリを治療しているクリニックは決して多くはなかったでしょう。なぜなら非常に難しいからです。

治療法としては以下のようなものが挙がりますが、しこりの性状や原因によっては注射治療などが検討されることもあります。

ただし、すでに形として残っているしこりの場合、十分な改善を得るためには切除が必要になることが多いです。

  • 脂肪溶解注射
  • ステロイド注射(ケナコルト)
  • 抗がん剤の注射
  • 切除

やはり根本的には切除しないと取れないですが、やってくれるところも少ないです。

しかも、ビフォーアフターの写真も少ないです、3-6か月後の状態を確認したいと言っても数が少ないです。

 

下の動画では、脂肪注入後の目の下のしこりを修正した5症例について、術前の状態から修正後の経過まで実際の症例写真を使って解説しています。

**「どこまで改善できるのか」「なぜ修正手術が難しいのか」**も含めてご覧いただけます。

※症例解説は3分54秒~です。

4,実際のしこり除去はどのように行うのか?

ここまで、しこりができる位置や治療方法について説明してきました。

ただ、実際の修正手術では、

「しこりを見つけて、その部分だけを取れば終わり」

という単純なものではありません。

しこりがどこにあるのか、眼輪筋との関係はどうなっているのか、除去した後に凹みが生じないかなどを考えながら治療する必要があります。

上で紹介した症例以外にも、しこりの位置や見え方、修正方法は患者さんによってさまざまです。

下の動画では、脂肪注入後の目の下のしこりを修正した5症例について、

・術前にどこが問題だったのか
・どのように修正したのか
・術後どこまで改善したのか
・なぜ修正手術が難しいのか

を、症例写真を見ながら解説しています。

【ここにYouTube動画を埋め込み】

▶ 5症例の解説は3分54秒~

4-1,どこまで良くなるか?!

これは非常によく聞かれる質問です。

基本的にはシコリを切除することで変な膨らみは無くなる場合がほとんどです。

術後にわずかな膨らみが残る場合もあります。

それが残存したしこりなのか、長期間の膨らみによって周囲組織の形態が変化しているためなのかなど、判断が難しい場合もあります。

4-2,凹まないか?!

これも重要な問題です。

しこりとして存在していたものも、見方を変えれば目の下のボリュームの一部です。

それを除去するわけですから、切除後に凹みが目立つ可能性があります。

そのため当院では、必要に応じて眼窩脂肪を移動させ、目の下の凹凸を調整することがあります。

ただし、過去の手術ですでに眼窩脂肪が切除されている場合には、移動に利用できる脂肪が十分に残っていないこともあります。

つまり修正手術では、

「膨らみを取ること」と「取りすぎて凹ませないこと」の両方を考える

必要があります。

4-3.術後にたれ目になったり、笑いにくくなることはある?

特に眼輪筋内のしこりを扱った場合には、術後の炎症や腫れが強く出ることがあります。

その影響で、一時的に下まぶたが下方向へ引っ張られたり、笑ったときに目の下が動かしにくく感じたりすることがあります。

ピークは術後早期ですが、すぐに完全に元に戻るとは限りません。

状態によっては、自然な動きに戻るまで数か月以上必要になることもあります。

この点も、通常の初回の目の下の手術とは異なる、修正手術特有の難しさの一つです。

4-3,たれ目、笑いにくい

シコリが筋肉内にある場合は特に術後の炎症が強く起こります。その結果、目の下が引っ張られてたれ目になったり、笑いにくいという状況が起きます。

ピークは1-3週間ですが、すぐに治るわけではない場合もあり半年やそれ以上時間が必要になることもあります。

4-4,そのほかの一般的なリスク

その他にも、
・腫れ
・内出血
・左右差
・凹凸
・感染
・結膜浮腫
・下眼瞼の形態変化
・残存するしこり
・目の下の凹み
など、目の下の手術に伴う一般的なリスクがあります。
過去に脂肪注入や他の目の下の手術を受けている場合には、癒着などによって初回手術より難しくなることがあります。

5,よくある質問

Q.脂肪注入後のしこりは自然に治りますか?

手術直後の腫れや硬さと、長期間残っているしこりは分けて考える必要があります。

術後早期の硬さであれば時間とともに改善することがあります。

一方、十分な期間が経過した後にも明らかな膨らみやしこりが残っている場合には、自然には大きく変化しないこともあります。

いつ治療を受けたのか、真顔でも目立つのか、笑ったときだけ目立つのかなどを確認して判断します。

Q.笑ったときだけポコッと膨らむのはなぜですか?

しこりが眼輪筋内やその周囲に存在している場合、笑ったときに眼輪筋が収縮すると、しこりを含んだ部分が一緒に盛り上がって見えることがあります。

真顔ではそれほど目立たないのに、笑ったときに急に膨らむ場合には、このような状態を考えます。

Q.脂肪溶解注射やケナコルトで治せますか?

しこりの性状によって注射治療などが検討される場合はあります。

ただし、すでに一定の大きさで残っている脂肪塊や不自然なボリュームの場合、注射だけでは十分な改善が得られないこともあります。

何がしこりを形成しているのかを診断して治療方法を選択することが重要です。

Q.しこりを取ったら目の下が凹みませんか?

可能性があります。

それまで存在していたボリュームを除去するため、切除後に凹みが目立つことがあります。

そのため、必要に応じて残っている眼窩脂肪を移動させるなど、目の下全体の凹凸を調整しながら治療します。

Q.しこりは全部取り切れますか?

しこりの位置や広がりによって異なります。

特に正常な眼輪筋の中に入り込んでいる場合には、無理に完全切除することが必ずしも最良とは限りません。

正常組織への影響を抑えながら、見た目の不自然な膨らみをどこまで改善できるかを考えて治療します。

Q.修正手術後はどのくらいで自然になりますか?

通常の目の下の手術よりも長くかかる場合があります。

特に眼輪筋内のしこりを扱った場合には、術後の腫れや炎症が強くなり、笑いにくさや下まぶたの引きつれなどが長く続くことがあります。

数か月単位で経過をみる必要がある場合もあります。

6,まとめ

目の下の脂肪注入やFGF治療後に生じるしこり・不自然な膨らみは、できている位置によって見え方も修正の難しさも大きく異なります。

特に眼輪筋内に入り込んでいる場合には、真顔では目立たなくても、笑ったときに不自然な膨らみとして現れることがあります。

また、修正手術では単純に「しこりを取れば終わり」というわけではありません。

しこりを除去した後の凹みや、眼輪筋への影響、目の下の動きなどまで考えて治療する必要があります。

私自身、こうした修正手術を行っている立場から、目の下に脂肪注入やFGF治療を行う場合には、

治療によって得られるメリットだけでなく、しこりや不自然な膨らみが生じた場合の修正の難しさまで理解した上で治療を選択することが重要

だと考えています。

実際にどのようなしこりが生じ、修正によってどの程度変化するのかについては、5症例を動画でも詳しく解説しています。

🎥 ▶ 脂肪注入後のしこり修正5症例を動画で見る

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