
目の下のクマ、膨らんでたるんできている事や凹んできている事に対する処置として、いわゆる「ハムラ法」や「脱脂+脂肪注入」が提案されることがあると思います。
上記どちらが良いのか迷う事もあると思いますが、本来あまり比較にもなるようなことではないと考えています。
確かに膨らみを減らして、凹みを膨らまそうというのは同じ考えなのですが、その方法論は違います。
今回は特に裏側から行う方法を基準に、いろいろな観点から利点、欠点を比較していこうと思います。
1,概要
そもそも脱脂という手術法よりも良いものを求めて、脂肪移動手術(裏ハムラ法など)が発表されて定着しています。脱脂の欠点を補うように発展してきたので「脱脂+○○」ということで比べるものでもないという訳です。
とは言え、解説するうえでは比較があった方が分かりやすいので下の表を作りました。これに沿って比較していきたいと思います。
1-1,手術方法による違い
裏ハムラは膨らんだ脂肪を骨の上に移動し、凹みを膨らませ、膨らみを凹ませます。
脱脂+脂肪注入は膨らんだ脂肪を切除し凹ませ、骨の上の凹みを脂肪注入で膨ら前ます。
裏ハムラはなんだか分かりにくいですね。下の図を参考にしてください。
脱脂+脂肪注入は下の図のようになります。(脂肪の注入は下図よりももっと深いです)
1-2,ダウンタイムの比較
腫れや内出血などは表のとおりで、裏ハムラの方が少し長くなります。
痛みについては個人差がありますが、目の下は裏ハムラの方が少し痛みが大きいと思います。ただし、そもそもそんなに痛がる人は少ないです。
また、脂肪を採取した部位がそれなりに痛いです。
1-3、膨らみへの対処の比較
脱脂で脂肪をしっかり切除した方が凹みやすい傾向にあると考えられます。想像に難くないでしょう。
ただ、凹みすぎた場合に修正するのは非常に困難です。脂肪注入で膨らませる部分と脂肪を切除した部分がずれる事、骨のない部分に後から脂肪等を入れるのは非常に難しいからです。
裏ハムラの方が脂肪を下に移動する。骨を取り巻くようになるので凹みにくいですね。ただ、裏ハムラなら絶対に凹みが目立たないとかそう言うことではないと考えます。
そもそも脱脂では凹みが大きくなりすぎたり、目の上が窪むということが指摘されて脂肪はできるだけ温存した方が良いという流れになってきました。
1-4,凹みへの対処の比較
裏ハムラの方が脂肪をそのまま移動するので脂肪が生き残りボリュームを確保しやすいです。
脂肪注入では一部無くなってしまう、だからと言って入れるにしても限界がある、目頭側は筋肉なのでボリュームが出ると変に膨らむことがあります。
なぜかというと、目頭側の凹み部分は皮膚、筋肉、骨という構造でできており、脂肪がほぼ存在しません。そこに脂肪注入を行うと必ず筋肉内へ入ってしまいます。
ごく少量であれば問題ありませんが、それなりの量の脂肪が筋肉内へ残ると笑った時(筋肉が収縮した時)にボコッと膨らんで変に見えます。これは修正も難しいので注意が必要です。
という点から、「脱脂+脂肪注入」には効果でもリスクでも勝る点がないです。敢えて言えばダウンタイムが少し短いくらいです。
1-5、効果の比較
短期的な真顔のみの評価ではそんなに違いは出ないと考えられます。
ただし、上で引用した脱脂のリスクは1-2年してから顕在化することがあったり、
注入した脂肪が1年程度でも少し減少することがあったり、さらにシコリになった場合、笑顔時に変な膨らみが出来たりと、やはり裏ハムラの方が良いと考えられます。
2,再発について
再発に関してはしっかりとしたデータがありませんが、裏ハムラ法で脂肪の前の膜(眼窩隔膜)の硬い部分やCPFというもので元の脂肪や移動した脂肪をカバーしてあげたほうが再発しにくいのではないかと考えられます。
脱脂でも同様の処置をすることは可能ですが、日本国内で行っているところはほとんどないかと思います。なおこの処置をしようとすると脱脂でも腫れは結構出ます。
3,まとめ
今回は「裏ハムラ」と「脱脂+脂肪注入」の比較について考察させて頂きました。
歴史的な流れとして脱脂からハムラ法へと移行してきた経緯があります。それを無視して、蒸し返して、脱脂+脂肪注入と言い出してもあまり有効な方法でないことは明らかかと思います。
まして、目の下の脂肪注入にはシコリ形成のように取り返しのつきにくいリスクもあります。