体の中でも脂肪量が多く、ダイエットや筋トレではなかなか細くならない太もも。太ももを細くしたい!という希望をお持ちの方は多いです。
そして、モデルさんのように細い足になって、細身のスキニーパンツやミニスカートを履きこなせるようになりたいですよね。
そこで、脂肪吸引の手術をお考えの方もいると思います。
実は、太ももの脂肪吸引を受けられる方は意外と多く、脂肪吸引の手術の中では1番人気がある部位です。
しかし、手術となると怖い感じがするし、どのくらい細くなるのか、痛みや腫れはどのくらいか、仕事は何日くらいお休みが必要かなど、いろいろ心配で、決心がつかないという方も多いですよね。
今回は、太ももの脂肪吸引を受ける際に絶対に知っておくべき知識をお教えいたします。太ももの脂肪吸引をするとどれほどの効果が出るのか、痛みや腫れなどのダウンタイム、術後の経過、料金の目安、医師の選び方などを詳しく解説していきます。
これを読めば、脂肪吸引に対する疑問や不安がすべて解消します。そして、失敗や後悔するリスクを最小限にでき、手術をするべきかどうかの判断ができるようになります。手術をお考えの方は必ずお読みください。
目次
1.太ももの脂肪吸引の効果
脂肪吸引の効果や結果は医師の技術次第ですが、必ず細くなります。しかし、脂肪吸引をしたからと言って、どれだけでも細くなるわけではありません。イメージ5-7kgくらい痩せたような感じに太ももが見えます。
体重が普通の人の症例写真(BMI:21-25)
脂肪吸引を希望される方で一番多い体重帯です。身長が違えば体重で比較することは出来ないのでBMIで分類しています。BMIとは(体重÷身長2)で計算できます。例えば身長150cm,体重45kgの人ですと、BMI=45÷(1.5×1.5)となり、BMI20となります。
この症例の歩いている状態
この症例の歩いている状態
この症例の歩いている状態
この症例の動いている状態
体重の重たい人の症例写真(BMI:25以上)
体重が多い方が取れる脂肪も多くなりますし、効果も出ます。しかし、仕上がりとしては細い方のようにはなりにくいです。
この症例の歩いている状態
この症例の歩いている状態
この症例の歩いている状態
細い人の症例写真(BMI:21以下)
細い人の方が一見の効果は少ないのですが、きれいなラインとして仕上がりやすいです。
脂肪吸引の適応(脂肪吸引ができる人、出来ない人)
太ももの脂肪吸引はほとんどの女性で適応になります。BMIが18を下回ってくるようなら脂肪が少なく吸引しても目に見える効果が出ない場合もあります。(BMI=体重÷身長2)
2.太ももの脂肪吸引の手術方法
実際にどのようにして脂肪吸引を行うのか、当院の方法ですが写真を交えて解説いたします。いろいろな名前の付いている脂肪吸引がありますが、基本は下の流れになります。
色々な名前の付いている脂肪吸引はここに追加で何か行う場合や道具が変わる場合などがあります。しかし、脂肪吸引の手術と言えば1通りです!色んな名前が付いていても付属の何かが変わっているんだと言う程度で思って下さい。
①太ももにデザインを行う
手術は寝た状態で行いますが、立っている状態の脂肪の膨らみや足の形を確認しながら、脂肪を取る部位をマーキングしていきます。脂肪を多めに取る部位、取り過ぎるとおかしくなる部位に目印を付けていきます。
②点滴や麻酔、消毒を行う
当院では太ももの脂肪吸引の際に「硬膜外麻酔」と言って、背中から麻酔の注射を行っています。点滴をした後に硬膜外麻酔を行いますが、硬膜外麻酔を行っていないクリニックもあります。
手術中の麻酔や痛みについて詳しく知りたい方は○章をお読みください。
③点滴から眠る麻酔を投与して、手術を行う
いよいよ手術になります。手術直前まではどのクリニックで行うとしても意識のある状態で点滴や消毒などを行っていきます。
・傷を付ける
小さい傷口を作り、その穴に「シース」と呼ばれる傷口保護用に装具を取り付けます。脂肪吸引の手術は傷口から管(くだ)を出し入れするので傷への負担がかかりやすくなります。そのためシースを使用します。中にはシースを使用しないクリニックもありますが、その場合は傷がきたなく治る傾向にあります。
・脂肪に麻酔をする(チュメセント麻酔)
すでに点滴から麻酔をして眠っていたり、意識が遠のいている状態ですが、今度は脂肪自体に麻酔を行います(チュメセント麻酔と呼ばれる)。脂肪をふやかして吸引しやすくする目的と、麻酔液中に入っている血管を収縮させるお薬で出血を抑えるために行います。
・脂肪を吸引する
ここまでの下準備が終わったらいよいよ脂肪の吸引です。マーキングを行った部分を見ながら脂肪を吸引していきます。
・手術終了前に麻酔液や血液を絞り出す
手術が終わる前に麻酔液や血液を出来るだけ絞り出します。実はダウンタイムを軽減して効果を高めるために重要な作業なのです。
・傷口を縫う
傷口を糸で縫って手術は終了です。抜糸は1週間前後に行います。
④圧迫する
脂肪吸引の手術後の圧迫は非常に重要です。身体をキレイに拭いた後に圧迫しますが、包帯をグルグル巻きにした状態になります。
太ももの脂肪吸引でも、その範囲を超えて圧迫しますので膝の下あたりまで圧迫されます。歩けなくはありませんが、歩きにくい状態となります。これで手術終了です!
⑤休憩して帰宅
太ももの脂肪吸引を終わると、少し休憩します。麻酔を終了してから1.5-2時間はクリニックで様子をみてもらいます。
3.ダウンタイム(回復期間)の種類と持続期間
お休みを取った方がいいのは最短で3-4日です。余裕をもって考えた場合1週間です。
“手術後2-3日目までの過ごし方”
太ももの脂肪吸引で一番つらいのは手術後2-3日目までです。足の痛みや。。。
この間はあまり何もする気にはならないので、必ずお休みを取っておくべきです。また、買い出しに行くのも面倒になると思いますし、必要な水や食料は買いだめしておきましょう。手間をかけて作るものよりレトルトやコンビニの食材を用意しておいた方がいいと思います。
具体的な症状のイメージを下の表でつかんでみて下さい。細かくは下で解説します。
3-1.1週間ほど痛みがある(ピークは2-3日)
脂肪吸引の中でも太ももの脂肪吸引は、手術を行う範囲も広く取れる脂肪も多くなり、一番痛い部位です。
手術後の痛みは脂肪吸引する部位で差がありますが、1-2週間です。動いた時にちょっと痛い、押すと痛いなど細かな痛みは1カ月ほど続きます。吸引範囲が多いほど痛みは大きく長引きます。
痛みどめは各クリニックで処方されます。お薬がなくなった場合は市販の痛みどめを飲んでも問題ありません。
脂肪吸引の痛みについてより詳しく具体的に知りたい方は「あなたの不安を解消!脂肪吸引による痛みや経過と体験談」をお読みください。
3-2.1-2週間は内出血が出る
内出血も1-2週間続きます。見た目としては以下の写真のようになりますが、分りやすいように内出血が多く出た方の写真を提示しています。
青や紫いろの内出血が徐々に黄色くなって消えていきます。重力の関係で脂肪吸引していない部位にも出現しますが心配ありません。対処法としてよく効く方法はなく、待つしかありません。
2週間は人前に素足を出さない期間に手術をしましょう。また目の詰まった黒いタイツを履けば隠れて見えません。
3-3.2-4週間ほどむくみが出る
脂肪吸引後は非常にむくみやすい状態です。いつまでと言うのは難しいですが、2週間から1カ月です。ふくらはぎは2-3か月かかります。マッサージして出来るだけむくみを取るようにしましょう。
むくみを引かせるコツとしては休む時は足を高くして休むのがコツです。
3-4.しびれ・感覚まひが出る事が多い(2-3ヶ月)
知覚低下が起こります。これは、脂肪吸引した部分の皮膚が自分ではないような感覚が鈍くなる現象です。2-3か月で回復します。ほとんどの場合回復しますので心配せずに待ちましょう。
3-5.かゆみが出る事がある
傷口だけでなく脂肪吸引したところは傷を負ったのと同様な状態になります。傷の治りかけが痒いのと同様に脂肪吸引した部位にかゆみが出ます。1-2週間でおさまることが多いですが、長引く場合もあります。
3-6.拘縮が起きて、太ももが硬くなる(1-2カ月)
脂肪吸引後2週間ほどしてから、太ももが硬くなってきます。圧迫やマッサージをしてほぐしてください。脂肪吸引がほぼ完成する3か月をめどに改善してきます。
3-7.傷跡が出来る・色素沈着が起きる
傷口がなくなることはありませんが、徐々に目立ちにくくなってきます。少なくとも6カ月は待ってください。1-2年かけて目立ちにくくなることも多くあります。
また色素沈着と言って皮膚の色が茶色っぽくなることがあります。6カ月~1年で改善してきますが、消えない場合もあります。手術後半年たっても目立つ傷になるようであれば担当の先生に相談してみましょう。
どの部位の脂肪吸引もそうですが、手術後すぐに結果が出るわけではありません。仕事復帰まで最短で3-4日。大体のダウンタイムとされるものが1-2週間。その後1か月で少し細くなってきて70%くらいの形が出来上がってきます。3か月で90%完成しほとんど気になるところもなくなってきます。完璧に出来上がるのは5-6ヶ月です。
ほとんどの方は2-3か月で気になることはなくなって満足されます。
体重が変化しなければ絶対に細くなるというのが脂肪吸引です。ただし、同じ量を取っても効果は人によって違います。皮膚のハリや引き締まり度合い、手術後のケア、年齢、脂肪の付き方など色々な要因が重なると思います。
“当院で頂いた体験談の経過の部分のみ抜粋します”
- 2週間くらいはとても痛くて、少しずつ痛みが治まってくると硬くなってきました。青タンがすごかったです
- 術後当日は痛みで眠れませんでしたが、翌日からは大丈夫でした。痛みは1週間、内出血は2週間ほどで改善しました。痛みはそこまで強くなかったため、痛み止めはほとんど使用していません。
- 1週間は腫れとむくみ、痛みが強かった
- 終わった後の1日は痛みが強かったです。徐々にむくみが取れていくのが分り、3か月くらいでほぼ完成しました。
- 翌2日間は痛みで動けませんでしたが、そこから動きずらい程度の痛みに変わっていきました。
- 手術当日の帰宅時は、一番痛みましたが、2日後くらいには治まり、3-4日目位まではすごくむくみましたが、その後むくみも引いていきました。
- 2-3日は歩きずらい程度だったが、4-5日目から足全体が硬く板が入ったような感覚でよく寝れなかった
その他の太ももの脂肪吸引についてのダウンタイムの体験談を知りたい方はこちらの記事を参考にして下さい。「75人分の脂肪吸引の体験談/部位別の経過や効果のまとめ」
4.太ももの脂肪吸引の失敗
太ももの脂肪吸引で大きな後遺症が残ることはまずありません。頻度は0.1%以下でしょう。
失敗として起こるのは見た目の問題がほとんどです。また、失敗の原因は機械の差ではなく医師の技術の差や手術前のカウンセリング不足に起因します。細かい左右差や見た目の問題、触り心地などはどうしても手術前と変わってしまいますが、これらが気になるのは1%以下です。
美容医療の場合99人が成功と思っても手術を受けた本人が失敗と思えば失敗になってしまいます。
何を失敗というのかは難しいですが、以下のような場合は失敗でしょう。
4-1.左右差がでることがある
微妙な左右差はどうしても出ますし、もともと左右差のない脚はありません。明らかにという場合は修正を申し出てもいいでしょう。ほとんどの場合は修正の手術で改善できます。
4-2.凹凸がでる
微妙なものは出ます。筋肉のライン以外で見た目に凹凸がわかるのは修正してもらいましょう。脂肪吸引で修正したり、凹み過ぎた場合は脂肪注入で修正します。
4-3.お尻が垂れる
お尻や胸は体から少し飛び出しているにも関わらず形を保ってくれています。これは鼻や耳のように軟骨があるわけではなく線維状の組織によって支えられているからです。
お尻の脂肪を多く吸引することによりその支えが破壊され垂れる場合があります。
4-4.太もも裏側に溝ができる
Banana Deformity(バナナ状変形)と呼ばれます。太ももの裏側を吸引しすぎる事によって起こります。
本人からは見えず、細くはなっているのであまり問題にならない場合も多いです。術者の好みによりますが、嫌な場合はお尻の下をあまり吸引しないように伝えましょう。
4-5.入院が必要になるような出血が起こる
まれですが聞くことがあります。脂肪吸引はそれほどの出血量のある手術ではありません。非常に危ない手技が原因です。もちろん0.1%以下です。
4-6.水が溜まることがある
手術後に体の中に水が溜まったように膨らみが出来ることがあります。可能性としては1%あるかなどうか位の程度ですが、報告によっては3%と言うものもありました。ほとんどの場合、注射器で水を吸って対応します。1回で大丈夫な場合もあれば数回繰り返して水を抜く必要がある時もあります。
“脂肪吸引後に水が溜まるのは合併症です”
脂肪吸引後に水が溜まるのは、良く脂肪が取れている証拠だとか書いてあるページを見かけますが、脂肪吸引後に水が溜まるのはただの合併症です。当たり前ですが、起こらない方がいいのです。
この水が溜まる事をセローマ(seroma)と言いますが、セローマは起きても多くの場合問題なく解決できます。しかし場合によっては以下のようなさらなる合併症・不都合を引き起こす場合があります。
・傷の近くで起きた場合、傷口の感染が二次的に起きる可能性
・皮膚の壊死・障害・色素沈着(シミになる)
・二次的な感染症
・難治性のセローマになる(なかなか治らない)
・度重なる通院への負担
そして、水が溜まると言いますが、これはただの水ではありません。炎症が起こった結果出てくる体液です。ですので、脂肪吸引後に水が溜まると言うのは、脂肪吸引の際に不必要に周りの組織を傷つけたり、手術後の圧迫が足りなかったり、という事が考えられます。
セローマ(seroma)に関しての原因や対処法に関しても山のように論文や研究がなされています。もし、手術後に水が溜まると言う事が正当な事、良い事であればこんなに対処法や原因の究明について研究がなされない事は明白でしょう。
5.太もも脂肪吸引の手術後の注意点とケア
手術後のケアの目的は以下の2点です
- 綺麗に仕上げる
- 術後の回復を早める
このケアを怠ると、むくみが長引く、凹凸が残る、効果が不十分などありますので注意してください。
そうしないために以下の事が重要になってきます。
5-1.タイツなどで圧迫する
手術後直後に非常に強い圧迫をします。目的は内出血と腫れの予防です。最短でも24時間は必要です。大体2日間ほどするクリニックが多いと思います。
その後は3か月―6ヶ月に渡ってボレロや弾性ストッキングでの圧迫を指導されると思います。綺麗に効果を出すために非常に重要ですので出来るだけ24時間、3か月は続けてください。もし、途中で脂肪吸引の効果が出てきて緩くなったら新しく小さめの圧迫を買い替えてください。
5-2.マッサージやストレッチをする
脂肪吸引の後は非常にむくみます。上記のような圧迫をしていてもむくみますのでマッサージやストレッチをして回復を早めてください。
また、脂肪を多く取った場合にはしっかりとマッサージやストレッチをして硬くなった皮膚を動くように滑らかにする必要があります。
マッサージやストレッチをしなくてもいいと言う先生もいますが、私の経験上からは行った方が回復を早めます。各クリニックの指示に従って下さい。
5-3.食べ過ぎないようにする
脂肪吸引で細くなっても、安心して食事量が増えるとほかの部位に脂肪がついてきます。脂肪吸引するなら併せてダイエットもするくらいの気持ちが必要です。
6.手術費用の相場は約80万円
脂肪吸引の種類を分けずに平均すると、約80万円が太ももの脂肪吸引の相場です。種類別ではベイザーリポで100万円前後、その他で50-60万円と言うところでしょう。
正直医師から見ても脂肪吸引の費用はどのクリニックも色々な施術方法やオプションなどがあり分りにくいです。カウンセリングに行って見積もりをもらえばそれで済みますが、あらかじめどの方法が良いか、値段がどのくらいかは知っておきたいですよね。
ほとんどのクリニックのホームページを調べましたが、トータルの手術費用には手術の費用、麻酔の費用、採血費用、圧迫物品の費用がいろいろかかってくるため非常に分りにくいです。
参考にしたクリニックは大手美容クリニックや、脂肪吸引のネット広告を出しているクリニックです。合計12個のクリニックから算出しました。
太もも | 安値 | 高値 | 平均 |
ベイザーリポ脂肪吸引 | 842,400円 | 15,110,800円 | 1,100,697円 |
その他の機械の脂肪吸引 | 351,840円 | 920,000円 | 643,373円 |
独自の脂肪吸引 | 532,000円 | 842,400円 | 678,600円 |
*独自の脂肪吸引:クリニックのホームページに機械が記載されていないか、何も使用していない場合としました。
この他に採血費用、麻酔代、圧迫用品代が必要になるところがほとんどです。クリニックのホームページに「麻酔代込」などの表記がない場合は、5-10万円プラスと見ておくべきでしょう。
また、モニターとして割引価格で手術を受けれるコースを用意しているクリニックもあります。20-40%引き位になっている事もあるので費用を抑えることができます。
7.脂肪吸引の手術の種類
脂肪吸引の費用の違いはほとんどが使用している機械によって手術名が決まってきます。
- 「ベイザー・リポ」「ウルトラZ」などの超音波
- 「スマートリポレーザー」「アキュスカルプ」などのレーザー
- 「ボディジェット」
- 「ボディタイト」「サーミ○○」のような高周波(RF ラジオ波)
などがあります。
脂肪吸引の大まかな方法はどのクリニックで行っても同じです。
機械はしょせん道具です。あった方がいいかも知れませんが無くてもそれ程結果に差は出ません。プロのスポーツ選手が道具にこだわるように、プロの医師が道具にこだわることは決して悪い事ではありません。ただし、現状の機械で結果に大きな影響を与える機械はないという事です。ほぼ集客目的で使用されています。
脂肪吸引は手術ですので術者の考え方と腕がものをいいます。しっかりと経験のあるドクターを選んでいただければ大丈夫です。
“ベイザー脂肪吸引が一番脂肪が取れる等の宣伝を見ますが、そんなことはありません”
重要なことは医師の経験と技術、熱意と術後のケアです
詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください「ベイザー脂肪吸引とは?術前に必ず読んでおきたい効果の違い」
- 脂肪にしっかり麻酔を効かせる事!
- 脂肪の層のみを確実に吸引し、筋肉を傷つけない事!
なのです。
“シリンジ脂肪吸引も効果がアップする事はない”
シリンジ脂肪吸引と言うのもたまに見かけますね。これもあまり意味はありません。手作業だから丁寧だとか、細かい作業が出来るなどと書いてありますが、全くそんな事ありません。
ただ単に吸引の陰圧の作り方の問題なのです。詳しく知りたい方は「シリンジ脂肪吸引は選ぶ必要なし!医師が解説する5つの理由」をお読みください。
8.太もも脂肪吸引の麻酔の種類
太ももの脂肪吸引を行う際に使用される麻酔は以下の組み合わせのどれかが選択される場合が多いです。
それぞれメリットデメリットがあります。どの方法が一番すぐれているとかではありません。痛みが取れるというメリットと麻酔のリスクのバランスのいいところで各クリニックやドクターが上記から選択しています。
麻酔に関して、当院オリジナル○○法などと宣伝しているクリニックを見かけることがありますが、まずそんな事はあり得ません。元々ある麻酔の方法を組み合わせたり、ただ単に勝手にそのように呼んでいるだけです。特に自分たちが行っている方法以外を否定している宣伝は信じない方が無難です。自分たちの方法のメリットのみを宣伝し、他の方法のデメリットだけを攻め立てているに過ぎないからです。物事にはメリット・デメリットがあります。だからこそいろいろな方法や組み合わせがある訳です。
また、手術代金は安く見えても麻酔代として別途料金が請求される場合が多いです。
8-1.硬膜外麻酔と静脈麻酔の組み合わせ
当院はこの方法を採用しています。硬膜外麻酔は痛みのみを強力に取り除いてくれます。しかし、難易度が少し高い事やまれに手術後に頭痛などの合併症が起こる可能性があります。硬膜外麻酔を併用した場合、静脈麻酔は少なくて済みますので、術後に気分が悪いとか吐き気がひどいと言うような可能性が少なくて済みます。また、静脈麻酔の使用量も少なくなるので呼吸が止まってしまうようなリスクも低くなります。
8-2.静脈麻酔のみ
静脈麻酔のみで行う場合は手技的な難易度は低くなります。しかし、静脈から使用する麻酔のみを使っていると、手術後に気分が悪くなったり吐き気がひどいと言うような可能性が高くなります。過量に使用すると呼吸が止まってしまうと言う重大なリスクも起こりえます。
8-3.呼吸器を用いた全身麻酔
完全に寝てしまう麻酔で、テレビドラマの手術室で見るあれです。始めから完全に意識も痛みもありません。人手やコストが必要になり、太ももの脂肪吸引で全身麻酔を行っているクリニックは限られます。
9.ドクターやクリニックの選び方
太ももの脂肪吸引を受ける際に注意するドクター・クリニック選びのポイントです。皆さん、ドクター選びよりもクリニックや機械選びに夢中になっていませんか?この章では何をポイントで選べばいいか、失敗しない選び方のポイントをお伝えします。
選ぶ基準 | 重要度 |
医師選び | ☆☆☆☆☆:非常に重要 |
値段 | ☆☆☆:そこそこ重要 |
脂肪吸引の種類 | ☆:重要ではない |
アフターケアや術後の処置 | ☆:どこでもあまり差はない |
麻酔方法 | ☆:重要ではない(医師選びの方が重要) |
9-1.ドクターで選ぶ!クリニックで選ばない!
どこのクリニックで行うかではなく、どのドクターで行うかを最優先に決定しましょう。これで選ぶステップの9割は決まります!
値段などはクリニックによって決まってしまいますが、まずはどのドクターで手術を行うべきかを選びましょう。
その際に選ぶ基準を下にまとめました。
①症例数が豊富
少なくとも100例以上脂肪吸引を行っているドクターを選ぶのが良いでしょう。
②何らかの専門医を持っているドクターを選ぶ
美容外科の研修は美容外科で積みますが、医師としての基礎的な教養や考え方は美容外科では教えてくれません。ですので、一般的な病院での経験がある程度ある医師(何らかの専門医を持っている医師)を選ぶのが無難です。形成外科にこだわらなくても大丈夫です。
②全身管理ができるor専属の麻酔科医がいる
脂肪吸引は美容外科の中では少し大きめの手術になってきます。特に太ももやお腹では時間も長くなり全身管理が必要です。
全身管理ができるドクターが好ましいです。具体的には、麻酔科専門医、外科専門医以上、脳神経外科専門医、救急科専門医、形成外科専門医(なかでも熱傷を扱っていたドクター)などがあります。
③症例写真が自分の好み
ドクターの技術力は、我々医師でもHPや宣伝から判断するのは難しです。実際に手術を見ていれば分りますが。
唯一、外から判断できる材料は症例写真です。クリニックの細かい宣伝などをみて時間を費やすよりも、症例写真を見てドクターを選ぶ基準の一つにしましょう。
③最後は相性も大事ですので何件かカウンセリングに行き、親身になってくれるドクターやクリニックを選びましょう。
9-2.値段による比較
やはりクリニック選びに重要な要素に値段も入っていませんか?いくらでも気にしないと言う人は少ないでしょう。5章で解説したように太もも全体の脂肪吸引の相場は80万円程度です。
手術の場合、技術力と値段は比例しません。もちろん値段だけでクリニックを選ぶべきではありませんが、安いに越した事はありませんので、相場感を知っておいてください。自分が手術を任せたいと思える先生に手術してもらうのが一番です。
9-3.方法による比較
脂肪吸引を調べていると、いろいろな方法が出て来て迷ってしまいますね。しかし、6章で解説したように、脂肪吸引は方法で効果や結果、ダウンタイムなどに差はありません。ですので、方法で迷うと言うのは時間の無駄です。それであれば色々な症例写真を見てドクターを比べた方がいいと思います。
9-4.手術後の処置やアフターケアによる比較
クリニックによってあまり差はありません。手術後のお薬代金や診察代金ももともとの料金に含まれる場合がほとんどですし、クリニックへ経過を見せに行く回数も変わらないでしょう。
また、なにか起こった場合は、通常手術をしたクリニックで診察治療してくれます。
“手術後には傷口を縫わずに翌日に傷口を縫うクリニックがある”
手術後の処置として、傷口を縫わずに翌日の経過観察で縫う事をアピールしているクリニックもあるようです。この処置は高価な機械もいらず、少し手間をかけるだけで可能なのでほとんどのクリニックで行う事が出来ます、しかしほとんどのクリニックでは行っていません。なぜなら、メリットよりデメリットが大きいからです。
何でもそうですが、物事にはメリットとデメリットがあります、多くのクリニックや医師がデメリットの方が大きいと考えるからこういった処置を行うクリニックが少ないのです。
メリット
・手術中に使用した麻酔液や血液を傷口から出してあげる事が出来る。(ただし、傷口の近くの一部しか出ません)
・少しでも体内に溜まる液を出せるので、腫れを少なく出来る可能性がある
デメリット
・傷口を1日放置する事で汚い傷になりやすい
・翌日に麻酔が切れてから皮膚を縫うので、痛みがある
・手間をかけても、最終的な効果に差がないと考えられる
9-5.麻酔方法による比較
麻酔方法についても色んなアピールをしているクリニックがありますが、6-2章で解説したような差はありますが、医師が慣れている方法で行ってもらうのが一番安全性が高いです。麻酔の方法でクリニックを選ぶと言うよりは、クリニックを選んでから麻酔について不安なことがあれば質問しましょう。
術後の気持ち悪さが少ないのは硬膜外麻酔を併用しているクリニックの方がお勧めです。
10.まとめ
太ももの脂肪吸引は部分痩せを行うのには非常に有効な方法です。しかし、手術の内容や費用についてまだまだ分りにくい点が多くあるように感じます。この記事が少しでも参考になれば幸いです。
また、疑問に思うことなどはクリニックに電話して聞いてみましょう。