1.埋没法の失敗ってなに?
埋没法で失敗するとどうなるのでしょうか?気になった時に対処すれば、基本的に取り返しのつかないような事はありません。
失敗というと、やはり希望通りの二重のラインにならないという事ではないかと思います。これについては3章でかなり詳しく説明します。
その他、腫れが長引く事を失敗として捉える方もいるでしょう。自然経過や一定確率で起こってしまうコントロールが難しい事象もあるので、医療サイドが考える失敗と手術を受けた方が考える失敗に差があります。その点の失敗(経過)に関しては4章で詳しく説明します。
2.失敗するのはどれくらいの確率か?
上記のように何を失敗というかによりますが、ゴロゴロ痛みがあるなど、短期的に修正しなければならないと言うような失敗は多くても1%以下だと思います。
というのも、埋没法の満足率はおおよそ98%程度と高く、不満だからと言って修正してより良くなる場合ばかりではないのです。ですので、短期的に修正するのは1%程度だと考えます。
*Baek JS. Comparison Between Continuous Buried Suture and Interrupted Buried Suture Methods for Double Eyelid Blepharoplasty.J Craniofac Surg. 2015 Oct;26(7):2174-6
本人の希望通りにならないと言うのは、本人の主観もあるので何%と言うのは難しいですが、しっかりカウンセリングで医師と共通認識を持ち、出来ること、出来ないこと、経過やリスクの説明を受ければ多い確率では決してありません。
3.希望のラインをかなえるために重要なこと
埋没法で失敗しないためには希望のラインを実現する事と、経過を知っておくことが重要です。何でも自分の思い通りになる訳ではありませんし、できる事、できない事を知っておく事が重要です。
3-1.医師と希望のラインを共有する
医師と希望のラインを共有する事が非常に重要です。埋没法のカウンセリングではシミュレーションをして二重幅を確認していきますが、その際に自分の希望のラインや理想の形をしっかり伝えることが重要です。
医師がシミュレーションしてくれると思うので、希望より狭いとか、広いとか、形をどうこうしたいと言う希望ははっきり伝えましょう。
3-2.広すぎる幅は違和感が出てくる
埋没法でも切開法でも広すぎる二重幅は違和感が出てきます。これにはいくつか理由があります。
①まぶたは眉毛側が皮膚が厚いので二重のラインを作ってもボテッとする
幅が広ければ広いほど、折り目に付く部分の皮膚が分厚くなりますので、二重のラインがボテッと見えたり、二重にかぶってくる皮膚を重たく感じることがあります。
②まぶたの動く分しか食い込まないので、広い幅は食い込みが浅くなる
目を閉じている時に二重の人はいません。目を開けるためにまぶたを開けると二重になります。この時にまぶたが動く分しか二重は食い込みません。ですので、まばたきする時に動く量の少ない部分で二重を作っても食い込みが浅く違和感が出ます。
③目頭側、目尻側ともに短いラインになる
まばたきした時に動く部分しか基本的には二重になりませんので、目頭側や目尻側の広い所は二重のラインが付きにくく、広い幅の二重では左右に短い感じの二重ラインになりがちです。
3-3.どんな形でも実現できる訳ではない
二重まぶたと言ってもまぶたが動いた時にできるシワの一種です。おでこのシワなどと同じで、折れ曲がるべきラインがあり、それを大幅に超えて二重を作る事は難しいのです。
4.希望通りにならない以外の失敗パターンと対策
希望通りにならないという失敗についてお伝えしてきましたが、ここからはそれ以外の埋没法の失敗の状況とその対応について解説します。
腫れがひどい、引かない
埋没法の手術後は多少なりとも腫れが出ます。使用する糸の本数やかけ方、設定した二重の幅、個人差によって腫れ方は様々です。
早い場合で2-3日で腫れの70%、すごく腫れる場合で2週間で70%位の腫れが引いていきます。手術前に腫れがどの程度、どのくらいの期間出現するかを担当する医師に聞いておく必要があります。
もし予想以上に腫れが出た場合でも、失敗だと思って他のクリニックに行くのではなく、まずは担当の医師に相談してみるのが良いと思います。
糸の膨らみが分る
埋没法は糸をまぶたに埋め込んで二重まぶたにします。糸は結ばないと止まりませんので、必ず糸の結び目ができます。
多くの場合は、糸の結び目は皮膚の真下に位置するので、この結び目が皮膚を通してポコッと膨らんで見える場合があります。特に幅が広いと目立ちやすい、皮膚が薄い人は目立ちやすいということがあります。
この膨らみは2~4週間目が一番目立ち、その後、徐々に目立ちにくくなってきます。しかし、必ず全員見えなくなると言うものではないので、目立ってしまう場合もあります。
気になる場合は担当の医師に相談してやり直す、様子を見るなど相談して下さい。
始めから、ポコッとするリスクを避けたい場合は、糸をまぶたの裏側で結ぶ方法を選択してもいいかも知れません。当院でも行っております。
食い込みが強い
埋没法を行うと、糸のかかっている部分が食い込んで気になることがあります。埋没法は糸で無理やり皮膚を引っ張っているのである程度はしょうがないのですが、これも時間経過とともに改善してきます。
これは糸の膨らみよりも改善する可能性は高く、あまり気にならなくなる事も多いように感じています。目安は半年です。
ラインがガタガタしている
ラインがガタついてしまうのは、無理なラインで二重の線を設定したからです。2章でも解説したように、無理なところで糸をかけると2つのラインが重なってガタつくことがあります。
ゴロゴロ痛みがある
手術直後は多少ゴロゴロする感じの違和感がありますが、徐々に程度・頻度ともに落ち着いてきます。痛みが強く目を開けていられない位のものは異常ですので、診察を受けましょう。
また、しばらく経ってから痛みが出てきた場合は糸が出てきていたり、炎症を起こしている場合があるので続く場合は診察を受けましょう。
赤く腫れてきた
糸が原因でまぶたが腫れることがあります。自然に治る事もありますが、しこりになって残ったり、繰り返したりする場合もあるので、担当医師の診察を受けましょう。
糸が出てきた
まれに糸が出てくる場合があります。待っていても改善しないので、早めに受診して糸を抜いてもらいましょう。別日になると思いますが、再度かけ直すことも可能です。
5.後で後悔しないために知っておいて欲しい事
どんなラインでも作れる訳ではない
1章で解説したように、二重のラインというのは折れ曲がる場所がある程度決まっています。また幅を大きく取り過ぎると不自然さが増してきます。自分の希望するラインが可能かどうか、カウンセリングで確認する事が重要です。
ばれる可能性がある
埋没法がばれたから元に戻したいと言う方もまれにいらっしゃいます。
埋没法を行うことを検討中の方の中には、絶対にばれたくないという方も多くいます。クリニックによっては「自然にできるのでばれませんよ」と言われるクリニックもあるかもしれません。
しかし、目元は人に与える印象が大きいため、どれだけ完璧に仕上がったとしても変化している以上、分る方にはわかってしまいます。元々、アイプチなどをしていない方ならなおさらです。
埋没法は糸を抜くことで元に戻すことができる手術ですし、切る手術ではないので比較的気軽に検討して良い手術だと思いますが、「どうしてもばれたくない!」という方は、このリスクについても十分理解しておいた方が良いでしょう。
また、ネットで芸能人の整形について確証もないのに論じる人がいるように、勝手な推測で「整形?」と言ってくる人もいます。当たる確率が50%だったとしても、埋没法している人には100%ばれたように感じてしまうのです。