サノレックスは、唯一、厚生労働省から認可されている食欲抑制剤です。
しかし、国に認められているからといって、副作用がない安全な薬というわけではありません。
他の薬剤と同様にサノレックスにも副作用があり、決まった用法で使用することが大切です。
今回は、サノレックスの副作用の種類とそれぞれの発生頻度、サノレックス内服の適応と不適応、をお伝えしていきます。
サノレックスとは食欲を抑える薬です。食欲中枢の抑制と満腹中枢の刺激がその理由と考えられています。ダイエットの時に食事を減らしたり、空腹を我慢するのがつらいと思います。サノレックスの使用目的は、減らした食事量でやっていくための動機づけや維持の目的で使用します。サノレックスだけを漫然と飲んでいても残念ながら痩せません。
日本での肥満者を対象とした試験では、3か月の治療により食事・運動療法のみでは平均1.2㎏の減量であったのに対して合わせてサノレックスを飲んだ場合平均4.2Kgの減量が見られています。
また、日本ではBMI35以上の高度肥満の方には健康保険の適応になっています。それ以外の方が使用するには自由診療で行う事になります。
*BMI=体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)
通常は1日1錠(昼食前)から始めて様子を見ていきます。効果が不十分なときは1日3錠まで増やすことが可能ですが、飲み過ぎると副作用の可能性も高くなってきますので、必要最低量で留める事が重要です。服用期間は3か月が限度となっています。それ以上は依存性が出てくる可能性もあります。
2.主な副作用の種類と頻度
軽いものまで含めると21.4%で副作用が出ます。その内訳は以下の通りです。
- のどの渇き:7.1%
- 便秘:6.4%
- 気分不良、嘔吐(吐いてしまう):4.2%
- 睡眠障害:2.1%
- 胃周辺の不快感:2.0%
また、頻度別で見ると以下のようになります。
5%以上の頻度のもの
- のどの渇き
- 便秘
0.1~5%未満のもの
- 睡眠障害
- 頭痛
- 眠気
- めまい
- 気持ち悪さ
- 嘔吐
- 腹部の不快感
- 下痢
- 肝機能の障害
- 発汗
- 性欲減退
- 脱毛 など
0.1%未満
- 頻尿
- 月経異常 など
以上のような頻度で起こります。異常を感じたら必ず医師に相談することが重要です。
喉の渇きや便秘など、自分で対応できるものが副作用の大部分を占めます。しかし、気分が悪いや睡眠障害などがひどい場合は中止した方が良いでしょう。また、肝臓の機能が悪化する場合があり、定期的な採血チェックをお勧めします。
3.サノレックスの重大な副作用
重大な副作用は依存性と肺高血圧と言う病気です。これらは長期に服用すると起こる可能性があります。
ですので、内服期間は必ず3か月までにします。
肺高血圧症と言う病気はちょっとした事で息切れを感じたり、胸の痛みがあるなどの症状があります。このような場合は必ず主治医に申し出てください。
4.サノレックスを飲めない方
まず、健康保険の適応はBMI35以上の方です。それ以下の方は健康保険では使用できませんが、自由診療であれば可能です。
また、自由診療であっても以下のような場合には処方ができなくなっています。
- サノレックスに対してアレルギーを起こしたことのある方
- 緑内障の方
- 重症の心臓、膵臓、肝臓、腎臓の病気の方
- 重症の高血圧の方
- 脳の血管に異常のある方
- 不安やうつ症状、精神疾患の方
- 薬物、アルコールの乱用歴のある方
- 妊婦、小児
- 極端なやせ願望の方、低体重の方
5.まとめ
サノレックスによる重大な副作用の可能性は低いです。医師の指示のもと、診察を受けながら3カ月以内で使用する分には危険な薬ではありません。便秘やのどの渇きはよくある副作用ですが、自分で対応することが出来ると思います。3か月を超えての使用や大量服用は必ず避ける必要があります。また、飲んだり飲まなかったりを繰り返し長期にわたる使用もいけません。依存性などのリスクを上げます。通販やネットで購入せず必ず病院で処方をしてもらって、医師の指示に従いながら使用してください。