脂肪吸引を受けようとは思っているものの、クリニック選びや医師選びで迷っている方も多いのではないでしょうか?
有名クリニックだから、家から近いから、安いから、と言うだけで選んではいけません。ここでは脂肪吸引で後悔しないために、必ず手術前に行って頂きたい、知っておいていただきたい事を紹介します。
脂肪吸引は失敗や後悔の多い手術ではありませんがリスクもあります。傷跡が気になっている、違和感が続いている、思ったよりも効果が少ない、極まれですが死亡例も報告されています。
少しでも失敗や後悔を減らすために、少なくてもここに書いてある10か条は必ず知っておいて頂き、クリニックや医師選びには十分時間をかけて下さい。
目次
1.脂肪吸引のメニューが1つだけのクリニックを探す
脂肪吸引を調べているといろいろな方法が出てくると思います。「ボディジェット脂肪吸引」「ベイザー脂肪吸引」「スマートリポレーザー」やクリニック独自の名前が付いたものまで。
結論から言うと、どの脂肪吸引でも経過や効果に変わりはありません。正確には、効果が高いと立証されているものはありません。
クリニック選びの注意点として、脂肪吸引のメニューが何種類もあるところは避けた方が良いでしょう。もしくは、一番上のプランで料金を比較検討するのが妥当です。
なぜなら、脂肪吸引のメニューがいくつかあるクリニックでは一番手頃なメニューを希望して行っても、「その方法はあなたに向かない」などと言われて高いメニューを勧められるからです。
“ベイザー脂肪吸引はダウンタイムが短くて、効果が高いって聞いたけど!?”
ベイザー脂肪吸引を行っているクリニックのHPを見ると、脂肪の9割が取れる、効果が高い、ダウンタイムが短い、、、などなど良い事ばかり書いてあります。
残念ながらそのような夢のマシーンはどこにもありません。
通常の脂肪吸引と比べた結果、ダウンタイムは変わらなかったと言う論文があり、見た目の効果も変わらなかったと言う結論になっています。また、手術後の引き締まり効果が高かったとする結果が出ましたが、後から計算間違いなどを指摘されて信頼できなとされてしまっています。
脂肪の9割が取れると言うのに至ってはいったいどこから出てきた話なのかも謎です。
この内容を理解したい方は「ベイザーリポ脂肪吸引はメリットなし!広告にある3つの嘘」をお読みください。
Nagy MW, Vanek PF Jr : A Multicenter, Prospective, Randomized, Single-Blind,Controlled Clinical Trial Comparing VASER-Assisted Lipoplasty and Suction-Assosted Lipoplasty.Plast Reconstr Surg.2012;129:681e-689e
脂肪吸引とは、脂肪を吸い出す手術なのですが、脂肪は柔らかいと言っても実際に吸い出すには大きな吸引圧も必要ですし、楽に吸い出せるわけではありません。そこで、各機械メーカーが脂肪を溶かして柔らかくするような機械を開発しています。
確かに脂肪は柔らかくなり、吸引しやすくなります。しかし、柔らかい脂肪を吸い取っても、硬いまま吸い取っても、残っている部分は同じですから経過や効果に差は出ないと言う事だと考えられます。
また、これらの各種機械を脂肪に当てて柔らかくしていくわけですが、立体として存在する脂肪組織全体にくまなく照射すると言う事は技術的にも時間的にも不可能です。時間をたくさんかければ蜂の巣状に照射できますが、穴と穴の間の脂肪には照射できていない状態になっています。(傷口をたくさん作れば可能かもしれませんが、現実的ではありません)
実は最も効果の高い脂肪吸引方法と言うのはなく、脂肪吸引の効果は医師の腕とアフターケアと言う事です。
2.おすすめサイトは信じない
どこで受けようかと調べていると、おすすめサイトなどいかにも怪しそうな脂肪吸引の解説サイトやランキングサイトが出てくることがあります。これらは全く当てになりませんので、参考にしてはいけません。
誰が書いているかも分らないものを信じるのは止めておくべきです。自分で選ばないと後悔します。
脂肪吸引の費用は比較できますが、他の事はなかなか比較できません。多くは広告やアフィリエイトと言って紹介目的で作られているサイトです。
最近は記事形式のサイトを作って、最後に特定のクリニックに誘導するような手法の宣伝も出て来ております。当サイトは医師が執筆してしっかりした情報をブログ形式で提供していますが、医療関係者ではないライターが記事を量産して、監修に医師の名前だけを付けて、特定のクリニックに誘導する方法です。以前に問題になった「Welq」の美容医療版ですね。
そもそもクリニック全体を勧めているものは怪しいと思って下さい。勧めるのであれば医師を勧めるべきなのです。
3.オプション料金にいくらかかるかを知っておく
脂肪吸引にはどのような費用がかかるかを知る事が重要です。クリニックによって異なりますが、絶対にオプション料金がかかります。
クリニックによってオプション料金になる費用は異なりますが、もし安いクリニックを探したければ、オプション料金についても知っておく必要があります。
具体的には「麻酔料金」「手術後の圧迫物品」「お薬代金」などが別途必要な場合が多いです。特に麻酔代金を設定しているクリニックでは5万円以上追加で請求される場合が多いので、脂肪吸引のみの代金で比較していると、全然間違った比較をしかねません。
また、クリニックによって税抜き表示と税込表示があります。現在、消費税は8%ですので、税込表示と税抜き表示では結構な差になります。脂肪吸引の場合は料金も高額な事が多いですから、消費税だけで表示上結構な差が出てきます。
オプション料金などが明示されていない場合は、クリニックに電話すれば教えてくれます。そこを伏せて料金を教えてくれないクリニックはやめておきましょう。
4.安いからと言ってモニターで後悔しないようにする
またクリニックによってはモニターを募集しているところもあります。モニターとは、写真や動画、体験談などを提供する代わりに割引が受けれる制度です。
クリニックによって行っているクリニックもあれば行っていないクリニックもあります。おおよそ20%引きくらいで手術が受けられる事が多いですので、金額の大きい脂肪吸引の場合は結構な値引きになります。
しかし、モニターには様々な条件があります。クリニックによって違いますが、同じ部位の他の手術は行わないでくださいとか、経過の写真を撮るので数か月長いと1年後まで診察に来てくださいとか、体重の増減があった場合はモニターになれない、顔出しの条件など、色々な条件がありますので後から後悔しないように十分に確認しましょう。
脂肪吸引を安く受ける方法については「脂肪吸引を安い値段で受ける!値段で失敗しないための全知識」をお読みください。値段で後悔しないような知識を解説しています。
5.医師選びにこだわる
高い効果を出すために必ず行うべきなのはドクター選びです。脂肪吸引の種類など選んでも意味がありません。
症例数が豊富なドクターを選ぶ
少なくとも100例以上脂肪吸引を行っているドクターを選ぶのが良いでしょう。
何らかの専門医を持っているドクターを選ぶ
美容外科の研修は美容外科で積みますが、医師としての基礎的な教養や考え方は美容外科では教えてくれません。ですので、一般的な病院での経験がある程度ある医師(何らかの専門医を持っている医師)を選ぶのが無難です。形成外科にこだわらなくても大丈夫です。
全身管理ができるドクターを選ぶ(専属の麻酔科医がいる)
脂肪吸引は美容外科の中では少し大きめの手術になってきます。時間も長くなり全身管理が必要です。
全身管理ができるドクターが好ましいです。具体的には、麻酔科専門医、外科専門医以上、脳神経外科専門医、救急科専門医、形成外科専門医(なかでも熱傷を扱っていたドクター)などがあります。
脂肪吸引でいい先生を探すのであればより具体的な方法が「脂肪吸引の名医とは/名医を探すために必要な3つのポイント」に紹介されています。内容的にダブる部分もありますが、重要な事なのでぜひ参考にして下さい。
6.症例写真は必ずチェックする
最近はどこのクリニックのホームページ、もしくは付随するブログを見てもビフォーアフターが載っています。これを見ていいなと思うドクターを探しましょう。
ただし、重要なのは1-2例の写真が良いからと言って安易に飛びついてはダメです。どんなドクターでもたまたま上手く行くことはあります。重要なのは多くの写真を見て、自分と同じような人を見つけたり、同じドクターで何枚もの写真を見る事です。
いい写真だけでなく、同じドクターの写真を何枚もみて、平均値をイメージして比較しましょう。
7.カウンセリングは2か所以上行く
いくら良いと思うクリニックや医師を選んでも、行ってみない事には分りません。実際に手術してくれる医師がどんな人なのか、ちゃんと説明や対応してくれそうな医師なのかを確認しましょう。
そして、1か所だけでは比較が出来ませんので、2か所以上のクリニックにカウンセリングに行くのがお勧めです。
カウンセリングは無料のところが多くなっています、脂肪吸引を受けようと思う時のギリギリまで悩んでいるのではなく、時間のある時にとりあえず行ってみてはいかがでしょうか?
8.傷口の位置を確認し、術後のケアは必ず行う
脂肪吸引は傷の位置や個数を増やすと、よりきれいによく脂肪が取れると考えられます。もちろん、脂肪吸引を行うのに左右1か所づつしか傷を作らないと言うような事はなく、クリニックによって傷を何個か作っていきます。
しかし、傷の位置は出来るだけ目立ちにくい場所に作り、目立ちにくいように縫合するのが基本ですので、効果ばかりを追い求めて、変なところに傷を作ると後悔します!
また、傷口は抜糸後からテープを貼ってくれるクリニックがほとんどです。このテープはただのテープなのですが、外部からの刺激をさえぎる役目があります。傷は刺激をする事がよくありません。めんどくさがらずにクリニックから指示されるように傷口にはテープを貼っておきましょう。
脂肪吸引の傷口が気になる方は「写真で分る脂肪吸引の傷跡|目立たなく治すための5つのこと」をお読みください。写真を交えて傷口に関して詳しく説明しています。
9.手術後の圧迫を必ず行う
手術後に一番重要なのは圧迫です。圧迫の期間に関しては色々意見がありますが、脂肪吸引後に圧迫をしなくてもいいと言うドクターはほぼいません。
脂肪吸引後はしっかりと圧迫用の下着を着用して下さい。当院では3ヶ月を目安として圧迫下着を着用していただいております。
圧迫を行って不利益なことはありません。もっと効果が出たのでは…と後悔しないようにクリニックの指示に従い継続しましょう。
脂肪吸引後の圧迫は非常に重要です。「脂肪吸引後の圧迫は必要?矯正下着の写真とその期間とは」の記事には圧迫の必要性や実際の画像などを載せていますので参考にして下さい。
10.体重は増えないように維持する
脂肪吸引を行えば細くなり、再び大きくなりにくくなります。しかし、脂肪が完全になくなったわけではありませんので、体重が増えれば再び脂肪のボリュームが増えて太ってくることはあります。また、当たり前ですが、体重が増えれば脂肪吸引していない部分も太くなります。
脂肪吸引して細くなったからと言って安心せず、体重を維持するように食事には十分配慮しましょう。
体重が増えてしまうと、せっかく脂肪吸引したのに戻ってきたなんて後悔する場合もあります。
まとめ
脂肪吸引は非常に人気の高い手術ですが、慎重に検討する必要があります。失敗のリスクや後悔してしまう可能性をできる限り低くするために、このページでご説明した10か条をしっかり押さえておきましょう。その上で手術するべきかどうかを検討して、まずはクリニックにカウンセリングを受けに行ってみて下さい。