目の下のたるみは、多くの人が気にする悩みの一つです。たるみのために老けて見られたり、疲れて見られたりします。
このたるみを手軽に改善する方法として「目の下の脱脂」手術があります。
しかし、手軽という利点はあるものの防ぐことが難しい「失敗」というのもあります。今回の記事では脱脂手術と失敗について詳しく解説していきます。
目次
1.目の下のたるみとは
目の下の膨らみの原因の説明をしました(下記事リンク)が、その主体は眼窩脂肪と呼ばれるものです。脂肪が増えたり、勝手に出てきている訳ではありません。
とはいえ、この脂肪を何とかすることが、目の下の膨らみを改善する方法となります。
手術でないと改善しない理由に関してはこちらの記事をお読みください。
2.目の下のたるみを簡便に解決する「脱脂」手術
目の下のたるみに対する手術はいくつかの方法がありますが、いわゆる「脱脂」というものが一番手軽で簡単な方法です。
そのほかの呼び名としては「脂肪取り」「脂肪除去」「目の下の切らないたるみ取り」などと呼ばれます。
今回はこの目の下の「脱脂」について解説します。
2-1.目の下の脱脂とはどういう手術なのか?
脱脂とは脂肪を取る、抜く、手術ですが、下まぶたの表側を切っても裏側を切ってもどちらでも行えます。
ただ、現状脱脂といえばより手軽さを求めて、裏側を切って行う場合を指すことがほとんどです。
下の図の部分を切って脂肪を取り出します。
2-2.目の下の脱脂の効果
目の下のたるみ、膨らみの原因である脂肪を除去していますのでその膨らみがなくなります。
おおよそきれいになりますよね?ただし、手術後3か月の早期での結果です。
ただし、手軽にできるというだけあって不都合な事が起きたり、逆に老けて見えたりする可能性もあるのです。
2-3.目の下の脱脂の経過・ダウンタイム
一般的な経過で、ある程度はどうしても避けられないものです。
腫れや内出血が出る
脱脂は比較的腫れや内出血は少ないです。
腫れ:脱脂の主義の違いにもよりますが数日~1週間です
内出血:出ないことも多いですが、出ると2週間程度です
白目の腫れや出血
白目がぷくっと腫れたり、白目が充血のように赤くなることがあります。
頻度は少ないですが、引きにくく2週間ほどかかる場合もあります。
血の涙が出る
実際には傷口から少しの出血が起こっていますが、血の涙のように見えます。続いても1週間程度で治まります。
たまに、塊のように多めに出ることもありますが、出血が持続しなければ問題ありません。
目やにが増える、ゴロゴロする
下瞼の内側に傷ができますのでゴロゴロなど違和感があったり、刺激で目やにが増えることがあります。1週間程度でよくなってきます。
3.目の下の脱脂の失敗例
何を失敗というかは難しいですが、以下のようなことは適切に手術を行っても起きる事があります。
時間経過で元に戻ることがなく、気になる症状となる場合があるため「失敗」として解説します。
3-1.効果不十分
脂肪を切除する量がす少なかったり、年齢的にたるみが大きすぎて脂肪切除だけではどうにもならないケースがあります。
切除量が少なく脂肪が残ってしまった場合には追加で切除することも可能ですが、凹み過ぎに注意が必要です。皮膚のたるみによるものは皮膚を切除するしかありません。
3-2.凹みが残る
目の下のたるみと同時に膨らみの下に凹みが存在することがほとんどです。膨らみの下が「ハ」の字になって見えることもあります。下の写真の黄色矢印部分です。
美しい目元を作るためには、膨らみと凹みの両方を平坦できれいな曲線にすることが重要です。
ただし、脱脂だけではこの凹みは残ったままとなります。
また、この凹みは骨よりも下の位置にあります。
赤線が骨の位置ですが、脂肪を取ることにより脂肪が骨より上、中に収まって行くと考えられます。
その結果、骨と皮膚の位置が近くなり骨ばった印象を与えるようになります。さらに年齢とともに皮膚が菲薄化(薄くなる)し、筋肉も厚みが減ってきます。これによって余計に上記の印象が強くなります。
英語で「skeletonize」と表記しているものもあります。
対処法
これだけであればヒアルロン酸や脂肪を注入することによりある程度対処可能ですが、変に膨らんでしまったり、ヒアルロン酸であれば青く透ける事があります。
3-3.凹み過ぎることがある
脱脂とは脂肪を切除することですが、脂肪はかなり柔らかく少し触ると形を変えてしまいます。柔らかいわらび餅みたいな感じです。
脂肪を適切な量切除するというのはなかなか難しいですし、そもそも適切な量なんて分からないというのがあります。(手術中に座位にして確認はしますが)
とはいえ、人間の身体はよく出来ているもので大体はそこそこきれいに仕上がります。
ただし、中には取りすぎによって、もしくは予期せぬ事で凹み過ぎてしまうことがあります。技術だけではどうしようもない部分があるのです。
対処法
かなり難しいです。脂肪も使えるほど残っていないでしょう。下の症例は凹み過ぎて黒く見えている状態を手術によって何とか可能な限り脂肪を引き出してカバーしたものです。
少し改善されたのがわかると思いますが、しっかり改善するのは難しいと考えます。
3-4.目の上がくぼむ
目の下の脂肪が眼球を支えるクッションの役割をしているので、脱脂することにより眼球が下方へ落ち込むといわれることがあります。
そして眼球が下方へ落ち込むことにより、もしくは下側の脂肪が減ることにより目の上側の脂肪が落ちてきて、目の上のくぼみを助長すると言われます。
対処法
元に戻すのは不可能だと思われます。ただし、目の上のくぼみは限界がありますが、ヒアルロン酸など注入物で改善して上げることも可能です。
3-5.数年後に上記症状が出る
上記の症状は手術後早期には気にならないこともあり数年してから出てくることもあると言われます。また、技術的な問題で起こるのではなく、脱脂という行為で仕方なく起こってしまうものになり、必ずしも避けれるものではありません。
4.脱脂以外の方法
3-1.のような「効果不十分」というのはどのような手術でも起きうることがあり、ある程度は仕方ない事です。
しかし、3-2~3-4のような不都合なことが起きるため、また意図的に技術的に防ぐことができないため、脂肪を切除せずに温存する方法が主流となってきました。
その方法が「ハムラ法」と呼ばれる方法です。特に裏側(結膜側)から行う方法を裏ハムラ法と呼ぶことが多いです。
最初に裏側からの方法を報告したのは、1997年のDr. Goldbergだとされています。実に約25年前のことです。最近では日本でも一般的になりつつあります。日本人で初めてこの方法を報告したのは、2008年のDr. Momosawaです。
ただし、裏ハムラ法にも手術上のリスクや合併症が存在します。手術を受ける前には、専門医との相談や十分な情報収集が重要です。医師の経験や技術力、施設の設備などを考慮し、信頼できる医師を選ぶことが大切です
この手術の詳細に関しては以下の記事をお読みください。
5.まとめ
脱脂の失敗について解説させて頂きました。いかがでしたか?
脱脂ではどうしても避けられない不都合な事象、失敗もあり、近年は脂肪温存が主流となっています。もちろん脱脂だけでもある程度は良くなりますので手軽にとお考えの方が受けるのは否定しません。
ただし、上記のような事を十分に理解した上で行ってください。