危険!間違ったアートメイク除去方法ときれいに除去する方法

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【著者】渋谷高野美容医院
院長:高野 洋一

流行の変化や、色素の変色、未熟な技術による不満足な結果のため、アートメイクの除去を希望する人も多くいます。

また、これからアートメイクをお考えの方も、万が一、形や色が気に入らなかった場合に、アートメイクを消すことは可能かどうか気になりますよね。

アートメイクは、皮膚の中に直接色素を入れますので、簡単に取れるわけではありません。実際には、色素を取り除く事は、入れるより大変で時間も費用もかかる事が多いです。また、間違った方法で除去しようとすると、うまく落ちなかったり、跡が残ったりすることもあります。

しかし、適切な医療機関できちんと正しい方法で行えば、アートメイクをきれいに除去することが可能です。

このページでは、アートメイクの正しい除去の方法や、除去する際に生じるリスクなどを詳しく解説していきます。

こちらをお読み頂ければ、どうすばきれいにアートメイクを消すことができるか理解でき、除去をお考えの方も、これからアートメイクを入れる方も、安心して施術を受けることができます。

施術を検討する際には、必ずお読みください。

1.やってはいけないアートメイクの除去法

アメリカなどのサイトをみると、家でタトゥーやアートメイクを除去する方法が紹介されています。それらは、塩や麻酔が入ったクリームで皮膚をスクラブしたり、サンドペーパーで皮膚を削るなど、皮膚へのダメージが強く危険な方法であり、不確実です。このような方法は決して行わないようにしましょう。

またエステサロンや個人宅などで違法にアートメイク入れているところでは、同時に除去も違法に行われていることがあります。アートメイクを入れる行為と同じですが、このような除去行為を無資格者が行う事は違法ですし危険を伴いますので絶対にやめましょう。

アートメイクの除去は医療行為にあたります。必ず医療機関で治療を受けましょう。

2.アートメイクの除去の方法

スタンダードな治療はQスイッチレーザーやピコレーザーをもちいて除去する方法です。しかしながら、色素の種類によっては完全に除去できず、皮膚を蒸散するレーザーを使ったり、範囲や部位によりますが、外科的に切除するケースもあります。
下の動画のような感じで行っていきます。

2-1.Qスイッチレーザーを用いる方法

医療機関で一般的に行われるのが、刺青(いれずみ)の除去にも使われるQスイッチレーザーです。Qスイッチレーザーとはナノセカンド(10億分の1秒)というきわめて短い照射時間で、周りの皮膚に極力ダメージを与えずにターゲットとなる色素を瞬間的に破壊するレーザーです。基本的に黒い色素によく反応します。レーザーの種類によってはQスイッチルビーレーザーは緑、Qスイッチヤグレーザー(532nm)は赤にも反応します。

黒色とは相性がよく、数回の施術は必要ですが、かなり高い確率で除去できます。

しかしながら、眉のアートメイクは髪色に合わせて茶色い色素が好まれ、またアイラインも時間とともに青みがかってくる変色を防ぐために、赤や多種の色素を混ぜている事がおおくなり、レーザーで除去が難しいケースも増えました。

茶色い色素に関しては赤みの成分である酸化鉄が含まれることが多く、レーザー照射によりいったん黒変してしまうことがあります。Qスイッチレーザーを繰り返す事で薄くなってきますが、単純な黒い色素よりもかなり回数がかかったり、除去しきれず黒いまま残ってしまうこともあります。

また修正につかわれる肌色や白色の色素は、主に酸化チタンが使われており、Qスイッチレーザーに反応しなかったり、黒や緑に変色したりします。レーザーへの反応はきわめて悪く、除去出来ないケースがほとんどです。

黒色 良く反応する。除去しやすい
茶色 一旦、黒くなる事あり。続けると除去できる場合多いが、回数必要(黒より難しい)
肌色 修正用に使われる色で、除去は難しい場合多い
除去剤使用後 レーザーへの反応悪い

*色素に混ぜ物がある場合は除去できない場合や変色する場合もあり

2-2.ピコレーザーをもちいる方法

ピコレーザーはQスイッチレーザーの進化版の最新のレーザーでQスイッチレーザーのナノセカンドという照射時間をさらにみじかい、ピコセカンド1000億分の1という照射時間をもったレーザーです。
照射時間が短いと、①熱による破壊効果に加えて光音響効果という振動も発生して破壊効果が強くなる ②色素をさらに細かく砕き分解されやすくする ③周りの皮膚へのダメージがさらに少なくなるので、Qスイッチレーザーに比べて照射回数が少なく、施術に伴うリスクを減らす事ができます。

“Qスイッチレーザーかピコレーザーか”

ピコレーザーはQスイッチレーザーの上位機種だと思って下さい。同じような効果・作用をもたらしますが、ピコレーザーの方が回数が少なくて済む・皮膚への反応が低くリスクが少ない、など考えられます。しかし、値段も高くなり、絶対にピコの方がお勧めと言う訳ではなく、除去を行っているクリニックにあるものでいいと思います。

 

眉毛部分(黒)とアイライン(黒)のアートメイク除去をQスイッチレーザーで行った32例中30例が3回以内の照射でほぼ全体が除去できた。と言う報告(*)もあります。

(*)小林よう:QスイッチNd:YAGレーザーによるアートメイク除去の経験.形成外科55, P1345-53

3.Qスイッチレーザー・ピコレーザーによるアートメイク除去のリスクと注意点

ダウンタイムがある

レーザー後、1週間ほど赤み・腫れが出たり、かさぶたになったりします。

施術後の瘢痕(はんこん)が残る可能性はある

アートメイクをいれたときにできた瘢痕が、色素が除去されることによって見えるようになる事があります。(白っぽく、微妙に少しへこんでいるなど)またQスイッチレーザーやピコレーザーは極力正常皮膚にダメージを与えずに色素の除去を行いますが、出力を強くしたり回数を重ねる事によって瘢痕が出来る事があります。

*瘢痕(はんこん)とは凹凸のあるボコボコした目立つ傷です。

効果が不十分な場合がある

黒い色には反応が良いですが、色素によっては反応しないものもあります。
どちらのレーザーも万能ではない事は知っておきましょう。ピコレーザーは色素に反応するだけでなく音響効果も強くなるので色に関係なく効果が出ると言われることもありましたが、やはりすべての色が除去できる訳ではありません。

また、レーザーを当てる事で黒色に変色し、逆に目立ってしまうことがあります。この黒色変化は繰り返すと薄くなる事もありますが、取れない事もあります。特に、肌色の色素の場合は黒色変化してもなかなかとれないことが多いです。

脱毛の可能性がゼロとはいえない

Qスイッチレーザーもピコレーザーも照射時間がかなり短いため、原理的には脱毛効果はないのですが、照射による熱がこもりすぎて炎症が遷延すると、毛を作る細胞に影響をあたえて半永久的な脱毛が起こってしまう可能性は否定できません。

4.Qスイッチレーザー・ピコレーザーで取れないアートメイクの場合

もしQスイッチレーザーやピコレーザーで取れない場合は、違う種類のレーザーを使って皮膚その物を削って色素を除去する方法と手術によって皮膚を切り取ってしまう方法があります。

4-1.CO2レーザーで皮膚を削り、色素を取る

使用するレーザーはCO2レーザーと言い、皮膚を削る作用があるものです。これは色素に反応するわけではありませんのでアートメイクだけを取り除くものではないのです。しかし、Qスイッチレーザーやピコレーザーの色に反応するレーザーで取れない場合は、CO2レーザーで皮膚も一緒に削って色素を除去しようと言う方法です。

皮膚の中に入った色素を削り取る位にレーザーを強く当てるので、色素の入っている深さや体質によって赤みや削った跡が残る事があります。
施術後のケアをしっかりして、きれいに皮膚に治癒させる事が非常に大事です。しっかりと傷跡を軟膏や保護剤で保護して、速やかな皮膚の治癒をはかります。施術後しばらくは赤みがでますし、深くまで削りすぎたり、術後の処置がわるいと、瘢痕になって逆に目立つ傷になる可能性があります。

また、色素の深さが深すぎる場合は瘢痕のリスクが高くなるため取りきれなかったり、脱毛のリスクがあります。

アートメイクの除去の方法の選択肢の一つに入りますが、リスクも高いた治療法のため、注意が必要です。

4-2.手術で皮膚ごと切り取る

Qスイッチレーザーやピコレーザーの効果がなく、デザイン的(一部だけ取りたいなど)に手術で切り取った方が早くて傷もキレイになりそうな場合は、希望に応じて手術で切り取る事もあります。

ただし、皮膚を切り取ってもデザイン的におかしくない場合にしか行えません。
レーザーで薄く皮膚を削るのではなく、皮膚を丸ごと取って縫い合わせる方法です。少なからず手術の跡の傷が残ります。また、眉毛の場合はその部分の毛も無くなります。

5.お勧めできないが、上記の方法でアートメイクが取れない場合取れる可能性のある方法

除去剤を使った方法

従来のアートメイク業界でしばしば使われた方法です。乳酸やグリコール酸などを主成分とした『除去剤』をアートメイクの手技を使って針で皮膚に傷をつけて入れこんでいく方法です。(ただし除去剤としてFDAなどで認可を受けている商品は存在しません。FDAとはアメリカの厚労省のようなものです。)

このような酸を使う方法では、反応に個人差も大きく、加減がとても難しいので、強い炎症が起こり後に瘢痕になってしまう事もありますのでおすすめはできません。

しかしながら、炎症がきちんとコントロールできれば、色素の種類に関わらず除去できる可能性がありますので、レーザーなどでどうしても反応しない色素の場合、選択肢の一つとなりうるかもしれません。ただし、経験値が十分にあり、アフターケアがしっかり出来るクリニックを選びましょう

肌色の色素を入れる方法

こちらも従来のアートメイクでよく行われていた方法です。肌色の色素をいれて、アートメイクの色素をカモフラージュします。

ただし皮膚の人の色は血流や季節によっても変化しますので、アートメイクの肌色の色素を完全になじませるのは困難で、逆にいれたところが浮いて目立つ事もある上、肌色の色素一度入れるとかなり厄介で、レーザーでの色素除去を困難にしてしまいますので、おすすめは出来ません。

しかしながら、レーザーなどをまず検討し、試してみた上で、どうしても除去が困難な場合、選択肢の一つになる可能性があります。

6.まとめ

アートメイクは入れるよりも除去する方が難しく、費用も掛かる場合があります。そして、間違った方法で除去を始めてしまうと、余計に取れにくくなる事もあります。

まずはアートメイクを入れるべきかどうか、そして、アートメイクを除去したい場合も間違った方法では行わないようにしましょう。

著者紹介:青木由佳医師

今回の記事は、青木由佳医師に執筆頂きました。

アートメイクの除去について詳しく調べて頂き、まとまった記事に仕上がりました。特に一般の方はご存じないと思いますが、混ざっている色素によってもレーザーの反応が違う事などを詳しく書いて頂いております。
アートメイクを除去したい人も、これから入れようと考えている人にも参考になる記事に仕上がったと思います。

以下に青木医師の紹介を致します。

 

経歴

2004年 神戸大学医学部卒業 神戸大学病院病院勤務
2006年~大手美容皮膚科、藤田保健衛生大学皮膚科等

勤務先

皮膚科さとうクリニック(六本木)

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