ブタ鼻を治す鼻中隔延長とは?手術の方法から術後の経過とリスク

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鼻中隔延長(びちゅうかくえんちょう)というのは鼻先を高くしたり、下に向けたりするための手術です。鼻尖(びせん)形成や鼻尖縮小と言われる手術よりも、より高さを出すことができたり、鼻先の向きを変えることができます。

しかし、鼻の美容整形手術の中では大きめの手術になりますので、どんな手術なんだろう?手術後は大丈夫かな?失敗しないかな?と心配なこともあると思います。

この記事では鼻中隔延長(びちゅうかくえんちょう)を300件以上行ってきた医師が、手術方法や経過、リスクなどを詳しく解説します。

この記事を読んで頂ければ、リスクなどもしっかり理解でき、手術を受けるかどうかの判断に役立ちますので、是非お読みください。

1.鼻中隔延長とは

鼻中隔延長とはどんな手術?

鼻中隔(びちゅうかく)延長とは、鼻先を高くしたり、鼻先を下に向けたりする手術方法です。

方法としては、「鼻中隔軟骨(びちゅうかくなんこつ)」という左右の鼻の穴を隔てる壁のような軟骨を長くし、長くなった鼻中隔軟骨に鼻先にある鼻翼軟骨(びよくなんこつ)を固定します。

鼻先をつまんでシュミレーションする方がいますが、肝心な部分が手で隠れていたり下方向に引っ張っていたりして、わかりづらいと思います。鼻中隔延長の効果は、綿棒を2本用意し、各鼻の穴に入れて前方や下方に出してみるとよいでしょう。

軟骨移植の種類

大きく分けると自分の軟骨で延長する方法と自分以外のもので延長する方法があります。

自分の軟骨の場合は、・耳の軟骨・肋軟骨・鼻中隔軟骨(くり抜き)があります。

自分以外では、・豚の肋軟骨・人の肋軟骨・PDSがあります。自分の身体の採取部の犠牲(傷ができない等)がない点のみがメリットです。

実際はこれらを単独ではなく、組み合わせておこなうことが多いです。

鼻中隔延長の効果

①鼻先の高さを2㎜以上出したい②鼻先の向きを変えたい③穴の見え方を変えたいこれが鼻中隔延長が適していると思われる3大要素です。

 

 

2.鼻中隔延長が向いている人

向いている人

①鼻先の高さを2㎜以上出したい

②鼻先の向きを変えたい(ブタ鼻を治したい、下向きの鼻を治したい)

③鼻中隔軟骨が丈夫で、リスクをよく理解している方

向いていない人

①鼻中隔軟骨が弱い方(診察が必要)

②すでに鼻の手術後の方は手術を行いにくい

③鼻閉(鼻がつまっている)

④鼻の疾患がある方

鼻中隔延長をする事により理想とする鼻に近づくことは可能です。しかし、必ず100%の仕上がりというのはなかなか難しく、鼻は出ている部分で多方向から見えるので、見る方向によっても違って見えたりします。また1㎜単位の微細は変化でも違って見えます。結果は全て手術でコントロールできる訳ではありませんので、理想通りじゃないと絶対に妥協できないという人は鼻の手術は向きません。

鼻中隔軟骨が弱いと手術できない|鼻中隔軟骨が弱いかどうかチェックする方法

鼻の穴に指を入れて、左右の穴を隔てているのが鼻中隔軟骨です。
鼻先を下につぶした際に、1㎝以上潰れたり鼻が妙に柔らかい方、鼻が全体的に小さい方は中隔軟骨が弱い傾向がありますが、基本的には医師の診察が必要です。

 

3.切らない鼻中隔延長の手術と効果

糸で鼻先をわずかに延長する手術です。2㎝前後の糸を鼻先の皮膚から数本挿入します。元に戻った、鼻先から糸が出てきた、感染したなどのトラブルケースを聞く事も少なくありません。

糸の手術なので、当然希望する形に対する柔軟性も乏しく「期待以下」「元に戻る」「糸が出てくる」など切る方法には少ないリスクもあります。また、注意が必要な点は糸の鼻中隔延長を始めに行うと、切る手術も大変になってしまうという事です。

どうしても、ダウンタイムが取れない方、切る方法での鼻中隔延長を受けたくない方、効果がわずかで戻ってもよい方が選択する方法だと思います。

 

4.鼻尖形成(びせんけいせい)・軟骨移植(なんこついしょく)など他の手術と何が違うの?

鼻中隔延長も鼻尖形成、軟骨移植も鼻先を整える手術ですが、何が違うのでしょう?

①鼻先の高さを2㎜以上出したい②鼻先の向きを変えたい③穴の見え方を変えたいこれが鼻中隔延長が適していると思われる3大要素です。

 

鼻翼軟骨を固定するのは「鼻中隔延長」も「鼻尖形成」も同じですが、伸ばした鼻中隔に合わせて自然に鼻翼軟骨を固定するのと、団子鼻を解消するために行うのとで少し意味合いが違ってきます。

費用的に鼻尖形成も鼻中隔延長の値段に含んでいるクリニックもあれば別途になっているクリニックもあります。鼻中隔延長単独で、鼻先の形をどこまで形成してくれるのか別料金になるのかはチェックしておきましょう。

以下に比較表を示しますが、絶対的なものではない事をご理解ください。

鼻中隔延長(鼻中隔延長) 鼻尖形成(びせんけいせい) 軟骨移植
高さ 2㎜以上の高さを出す 高さはほぼ出ない 軟骨移植をすれば1~2mm
向き 鼻先の向きを変えることができる  できない できない

穴(正面から)

鼻の穴を縦長にする、穴を見えにくくする 変化なし 変化なし
団子鼻 少し改善 改善する

・軟骨移植自体では改善しない
・鼻尖形成と同時に行えば改善する

手術時間の目安 2-3時間 1-2時間

1-2時間(単独で行う事はあまりない)

費用の目安 約70万円(軟骨移植を含まない場合や含む場合あり) 40万程度(鼻尖形成のみ)

*軟骨移植だけを単独で行う事は少なく、鼻尖形成や鼻中隔延長と同時に行う事が多いものです。相談の時に、軟骨移植単独と思って来られる方もいますので、表にして示しています。

5.手術の方法

鼻中隔(びちゅうかく)延長の詳しい手術の方法と組み合わせを考える手術も参考に解説しています。

5-1.鼻中隔延長の手術方法 

局所麻酔のみで手術することも可能ですが出血も多く、長時間の手術になることもあるので全身麻酔もしくは、点滴から眠くなる麻酔を使用した状態での局所麻酔にておこないます。

一般的には「オープン法」という、鼻の穴の中から鼻柱(びちゅう・左右の鼻の穴の間)まで切開し、中の構造が良く見える状態で手術します。

 

 

左右の鼻翼(びよく)軟骨、鼻中隔(びちゅうかく)軟骨を丁寧に出し、延長する材料を鼻中隔軟骨に縫って固定し、長さを得ます。

くり抜き法の場合は、鼻中隔軟骨を骨との接合部まで丁寧に出してL字型に残し、L字以外の部分をくり抜き、これを材料とします。

延長された鼻中隔軟骨の端に、左右の鼻翼軟骨を縫って固定します。

この際に固定する場所の違いで鼻先が伸びる方向、高さなどが調整できます。

鼻先にさらに軟骨を移植したり、鼻尖形成(左右の鼻翼軟骨を寄せて形を変える)なども

同時にすることが多いです。

(延長術は高さや方向を調整するのには良いですが、鼻先・鼻尖の細かい形の調整はできません。)

プロテーゼを入れる方も、延長終了後に鼻根~鼻先の変化を見てから、加工し挿入します。

5-2.同時に行われる手術とその必要性

プロテーゼ

鼻先の高さだけでなく、鼻根~鼻背の高さを同時に出すためには必要です。

プロテーゼが入っている方は、鼻中隔延長を後からすることはできるのですがプロテーゼの長さが合わなくなることがあるので入れ替えが必要になります。
鼻中隔延長をした後に、プロテーゼをしたくなる方もいます。その場合は、技術的には可能なのですができれば同時におこなったほうが鼻の負担も少なく、良いでしょう。

鼻尖への軟骨移植

鼻中隔延長だけでは、鼻先の形の細かい調整は難しいので併用します。

鼻尖形成

団子鼻の方は、同時に手術して細くします。

中隔延長や鼻尖形成、軟骨移植はどれもするなら一度にしたほうがよく、後から追加オペはやや困難なことがあります。

小鼻縮小 

小鼻が気になっている方は、同時におこなうことが多いです。

鼻中隔延長をすると、多少の小鼻の大きさは気にならなくなるケースもあります。
ただ、明らかに小鼻が大きい方、気になっている方、理想の鼻が小さい鼻を目指す方は、手術が必要でしょう。
時間的に余裕がある方は、中隔延長の効果・結果を見てから改めて、小鼻の手術をする事も問題ありません。
小鼻は、鼻尖あたりの手術とは部位が違うので後日おこなうことに支障がないです。

5-3.軟骨を取る場所とその後の状態

鼻中隔延長を行う場合、鼻中隔軟骨の一部分をくりぬいて使用する場合や、他の軟骨を使用する場合があります。現在どのような状態で、目指す鼻の形を実現するために、上に示したどの方法と組み合わせるかによって使用する軟骨は変わってきます。それぞれの選択は医師が決めますが、他からも組織を取る事があるという事を知っておいてください。

スタンダードなのは、鼻中隔(びちゅうかく)軟骨くり抜きもしくは耳介軟骨(じかいなんこつ)移植です。

鼻の手術後の修正やかなり高い鼻、変化の大きい鼻をご希望の際にはご自身の肋軟骨(ろくなんこつ)を使います。

鼻中隔軟骨の丈夫さ、大きさとお客様のご希望を総合判断して方法を決めますが、 人工物(ヒト肋軟骨、豚肋軟骨、PDS)による手術は、私は個人的におすすめしていません。感染や溶けてなくなるなどのリスクが上記2方法に比べ高いと考えています。

鼻中隔軟骨くり抜き法

肋軟骨や耳介軟骨などの犠牲がなく、材質として優れています。ただし、鼻中隔軟骨としての土台は少し弱くなりますし、たくさん採取することはできません。

生まれつき鼻中隔軟骨がとても小さく、くり抜きができないケースもあります。

耳介(じかい)・耳珠(じじゅ)軟骨

耳介の裏側から切開し、軟骨を採取します。たくさん必要な場合は両側からとることもあります。耳珠からの場合は、1㎝くらいの切開で1㎝×1㎝程の軟骨を採取します。

術後の固定は必ず必要です。血腫になると耳が変形しますので要注意です。

軟骨としては柔らかく、大きな延長には向きません。手術後に形が変形します、耳が少しねる方向に向かいますが、気にならない程度です。

肋軟骨(ろくなんこつ)

乳房の下の縁あたりに2㎝前後の切開をして肋軟骨(肋骨ではありません)を採取します。術後はコルセットを装着することが多いです。

硬く、量も十分確保できるので材料として最適です。

再手術の方や大きな延長効果を得たい方には向いています。

手術後も形はほぼ変わりませんが、胸の下に傷が残ります。

6.手術後のダウンタイムの種類と経過

圧迫の固定具や抜糸までは糸が付いているので1週間お休みがあった方が良いでしょう。

腫れ 1週間前後
むくみ 2か月前後
(初めの2週間以降はほとんどわからないくらいのむくみです)
内出血 2週間(出ないケースのほうが多いです)
鼻づまり、鼻水 1週間~3週間
痛み 1週間くらい(内服の痛み止めで治まる程度です)

7.手術後の過ごし方と避けるべきこと

手術後は鼻を固定して過ごします。医師にもよりますが、1週間程度は固定が必要です。また、抜糸も1週間前後です。

避けるべきこと

鼻を強くかむこと、指でいじることは2週間は避けましょう。

お酒は2週間ほど、長風呂・サウナ・スポーツは1か月ほど避けたほうがいいでしょう。

鼻をぶつけてはいけません。(その危険があるスポーツも禁止です。)

8.鼻中隔延長手術のリスク・失敗

感染して腫れることがある(1-3%)

自分の組織ではないものを使用したケースのほうがやや多いようです。

左右差・曲がり

わずかなものは必ず出ます。

術前から左右差があるケースはそのまま残ることが多いです。

鼻先が硬くなる(100%)

必ず術前より硬くなります。

鼻先があまり動かなくなる

衝撃に弱くなります。(クッション機能を失う)笑った際に、矢印鼻が強調される。

皮膚が薄くなる

皮膚が延ばされた分、薄くなります。

日本人はやや厚いので気にならないかもしれませんが、鼻の動きが失われ、皮膚も薄くなることで軟骨の形が浮き出てしまうことがあります。

血腫:血が溜まることがある(約1%)

血が溜まってしまいます。除去すれば改善しますが、放置すると拘縮(こうしゅく:硬くなること)や感染につながることがあります。

除去が必要な血腫は1%くらいです。

鼻閉:鼻が詰まる(1%未満)

術後のむくみによるものは1~2週で改善します。

しかし、軟骨が原因で生じる場合は、再手術をしないと改善しません。

 

9.料金相場 

鼻中隔延長は自由診療なのでクリニックによって値段が大きく変わります。おおよその相場は約70万円ではないかと思います。クリニックによっては耳の軟骨を取る料金が表示の値段に含まれていたり、含まれていなかったりします。

自分に必要な手術の種類を医師と相談して決める事、そして値段について考える事が重要です。

 

7.医師を選ぶ際のチェックポイント

鼻中隔延長術は、やや難易度の高い手術です。以下の点をチェックポイントとし、医師を選ぶのが良いと思います。

  • 手術件数を確認しましょう。
  • 美容外科医としての年数を確認しましょう。
  • 確認できる場合は、症例写真などを多数見せてもらいましょう。
  • 合併症の説明をちゃんとおこなっているか確認しましょう。

希望を確認し、それができる範囲内の希望なのか、顔全体のバランスから不自然ではないかを確認します。横から見た時のおでこから、あごまでの一連のカーブも重要です。

術前の顔のゆがみ、小鼻の左右差(高低差・大きさ)、鼻全体や鼻先の曲がり、中隔軟骨の湾曲や鼻腔内の左右差などを丁寧に観察し、延長する軟骨を、左右の穴のどちらに配置するのかどの角度に、どの位置に、何mm延長するか、を検討します。

例えば私は、採取した軟骨の形や大きさから配置を考えています。配置が決まれば、あとは何㎜延長するかを決めます。その後、鼻翼軟骨を固定する際に鼻背側の高さ(眉間からの連続性)、どれだけ鼻を下げるか(鼻柱の下げ具合)、横からの流線形、プロテーゼも挿入する際はその連動、を考えながら固定します。

1㎜違えば、違う鼻になります。

たぶん、術者にしかわからないレベルですが・・。鼻は、芸術性が高い手術だと思います。技術がないのは論外ですが、技術だけがあってもダメだと考えています。

著者紹介:居川和広医師

今回の記事は居川和広医師に執筆頂きました。多くの知識や経験から記事を書いてくださいました。居川医師の経験や鼻の手術へかける情熱が伝わってくる内容にまとまったと思います。以下に居川医師の紹介を致します。

経歴

2002年 札幌医科大学医学部卒業
札幌医科大学附属病院形成外科勤務
2003年 徳洲会札幌病院勤務
2004年 札幌医科大学附属病院形成外科勤務
2005年 市立室蘭総合病院形成外科勤務
2006年 湘南美容外科クリニック勤務
2014年 SBCメディカルグループ 副総括院長に就任

居川医師をお勧めする2つの理由

鼻の手術が好き

好きこそものの上手なれ、と言いますが、居川医師は鼻の手術が大好きで研究熱心です。手術をたくさん行っているだけの医師よりより高いレベルでカウンセリングから手術まで行ってくれるはずです。

医師にも慕われる人柄

湘南美容クリニックでは私の上司でしたが、彼は経験も長いということもあるのですが、他の医師にも慕われる人柄で、親身にカウンセリングも行ってくれるはずです。

居川医師のカウンセリング予約は以下より

居川医師に直接相談・カウンセリングしたい方は「湘南美容外科クリニック」よりクリニックページへどうぞ。現在は週に1回しか診療を行っていないようです。

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