鼻尖形成(縮小)の手術を解説します。鼻尖とは鼻先のことで、鼻尖形成(縮小)手術は主に鼻先を細くしたり小さく見せたりする手術です。
鼻先を小さくする手術が鼻尖形成だと知っていても、実際にどんな手術をするのか、自分に合っているのかどうかなど分りにくい事が多いと思います。
鼻の形は人それぞれで、希望される最終形も人によって違うので、一概に手術方法やお勧めをすることは出来ませんが、この記事では分りにくい鼻の手術をできる限り分りやすく解説するようにしました。
この記事を読んで頂ければ、鼻尖形成(縮小)とはどのような手術でどのような効果があるのか、リスクや気を付けるべきことなどがお分かりいただけると思います。
目次
1.美しい鼻とは
正面からみて額・眉間から鼻根・鼻尖(鼻先)にかけて連続性があり、
右斜めから見た場合には、左の目の上の部分から鼻根部(鼻の根元)にかけて連続性のままの線が見られ、鼻先にかけて真っ直ぐかやや上向きで左の鼻先の頂点で終わる。
鼻尖(鼻先)は右の頂点、左の頂点、鼻根部と鼻尖部(鼻先とそれより上側)、鼻橋部と鼻尖部(鼻先とそれより下)を分ける4つの点があると美しいとされています。
2.鼻尖形成とは
鼻尖形成とは鼻先を整える手術の方法ですが、多くの場合は団子鼻を解消したり、鼻先をとがらせたりする事を目的にした意味で使われることが多いです。
鼻尖(鼻先)を気にされている方の多くは自分で鏡を見た時の鼻、正面からの状態ばかりに気を取られがちですが、真横から見る側面の状態や下から見上げた鼻の穴を見る状態での鼻の形の把握と言うものがトータルで鼻をキレイにするためには不可欠です。
3.鼻尖形成の手術の効果
鼻尖形成でどのような手術を行うかによって効果が変わってきます。また1章でお伝えしたように、側面から見た状態によっても手術の方法を変える必要があります。 しかし、一般的には団子鼻を解消し、スッキリさせることが目的です。
*写真提供:阪田美容形成外科
3-1.日本人は鼻尖形成の効果が出にくい
実は、日本人(東洋人)に団子鼻は多いのですが、鼻尖形成術は日本人には効果の出にくい手術です。西洋人と比べてみると、
- 鼻の皮膚が厚くてうまく形を作りにくい
- 鼻を支えている軟骨が柔らかくてしっかりした形を作りにくい
- 鼻の脂肪が多く団子鼻になりやすい
と言うような理由があります。
4.鼻尖形成手術の方法
この章は少し難しいですが、よく読んで頂けるとカウンセリングの時に医師がいっていることが理解しやすくなると思います。
読み飛ばしてもOkですが、しっかり理解したい人は読んでみて下さい。
一般的な鼻尖形成手術は、団子鼻の張り出しを取り、鼻先をとがらせるように軟骨を縫い合わせる手術です。
しかし、日本人の場合、これらの方法では効果が少なかったり、もともと鼻先の向きが上向きだったりする人には余計に目立ってしまったりと、不都合な事が起きてしまう事もあるのでトータルでどういった手術をするかを考える必要があります。
鼻尖形成を行う時は、その人の鼻のタイプによっていろいろな方法があります。
鼻中隔延長と言う手術を除くと以下の組み合わせになります。
- 鼻翼軟骨を寄せるタイプの手術か切り離すタイプの手術か
- 軟骨移植を行うがどの位置に軟骨を乗せるのが妥当か
どの方法が優れているかと言う観点ではなく、どの方法が自分の理想に近づけるかを医師と相談するべきでしょう。
つまり鼻先(鼻尖)の軟骨を寄せるのが鼻尖形成なのですが、それだけでは効果が出にくいため、日本人では多くの場合、追加の処置が必要です。
以下のような、「不必要な組織や軟骨(鼻翼軟骨)を切除し、残った鼻翼軟骨を少し寄せ、鼻先(鼻尖)に軟骨を移植し(鼻先)鼻尖を作る方法」が、よく行われる方法と考えられます。
4-1.鼻翼軟骨を寄せるタイプの手術か切り離すタイプの手術か
上のイラストのように鼻翼軟骨を寄せるだけでもいい効果が出る事はありますが、上記で解説したようにそれだけでは不十分な場合もあります。
これらの場合では、鼻翼軟骨の外側と内側を切り離して左右を縫い合わせます。こうする事でただ単に左右の軟骨を寄せるよりも大きな効果が得られます。
しかし、このように軟骨を切り離して行う手術は、正常な軟骨構造を破壊してしまうという点や、正常な構造でなくなってしまうために修正などの再手術が難しいという考え方もあります。
いずれにせよ、どちらが優れているかという観点でなく、どの方法が自分の鼻に合っているか、希望とする鼻に近づくために必要かという事を主治医と相談することが重要です。
4-2.軟骨を移植するか、移植する場合はどの位置に移植するか
軟骨移植なしの手術で、希望する鼻先を実現できない場合、軟骨を移植して形を作ります。
耳の軟骨(耳介軟骨)を使う場合が多いですが、切り取った鼻翼軟骨と言うものを使用する事もあります。
手術を受ける方が軟骨移植をするかどうかの判断をすると言うよりもカウンセリングでの希望を聞いて、医師が判断することが多いです。
耳介軟骨の上に鼻翼軟骨を補助として付け、耳介軟骨の形が目立たなくしたり、皮膚の薄い人では、鼻先のところから切り取った軟部組織を耳介軟骨に付け足し、耳介軟骨の形が、目立たなくすることもあります。
4-3.傷口はクローズ法かオープン法の2つ
鼻尖形成の切開方法は2つあります。オープン法とクローズ法です。
オープン法のメリットは、施術者が同時に左右の軟骨を確認しながら手術できるので操作楽だという点があり、デメリットは傷が鼻柱(鼻の穴の間の部分)に見えることです。
クローズ法のメリットは、傷が見える部分(鼻柱)に傷が出来ないということ、デメリットは手術操作が難しくなるという点ですが、手術中の手術後のイメージはクローズ法の方が行いやすく、鼻尖のみであればクローズ法では十分かなと思います。
どちらが優れているという訳ではありませんが、このように2種類あります。
5.どの手術法が向いているのか?
では、私はどの手術を受ければいいのだろうか?とお思いですよね。残念ながらここで、こういう方にはこの手術が向いているとか、オススメだという事は言えません。
なぜなら、まず鼻尖形成を希望される方の鼻はそれぞれ違います。皮膚の厚さや軟骨の厚さ、組織の多さなど、そもそも鼻の状態に違いがあり過ぎるということ。
また、同じような鼻でも希望する最終形に患者さんごとで違いがある事も多々あります。
自分の希望や状態を医師に確認して治療プランを組み立てることが最重要です。正面からの鼻の形の希望を伝えるのではなく、とこから見た時にどう見えた方が良いのかも考えて意思を伝えましょう。
ここで知っておいて欲しいのは、3章で解説した手術方法によって値段が変わってくるという事です。
6.鼻尖形成手術以外で鼻尖の形を整える方法は鼻中隔延長
鼻尖形成では限界のある症例では鼻中隔延長(びちゅうかくえんちょう)と言って、鼻の中心にある軟骨を伸ばす事によって形態を整える手術を行います。
鼻尖形成では修正しきれないような形をしている場合や、鼻尖形成では希望とする変化や結果を得られない場合に行われます。
写真提供:阪田美容形成外科
7.手術のダウンタイムと経過
数日間(主に5日間)は鼻用ギプスで固定を行う事が多いので、その間はお休みを取った方がいいでしょう。
しかし、鼻先はマスクをすれば隠れるところですので、マスクを付けておいて大丈夫な方はテーピングをしていても外出や出勤できます。
鼻先だけの手術の場合、ギブスを取るとそれほど大きな腫れは出ていません。1ヶ月くらいかけて細かな腫れが引き、さらに1カ月経つ頃には瘢痕(はんこん)と言って組織が硬くなります。結果1ヶ月後が一番細く見え、硬く感じる事も多いです。
術後3ヶ月から6カ月で手術による硬さも取れて完成となります。
7-1.腫れが出るが、少ない
鼻尖形成の場合はそれほど大きな腫れは出ません。鼻尖(鼻先)だけの手術の場合は、ギブスが取れれば腫れは心配しなくてもいいですが、まだ出来上がりの形ではありません。
7-2.内出血が出る事がある
鼻の手術の場合、それ程大きな内出血が目立つ事はありませんが、鼻や鼻の周りの皮膚が青や紫、黄色っぽくなることがあります。
7-3.手術後に違和感が出たりや感覚が鈍くなることがある
ほとんどの場合は徐々に戻ってきますので心配ありません。
7-4.鼻血が出る事がある
鼻の穴の中を切っているので、術後数日はそこから鼻血が出る事があります。常に出続ける場合でなければ心配しなくても大丈夫です。
また、1-2日は鼻の穴に詰め物をしています。血が溜まらないように内側からも抑える効果があります。
7-5.鼻先が硬くなる、動きにくくなる
鼻先に軟骨を移植した場合は特にですが、鼻先が1-3ヶ月硬くなります。3-6カ月で少しずつ柔らかくなってきます。
8.起こりうるリスクや失敗
8-1.思った様な効果が得られない
思ったより効果が出ない場合や写真に撮ってよく見ないと効果が分らないような変化に乏しい場合もあります。
特に以下のような場合があります。
- 皮膚の薄い場合
- 軟骨が薄い場合
- 軟部組織が多い場合
手術の失敗と言うよりも、手術前のカウンセリングでしっかり話を聞くようにしましょう。
8-2.左右差が出る事がある
手術手技によって左右差が出る場合や、元々の左右差が目立ってしまう場合など理由は様々です。もともと左右差や鼻の歪みがある方は鼻尖形成だけでなく歪みを修正する手術が必要だったり、手術の手技によって左右差が出た場合は修正手術が必要な場合もあります。 しかし、微妙な左右差は誰にでもあり、鼻を高くする事で目立ちやすくもなります。
8-3.pollybeak変形
鼻尖形成を行ったあとにpollybeak(オウムのくちばし)変形というものがあります。正面から見た場合は鼻先がシャープになって見えるのですが、横から見るとオウムのくちばしのように丸く見えると言う状態です。
Polly beak変形は少なからず避けられないです。そのために、耳介軟骨を鼻先に移植して目立ちにくくしたり、I型プロテーゼやヒアルロン酸で目立たなくする事もあります。
8-4.ピンチノーズ変形
鼻尖を細くし過ぎると、鼻先を洗濯ばさみでつまんだかのような形になってしまいます。自分の指で少し鼻先をつまむ程度であればキレイに見えると思いますが、思いっきりつまむと変に見えますね。 軟骨を過度に切除し過ぎたり、皮膚の下の組織取り過ぎたりすると起こる事があります。
また、皮膚が薄く軟部組織が多い人に起こりやすい変形です。
もし起こってしまった場合は、凹みに軟骨や軟部組織を移植して目立たなくすることもあります。
8-5.長期的な形の変化
日本人に鼻の皮膚は厚いので、鼻先を高くしても元に戻そうとする力も働いています。
最終的な手術の結果は6カ月で出ますが、それ以降に大きな変化が起こる可能性は少ないです。
9.失敗しないために絶対知っておくべき注意点
鼻尖形成を行うにあたって、手術前に知っておいて欲しい注意点をお伝えします。
9-1.鼻尖に注入(ヒアルロン酸注射)はしない方がいい
手術しないでなんとか理想の鼻に近づきたい…そう思う気持ちは分ります。そこで、鼻先にヒアルロン酸注射をして鼻先をとがらせようと言う処置があるのですが、オススメしません。 なぜなら、鼻先にヒアルロン酸を注射して血管が詰まり皮膚が壊死(障害を起こす)する可能性が他の部位よりも高いからです。
もちろん、他の部位でもこのような事は起こりえますが、鼻先は特に注意が必要とされて行ってくれないクリニックも多々あります。
9-2.切らない鼻尖形成は元に戻る可能性が高い
ここ数年で、糸を鼻に入れて鼻先を細くしたり、鼻先をとがらせたりと言うような方法が出てきました。そのような事が出来れば理想なのですが、何度の言うように硬い日本人の鼻が糸だけで変わるとは考えにくく、持続しないでしょう。
もし、糸の方法で行うのであれば、あくまで手術前のイメージを得るためや、絶対に手術は嫌だから糸でダメなら諦めると言う方以外はオススメしません。
9-3.L型プロテーゼで鼻先を高くする方法はやめた方がいい
L型プロテーゼと言うものがあり、これで鼻先を持ち上げる方法もあります。しかし、プロテーゼが移動したりずれたりしてトラブルを起こす事が多いという事が分って来たので最近ではあまり使用されることはありません。
10.手術費用とドクターの選び方
都内の11クリニック調べました。鼻尖形成のみの場合(軟骨移植を含まない)25-40万円(平均37万円)鼻尖形成+軟骨移植の場合40-55万円(平均63万円)が相場でした。
鼻尖形成+軟骨移植は価格差が大きく、相場感と平均値がずれています。
単純な鼻尖形成(縮小)では安かったのに、実際の見積もりは「切り離すタイプの鼻尖形成+軟骨移植」で倍以上の見積もり…なんてこともあります。
事前に料金を調べる時は、鼻尖形成のみの場合、鼻尖形成+軟骨移植の場合、切り離すタイプの鼻尖形成+軟骨移植の場合など、自分が思っている料金と開きが出てくる可能性があるという事を事前に知っておいてください。
11.まとめ
今回は鼻尖形成に絞って解説しましたが、鼻の形はそれぞれ違っており、鼻を構成するパーツにもいろいろあります。
鼻先だけでなく、鼻根部の高さ、鼻柱(鼻の穴の間の部分)の出具合、鼻翼(小鼻)の大きさなど鼻全体のバランスを考えて、バランスの取れた鼻を目指して担当の先生とカウンセリングしましょう。
著者紹介:阪田和明医師
今回の記事は阪田和明医師に執筆頂きました。鼻の手術(鼻尖形成)は様々なバリエーションがあり、解説するのも一筋縄ではいかない分野ですが、極力分りやすくお書きいただけたと思います。以下に福澤医師の紹介を致します。
福澤先生のより詳しい紹介は「鼻・目・輪郭|医師も推薦する美容外科の先駆者】阪田和明先生」をご覧ください。
経歴
昭和52年 徳島大学医学部医学科 卒業
昭和52年 徳島大学医学部付属病院皮膚科 入局
昭和53年 東京警察病院形成外科 入局
昭和62年 大塚美容形成外科・歯科 入局
平成11年 大塚美容形成外科・歯科 院長 就任
平成22年 大塚美容形成外科・歯科 総院長 就任
平成28年 阪田美容・形成外科 院長
資格
日本形成外科学会会員 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
阪田医師をお勧めする2つの理由
言わずと知れた美容外科医の先駆者
阪田医師は美容外科の医師ならばほとんどの人が知っているほどのベテランドクターです。全国に教え子がいるということが技術力の高さ、人柄の良さを物語っています。
生粋の職人肌で高度なレベルの技術を提供
論文を執筆されたり、学会活動に力を入れるタイプの先生ではありませんが、今までものすごい数の手術を経験しておられ、見学に来る先生も多く、また今でも精力的に他のクリニックへ指導に行くこともあります。
阪田医師のカウンセリング予約は以下より
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