インティマレーザーで膣の引き締めをするなら知っておきたい知識

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出産や加齢とともに膣の引き締まり具合を気にされて、一人で悩んでいる方も多いと思います。

膣トレなどのグッズも発売されていますが、実は膣の緩みはクリニックで治療できるのです。方法は手術や注射、そしてレーザー治療などいくつかあります。

インティマレーザーは、切って縫う手術とは違って、比較的負担が少なく手軽に膣の引き締めを行う事が出来ます。

とは言え、自宅で行う膣トレなどに比べると費用も掛かりますし、効果はどうなのかな?と心配になる事も多いと思います。

また、インティマレーザーを検討されている方の中には、自分に適しているのか、受けることは可能なのかが分からないという方もいるでしょう。

この記事では、膣の引き締めで有名なインティマレーザーについて詳しく解説していきます。どんな方にオススメなのか、他の類似品との比較、更にはレーザー以外の治療法のご説明もしていきます。

これを読めば、クリニックで行う膣の引き締めレーザー治療について全てお分かりいただけるため、自分に合う治療法が見つかり、受けるかどうかの判断がしやすくなりますので、必ずお読みください。

目次

1.インティマレーザーとは

膣の引き締め治療として最近人気のレーザーです。こういったレーザーにはいくつかの種類がありますが、インティマレーザーは膣の引き締め以外に、尿失禁や大陰唇、小陰唇の黒ずみ改善などのオプションがつけられる点が他と大きく違います。ここでは、インティマレーザーとはどういうものなのかについて解説していきます。

1-1.インティマレーザーで効果が出る仕組み

そもそも、切らないでなぜ膣がひきしまるのでしょうか。簡単に説明すると、

人間の体はタンパク質でできており、熱などのダメージが加わると、収縮して引き締まります。(生卵からゆで卵を作るイメージです。)

インティマレーザーを当てると、次のような2段階の作用で引き締まり効果があります。

  1. レーザーによる熱で膣が引き締まる(これが施術直後に感じる引きしめ効果)
  2. ダメージを受けた組織ではさらに、創傷治癒という、傷を治す過程が始まり、新たにコラーゲンが作られるので、膣の粘膜自体も、時間をかけてふっくらと厚みが増し、引き締まる

ダメージというと聞こえが悪いですが、組織の修復能力は残したまま、適度に刺激を与えると捉えてください。これは、膣だけでなく、顔のたるみなど、現在の医療での引き締め治療の基本的な考え方となっています。

インティマレーザーは、Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザーと言うものを使用しており、特許であるSMOOTHモードを搭載しています。

SMOOTHモードというのは、レーザーを非常に短い間隔で照射することで、膣粘膜の表面には熱が蓄積しないようにターゲットである数百ミクロンの深さに均一な温熱効果を与え、やけどや出血を生じることなく、効率的に治療ができるというものです。

1-2.インティマレーザーの治療の流れ

インティマレーザーには膣引き締め以外のモードもありますが、ここでは膣引き締め治療の流れを解説します。

麻酔クリーム

クリニックにより多少異なりますが、塗る麻酔薬を用いることが多いです。場合によっては、笑気ガスによる麻酔(ボーっとする麻酔)も併用します。

膣圧測定

膣圧計という、膣の引き締め力を測る機器を挿入し、膣圧と膣の長さを測定します。

レーザー照射

消毒後、膣内にガイドを挿入し、レーザーを奥から抜きながら膣全長に照射します。

インティマレーザー

膣全体を照射したらガイドを抜き、膣の入口と膣前庭(膣の周り)にさらに照射を加えます。

インティマレーザー 図2

出典:Jorge E. Gaviria P, Jose A. Lanz L. Laser Vaginal Tightening (LVT) – evaluation of a novel noninvasive aser treatment for vaginal relaxation syndrome, Journal of the Laser and Health Academy, Vol.2012, No.1

以上で、スムーズにいけば約15分程度の治療です。

1-3.インティマレーザー治療の痛み

塗る麻酔薬(プリロカイン混合2%リドカインクリーム)を使用した場合、痛みを0(無痛)〜10までの10段階評価で、施術の痛みは全員が0〜2の間におさまり、術後は全員痛みを感じることはなかったという報告があります。(文献1)

実際、筆者が治療していても、笑気ガスによる麻酔を併用すれば、全員の方が無痛か少しの痛み程度で、問題なく治療を終えることが出来ており、術後の痛みを訴えることはありませんでした。

2.インティマレーザーの効果

ある論文でインティマレーザーの効果を研究していますが、評価には【自分での膣の引き締め効果の実感】【性交渉時の感度の変化】【パートナーの実感】と言う3つの軸があります。それぞれについて解説いたしますが、その論文で対象となった女性患者は以下のような人たちでした。(文献1)

22歳から61歳の女性21人(平均年齢37.7歳)
その うち経膣分娩経験者10人、帝王切開3人
そのうち閉経前19人、閉経後2人

施術は15〜30日あけて計2回

2-1.95%が良い膣の引き締め効果を実感

2回目の治療後3ヶ月で、4.8%が穏やかな、76.2%がほどほどの、19.0%が強力な効果を実感しています。

インティマレーザー 効果

2-2.95%が性交渉時の感度の向上を実感

性交渉の際には、95.2%が感度の向上、57.1%が高度なオーガズム、14.3%がオーガズムの回数増加を実感しています。

インティマレーザー 効果2

2-3.85%のパートナーが良い効果を実感

治療を受けた女性のパートナーの男性は、15.0%が穏やかな、50.0%がほどほどの、35.0%が強力に、性交渉時の感度の向上を実感しています。

インティマレーザー 効果3

パートナーの実感に関する別の論文

23人の女性にインティマレーザーを施術した後にパートナーの男性に、膣の引き締め効果の実感を調査し(文献2)
術後30日では、変化なしと回答した人が13%いましたが、術後2ヶ月以降は全ての人が何らかの変化を実感したと

インティマレーザーではない別のエルビウムヤグレーザー(Er:YAG)

産後の女性30人を対象にした調査(4回の施術)。施術後2か月目の時点でパートナーの76.6%が引き締め効果を実感し、70%の女性(被験者)が感度の上昇を実感した。また、粘膜が厚くなっているのが顕微鏡でも確認された。(文献3)

2-4.インティマレーザーの効果の持続期間

レーザーによる治療効果は、永続的なものではありません。人間の組織は毎日、少しずつ新しいものに生まれ変わっていくからです。インティマレーザーの効果の持続は約10ヶ月と言われています。リピートする人は、年に一度程度のペースで治療を受けることが多いようです。

3.施術後のダウンタイムはほとんどない

インティマレーザーは、膣引き締め治療のみであれば、術後の痛みはほとんどなく、ダウンタイムもほぼないといえます。

性交渉は術後3日目以降から可能で、他の製品と比較しても短めです。術後一時的におりものが増えることがありますが、生活に支障はない範囲です。

4.リスクや失敗

レーザーを規定よりも多いショット数で照射した際に、数日以内に治癒する程度のやけどの報告があります。後遺症となるような重篤な合併症の報告はなく、安全な治療といえるでしょう。

5.料金の相場は15-20万円

インティマレーザーの1回の相場は約15-20万円です。クリニックによって値段に差はありますが、麻酔の有無でも違ってくるので予約時に確認しましょう。

6.その他のレーザー治療の種類と比較

膣の緩みを改善するには、①膣を狭くする ②引き締めを強化する という2通りのアプローチがあります。治療で改善されるのは①で、②引き締めを強化するには、基本的には自分で努力して骨盤底筋を鍛える(膣トレ)しかありません。ここでは、①についてレーザー治療のバリエーションを解説します。

レーザー治療は膣にダメージを与えて、膣を収縮させる治療ですが、その“ダメージ”を与える物の違いによって様々な製品があるのです。

インティマレーザーのEr:YAG(エルビウムヤグ)以外に高周波(RF)、CO2レーザー、Diode(ダイオード)レーザーがあります。このうち、日本ではEr:YAGのインティマ(Vタイトニングという名称のこともある)、高周波(RF)のビビーブCO2レーザーのモナリザタッチ、アフロディーテ、エッジワンが普及しています。

各機器それぞれ独自の工夫が凝らされており、ひとまとめにするのは困難ですが、おおまかな傾向はありますので、これらを参考に自分にあったものを選んでいくといいでしょう。

※RF(高周波)は厳密にはレーザーではありませんが、以下では便宜上レーザーと表記しているところがあります

6-1.それぞれのレーザー治療の比較表

Er:YAG 高周波(RF) CO2レーザー
機械 インティマ、Vタイトニング ビビーブ モナリザタッチ、アフロディーテ、エッジワン
適応

膣縮小(膣全長)

委縮性膣炎

膣縮小(膣入口:3-5㎝のみ)

膣縮小(膣全長)

委縮性膣炎

閉経後の適応 ×
ダウンタイム 3日 7日
(実際は翌日から性行為可能)*1(ダウンタイムの項目で詳細)
10-14日
リスク やけど なし やけど
麻酔 不要もしくは塗る麻酔 不要 不要もしくは塗る麻酔
治療回数 1-3回 1-2回 1-3回
*2(回数の項目で詳細)
費用の相場

1回:約18万円

3回:約54万円

1回:約22万円

2回:約44万円

1回:約11万円

3回:約33万円

*費用の相場は今回調べたクリニックでの平均などから算出しています。

6-2.年齢についての比較(ビビーブは閉経後には適さない)

インティマレーザーとモナリザタッチなどのCO2レーザーは萎縮性膣炎(膣粘膜が薄くなる加齢現象)の改善や、閉経後の方への適応がありますが、ビビーブにはありません。ビビーブは閉経後約3年以上経過すると効果が期待できないため,不適応とされています。

6-3.照射範囲についての比較(ビビーブは狭い範囲しかできない)

また、治療可能範囲もビビーブは膣の入り口3-5㎝のみなのに対して、インティマレーザーやモナリザタッチは膣全長の照射が可能です。

6-4.ダウンタイムについての比較(ビビーブ<インティマ<モナリザタッチ)

ダウンタイム(性交渉が可能になるまでの期間)は、ビビーブ(RF)が翌日からと最短で、次がインティマ(Er:YAG)の3日です。モナリザタッチ(CO2)は10〜14日となっていますが、これは粘膜表面に細かい穴をあけることで収縮させるため、治癒するのに時間を要するからだと考えられます。

*1:ビビーブのダウンタイムは正式には7日間となっています。これは、FDA(米国食品医療品局)許可の取得のため、より確実に安全が保証される厳しい設定としているためで、実質的には翌日からの性交渉も可能です

6-5.痛み・麻酔クリームについての比較(あまり変わらない)

ビビーブは麻酔クリームを用いずとも、少し暖かいくらいの感触で治療が可能です。対して、インティマレーザーやモナリザタッチは麻酔なしでも可能ですが、麻酔クリームや麻酔テープを使用するクリニックが多いようです。

6-6.リスクについての比較(いずれもほとんどない)

合併症はいずれの治療もほとんどありませんが、インティマレーザーやモナリザタッチはやけどのリスクがわずかにあります。

6-7.回数についての比較(変わらない)

十分な効果を得るための治療回数は、インティマレーザー(Er:YAG)とビビーブ(RF)は1〜3回です。

インターネットで検索すると、CO2はそれよりも多めで3〜10回のことが多いと書かれていることが多いのですが、実際は各製品により推奨される回数が異なるようでしたので、メーカー担当者に直接問い合わせ、モナリザタッチ(CO2)の担当者から以下のように返答がありました。

インティマレーザー(Er:YAG)よりも回数がかかるというのは誤情報

モナリザタッチ(CO2)治療は、推奨3回治療だが、臨床的には1回の治療でも改善度、満足度とも著効な評価が公の論文、学会などで多数発表されている。実際日本で導入されている医師らからは、2回で十分であるとの見解評価も得ており、10月には婦人科の学会にて学会発表も行われている。

6-8.比較のまとめ

膣の入り口3-5㎝ですが、比較的簡単にダウンタイムも少なく行えるのがビビーブです。膣の長さが6-8㎝と言う記述もあるので、半分以上は照射できる計算になります。

費用で考えるのであれば、モナリザタッチ(CO2)レーザーが優れていますが、ダウンタイムが長いと言う欠点があり、時間の取れる人には向いているかも知れません。

インティマレーザーは出来るだけダウンタイムを少なくレーザー治療でしっかり効果を出したい人に向いています

7.レーザー以外による治療の種類と比較

レーザー以外による治療ではヒアルロン酸を注射する方法、脂肪を注射して移植する方法、手術で縫い縮める方法があります。

7-1、ヒアルロン酸や脂肪を注射する方法

ヒアルロン酸や脂肪を、膣粘膜の下に注射して内腔を盛り上げる治療です。そのままでは痛みが強いため、通常は静脈麻酔下に行います。

ヒアルロン酸注入は施術時間も約15分程度で手軽なのが魅力ですが、おおよそ1年間で分解され元に戻るため、キープするには繰り返す必要があるのがデメリットです。

脂肪注入は生着すれば一生ものという点がメリットですが、注入した脂肪に感染が生じた場合、コントロールが難しく、直腸膣瘻(膣に穴があいて直腸とつながってしまう)などの大きなリスクがあります。また、体の別部位から脂肪を採取する必要があり、注入した脂肪の生着率にも個人差があるという点で、慎重に決断すべき方法といえます。

また、アクアミドやパールフィラーと呼ばれるものなどの分解されない異物を注入する治療も存在しますが、将来的に異物が何らかの問題を生じた際に完全に除去するのが非常に困難なため、個人的にはいいとは思いません。

ダウンタイムはヒアルロン酸で約1週間、脂肪注入では約1ヶ月間です。

7-2、手術で膣を縫い縮める方法

膣粘膜を切除し、縫合する方法や、巾着状に糸を通して縛って引き締める方法があります。

メリットは効果が確実で、他の方法と比較して後戻りが少ないことです。(糸で引き締める方法は溶ける外科用糸を使用するのが一般的で、こちらは糸が溶けるとともに約1年間で戻ります。)眠る麻酔を使って行うことが多いです。

効果がしっかりと出て確実な分、これから出産を考えている方は手術を受けないでください。

ダウンタイムは約1ヶ月です。膣内腔の手術は溶ける糸で縫合しますので、抜糸は必要ありません。

8.膣を引き締める治療法の選び方

膣を引き締めるお勧めの治療法を年齢などを参考に以下にまとめました。

8-1.年齢が30代までで、今後出産の予定あり

出産予定の場合は効果の強い手術以外のレーザーまたは注入治療をお勧めします。

  • なるべく早く確実に効果を出したい→注入治療
  • パートナーにばれずに徐々に変化を出したい→レーザー治療

8-2.30代後半〜40代前半で、出産予定なし

この場合は手術による治療も選択肢に入ってきます。

  • なるべく早く確実に、手軽に効果を出したい→注入治療
  • パートナーにばれずに徐々に変化を出したい→レーザー
  • ダウンタイムはとれるので、確実で後戻りしづらい方法が良い→手術

8-3.40代後半〜で、出産予定なし

まずはレーザー(インティマレーザーやモナリザタッチ)で膣の引き締めかつ、萎縮性膣炎の治療をして膣粘膜の厚さを再生するというのが望ましいです。

その後、より強い効果が欲しければ以下の方法を行うのがお勧めです。

  • なるべく早く確実に、手軽に効果を出したい→注入治療
  • ダウンタイムはとれるので、確実で後戻りしづらい方法が良い→手術

40代後半以降の方に、なぜ、まずレーザーを勧めるかというと、加齢で膣粘膜が薄くなってしまっている場合、注入治療をしても、膣の粘膜がはち切れてしまうため、それほど多くの量を注入できないからです。また、外科的に縫合しても、縫合不全(傷がきちんとくっついてくれない)等の合併症のリスクが格段にあがります。

萎縮性膣炎が高度だと、膣の乾燥感や炎症など、さまざまな症状が出てきます。この場合、ホルモン剤の外用により、膣の厚みを得る治療があり、欧米諸国では一般的ですが、日本ではホルモン剤への抵抗も大きく、特に美容クリニックで処方されることはあまりありません。これはきちんと治療した方がよい状態ですので、自分が当てはまるという方は、まずは婦人科に相談しましょう。

*委縮性膣炎は症状として、膣の乾燥、膣のヒリヒリ感などの症状を示す状態です。

外科医としての経験に基づいたアドバイスです。参考になさってください。

9.インティマレーザーの膣以外の治療

インティマレーザーは膣の引き締め治療がメインですが、小陰唇の黒ずみや尿漏れの改善に用いるモードも搭載されています。

9-1.インティマレーザーによる黒ずみの治療

インティマレーザーは小陰唇や大陰唇の黒ずみを改善するためにも使用されます。

大陰唇や小陰唇の皮膚粘膜をレーザーで剥くことで、組織が再生する際に色素の少ないものに置き換わります。擦り傷を負った部分が、治った跡も他の部位と比べて色が白くなることがありますが、人工的に擦り傷を作っていると捉えてください。

1ヶ月おきに3回程度〜、望みの色味になるまで繰り返します。

こちらの効果を報告した文献はありませんが、筆者の治療経験では、全例で色素の改善が見られ、効果はあると思います。

インティマレーザーによる黒ずみ治療のメリットは、手術をしなくてすむこと、サイズを変えずに色素のみ薄くできることですが、デメリットは術後の痛みです。

麻酔クリームと笑気ガスによる麻酔で治療を行う事が多く、治療中は我慢できる程度のことが多いですが、術後、患部が一様に擦り傷の状態になりますので、とにかく痛いという方がほとんどです。特にトイレ後は激痛ですので、なかには仕事を休んだり、トイレに行かないように水を飲まない、など、相当な覚悟が必要です。術後3日目までが特につらく、1週間も経過するとだいぶ楽になります。

一方で、黒ずみを確実に改善する方法として、手術で気になる部分を切除する方法があります。こちらは、詳しくは【小陰唇縮小手術を受ける前に必ず読んでおくべき知識と注意点】にありますが、術後の痛みの期間、程度ともにそこまで大きなものではないため、海外でも、黒ずみの改善にはまずは切除が第一選択で、補助的療法(残った部分の黒ずみ改善)としてレーザーを用いるのが標準的な考え方となっています。(文献4)

また、塗り薬による治療法(ハイドロキノンやトランサミンなどのクリーム)がありますが、この部分の黒ずみは遺伝的な要素が大きいため、効果としては擦れる部分の黒ずみを改善する程度に留まります。効果が出るには最低でも半年間は毎日塗る必要があります。

“モナリザタッチ(CO2)でも黒ずみ治療は出来る”

CO2レーザーでも黒済みの治療は可能だと考えます。理論的にはインティマレーザーと同じ様に皮膚を剥く事が出来るからです。しかし、アジア人のスキンタイプでは、もともと陰部の黒ずみが濃いこと、下着や性交渉などによる摩擦刺激を頻繁に受けやすい事などもあり、臨床的には、劇的な効果は難しいというのがあまり行われていない理由です。

海外でも黒ずみの治療は手術が第一選択になっているという事もあるのでしょう。

9-2.インティマレーザーによる尿漏れの治療

インティマレーザーには、尿失禁の治療モードというのがあります。レーザーの熱で、尿道口と膣壁を縮小させ、失禁を防ぎます。治療の痛みはほとんどなく、歩いて帰れる尿失禁の治療としては有用です。

クロアチアで39人の軽度の腹圧性尿失禁のある女性を対象とした調査でも、尿道−膣壁の角度が術後6ヶ月で平均17.5°低下した(≒尿が漏れづらくなった)という報告があります。(文献5)ただし、こちらの報告では効果のなかった被験者の存在等の詳細なデータまでは明らかにされておらず、全員に確実に効果があるかについては不明です。

尿失禁には様々な原因があります。妊娠出産や加齢に伴う軽い尿失禁(*)に対して、インティマレーザーによる治療は、体への負担が少なく、それなりに効果が期待できる治療と考えていいと思います。*ここで言う尿失禁とは尿道括約筋の機能低下に伴う軽度の腹圧性尿失禁

ただし、基本的には泌尿器科を受診し、尿失禁の原因を精査した上で保険診療の治療(内服薬や手術)の選択肢を検討し、インティマレーザーの治療は補助的な選択肢として捉えるのがよいでしょう

10.まとめ

今回は、膣の引き締めというテーマで、インティマレーザーをメインに解説しました。膣のゆるみは女性やパートナーにとって、誰にでも訪れる深刻なテーマです。

患者様は、身体的、時間的、金銭的な投資をして治療を検討してくださるので、できるだけ負担の少ないものを、ただし、確実に効果のある治療を提供したいというのがいち美容外科医としての思いです。たとえ切らなくていいとはいえ、効果の実感が不確定であれば、勧める気にはなれません。

今回の執筆に関しては、インティマレーザーの効果を検証するためにいくつかの文献を引用させていただきました。

このような機器を用いた調査に関しては、生産メーカーの協力なくしては成立しないため、結果について、メーカーの不利になるような報告が出づらい部分があり、仕方ないとはいえ、中立的な立場からの大規模調査と比較すると多少バイアスがかからざるを得ないと(メーカーよりの結果にならざるを得ない)いう点をご理解ください。

とはいえ、現場で診療していても、インティマレーザーは満足度が高く、効果が不十分というお声をいただくことはないので、リスクの少なさからも、個人的に非常に有用と考えている治療です。 膣の緩みが気になる方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

参考文献

  1. Jorge E. Gaviria P, Jose A. Lanz L. Laser Vaginal Tightening (LVT) – evaluation of a novel noninvasive aser treatment for vaginal relaxation syndrome, Journal of the Laser and Health Academy, Vol.2012, No.1
  2. Zdenko Vizintin, Mario Rivera, Ivan Fistonic et al. Novel Minimally Invasive VSP Er:YAG Laser Treatments in Gynecology, Journal of the Laser and Health Academy, Vol.2012, No.1
  3. Lee MS.Treatment of Vaginal Relaxation Syndrome with an Erbium:YAG Laser Using 90° and 360° Scanning Scopes: A Pilot Study & Short-term Results.Laser Ther. 2014 Jul 1;23(2):129-38
  4. Bulent Cihantimur, Christion Herold, Genital Beautification: A Concept That Offers More Than Reduction of the Labia Minora. Aesthetic Plastic Surgery, Drcember 2013, Volume 37, Issue 6, pp1128-1133
  5. Fistonic Ivan, Findri-Gustek Stefica, Fistonic Nikola, Minimally invasive laser procedure for early stages of stress urinaru incontinence (SUI), Journal of the Laser and Health Academy, Vol.2012, No.1

著者紹介:福澤見菜子医師

今回の記事は福澤見菜子医師に執筆頂きました。多くのメーカー文献ではありますが多くの情報を調べて記事を書いてくださいました。彼女の誠実さが伝わる記事に仕上がり、膣の引き締めやそのレーザー治療について全て網羅できる記事となっています。以下に福澤医師の紹介を致します。

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福澤先生のより詳しい紹介は「【女性器手術/小陰唇縮小の名医】福澤見菜子医師」をご覧ください。

経歴

2006年 慶応義塾大学医学部卒業 国家公務員共済組合連合会立川病院勤務
2007年 慶應義塾大学病院勤務
2008年 東京大学医学部附属病院 形成外科・美容外科入局 以後関連病院形成外科勤務
2012年  大塚美容形成外科 千葉院院長
2013年  湘南美容外科入職

資格

日本形成外科学会専門医 日本美容外科学会(JSAPS)正会員 抗加齢医学会正会員

福澤医師をお勧めする3つの理由

女性医師であり、女性器の手術経験が豊富

女性器の治療や手術は女性特有の悩みであり、女医の先生に症例が偏ります。その中でも、福澤医師は年間約200件以上の女性器手術を担当するエキスパートです。

形成外科専門医を取得している

専門医が必ず必要ではありませんが、専門医を持っている先生の方が安心できます。われわれ医師の間でも専門医を持っている医師と言うと少し重みがあります。

希望を伝えやすく丁寧に接してくれる

女医さんなので、デリケートな悩みも話しやすいと思います。また、お客様の悩みに真摯に向き合ってくれる真面目な医師なので、出来上がりの希望を聞く事やデザインもしっかり行ってくれます。

福澤医師のカウンセリング予約は以下より

福澤医師の個人ブログをご覧になりたい方は、「cosmetics and contours 福澤見菜子のブログ」から福澤医師ブログへどうぞ

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