二重手術で、もっとも気軽に行えるのは「埋没法」ですが、より確実な二重まぶたを作る方法として「切開法」があります。
- 埋没法で二重になれたけど、取れてしまった
- 埋没法で行った二重の幅が狭くなってしまった
- 埋没法では理想の形にならない
と言った場合に検討される方が多い二重手術です。
しかし、切開法は実際に目元を切開する手術であり、怖いイメージをお持ちの方も多いと思います。この記事では、切開法とはどのような手術なのか、そして、事前にどのようなリスクを知っておくべきかを中心に説明していきます。
長い記事になりますが、10分あれば読めると思います。切開法を少しでも検討されている方には、必ず読んでいただきたい内容です。 手術前にぜひ参考にしてください。
※本記事は2015年6月1日に公開した記事を、2017年9月18日に加筆修正しました。
1.二重切開法の特徴
切開法はまぶたにメスで切開を入れる事によって二重まぶたを作る手術です。二重切開法がどのような二重整形手術であるかを理解していただくために埋没法と比較した表を以下にまとめました。
※切開法は3cm程度の切開を行う全切開法とより傷を小さくした部分切開法に分類されますので3分類で比較しています。
*実際には様々な状況、希望により埋没法の方が作りやすいラインであったり、傷が出来ると言っても切開法の方が目立ちにくい場合もあります。上の表は1つの目安として見て頂き、医師の診察アドバイスの元に方法をお決めください。
埋没法は目立ちにくさにメリットがある反面、希望のラインがうまく作れないことがあったり、持続性の部分に難があります。逆に切開法は、切る手術ですので傷が少し残ってしまいますが、希望のラインを柔軟に作ることができ、持続性も高い手術です。
また、全切開法では二重まぶたを作るだけでなく、同時に目の開きを良くしたり、たるみを取ったりすることも可能です。詳しくは2章で解説します。
2.二重切開法の効果
部分切開法の手術後の状態
手術後1か月目の状態です。この方は元々の二重まぶたを少しだけ広げています。
全切開法の手術後の状態
全切開後3か月目の状態です。
*手術後はメイク等をした状態です
皮膚のたるみを取る事ができる
皮膚のたるみがある場合、皮膚を切り取る事でスッキリ見せたり、また皮膚を切り取る事で幅を広く見せる事が出来ます。下に写真をお見せします。大きな皮膚切除を行った例ではありませんが、多少スッキリしているのが分ると思います。
腫れぼったさの原因の一部を解消することが出来る(ROOF切除手術を同時に行う)
ROOFと言うのはまぶたの脂肪の事ですが、一般的に言われる「まぶたの脂肪取り」とは違い、より皮膚に近い部分の脂肪ですので、まぶたをスッキリさせる効果が大きいと考えられます。
目を大きく、目の開きを良くすることが出来る(眼瞼下垂手術を同時に行う)
目の開きを大きくする手術(黒目を大きくする手術)を同時に行う事が出来ます。
*手術後はメイク等をした状態です
3.二重切開法の手術の流れ
二重切開法には色々な工程があります。皮膚を切って~二重のラインを作って皮膚を縫い合わせるまでに、内部処理と言って色々とする事がるのです。しかし、これと言った絶対的な方法はなく、医師によって多少異なったりします。
ここでは当院で行っている方法を紹介して、実際の手術ではどのような事を行っているかを解説します。また、症例によって行う事を変えたりすることがあります。
*写真は他院で1度全切開をした人の再手術の写真です。多少見にくいのですがご容赦ください。イメージはつかめると思います。
麻酔をする時に、他のお薬で寝た状態にしてくれるクリニックもあれば、そのまま麻酔の注射をするクリニックもあります。
皮膚を切開しているところです
デザイン時に余分と思われた皮膚を切り取ります
ピンクっぽい白くツルツルしているのが筋肉です
ここからは医師によって順番ややり方が違いますが、この状態で埋没法をするように糸だけを付けて終了と言うクリニックもあるようです。それでは埋没法よりも持ちは良くなるでしょうが、全切開法と言うメリットは得られません。
筋肉を切開して、筋肉の裏を剥がします。言いかえると、瞼板と言う組織の上を剥離していきます。
下に引っ張っているのが筋肉(眼輪筋)です。
目の上の脂肪と言うと聞いたころがあるかも知れません、正式には眼窩脂肪と言うものとROOFと言う物がありますが、簡単に取れるのが眼窩脂肪です。
眼窩脂肪は膜(眼窩隔膜)に覆われているのですが、膜を切開して、眼窩脂肪が多そうであれば切除します。取り過ぎると目の上がくぼむので、私は取り過ぎないように注意しています。
本来脂肪があるところです。この人の場合は1回目の手術で除去しているっぽいので、脂肪は取っていません。
(眼瞼下垂の手術の処理になりますので、全切開のみの場合はそこまで大きく縫い縮めていません)
縫い付けたところです。糸で止まっているのが分ります。
眼輪筋の処理の仕方、どれだけ取り除くかなどは医師によって異なります。
針と糸で縫い合わせて二重を固定します。溶ける糸で行う場合と溶けない糸で行う場合があります。
⑧の二重の線の固定を、皮膚と縫い合わせて固定する医師もいます。
4.手術後の腫れの期間と落ち着くまでの期間
部分切開と全切開法でそれぞれ期間が違ってきます。また、全切開法でも内部の処理によって腫れの度合いが違ってきます。以下ではよく行われている全切開法の場合について解説していきます。
4-1.全切開法の場合
手術後の腫れの程度は「めちゃくちゃ太い二重」位の腫れになります。時と場合によりあまり腫れない場合もあるのですが、かなり腫れると思って手術を受けた方が良いでしょう。
大きな腫れは1-2週間で落ち着きます。腫れの50-70%が落ち着くようなイメージです。残りの腫れに関しては手術後1か月目でかなり落ち着いて90%は腫れが引きますが、完全に落ち着いて、希望のラインになるには3か月ほどかかります。
ですので、お休みは最低1週間は必要です(抜糸も5-6日目に必要)、出来れば2週間あった方が良いです。しかし、抜糸が終わればメイクができますので腫れや内出血をごまかしやすくなります。
また、1カ月経った時点でも希望のラインよりもまだ太いラインである事が多いです。焦らずに待ちましょう。
4-2.部分切開法
部分切開の場合そこまでの大きな腫れではありませんが、手術後数日は外を出歩くのは難しいでしょう。また、縫った糸もついています。
1週間で大きな腫れは引きますが、完全に落ち着いて予定のラインになるには1カ月ほどかかります。お休みも1週間ほどあった方が良いでしょう。
3章以下は主に「全切開法」について解説していきます。「部分切開法」についてより詳しくご覧になりたい方は「部分切開法」の特徴・向いている人・他の二重手術との比較」をお読みください
4-3.腫れを少なく抑えるために出来る事
切開法で腫れるのはしょうがないのですが、手術後のケアで腫れを少なくする事ができます。逆に初めに大きく腫れてしまう人は、その後の腫れも長引いているような印象があります。
まぶたにキレイなガーゼ等を当ててアイスノンで冷やす
手術後早期は出来るだけ冷やした方がいいです。ただし、少し冷たいくて気持ちいい程度で大丈夫です。冷やし過ぎると逆に腫れる場合があるようです。1-2日間
頭は起こしておく
お休みするときでも顔は心臓よりも上にあった方が腫れにくいです。座って休むか、寝る時は枕を高めにしてみてください。1-2日間。
その後も寝すぎるのは腫れに良くない。
体を温めない
アルコールや入浴は身体を温め血流を良くします。アルコールは1週間、入浴で体を温めるのは数日は控えましょう。
安静にする
手術が終わっても目だけの手術なので体は元気です。だからと言って動き回ると腫れますので安静にして過ごしてください。1週間ほどは運動は控えましょう。
5.傷の程度と落ち着くまでの期間
傷の治り方は人によって様々ですが、まぶたの傷は他の場所の傷よりもキレイに治る事が多いです。二重のラインと同じ位置に傷跡ができます。
まず、施設にもよりますが、手術後5-7日で縫ってある糸を取ります(抜糸)。その後、1カ月ほどは「赤みが出る」「傷が盛り上がる」「硬くなる」ことがあります。
3か月から6カ月で落ち着いて二重のラインとなじむ方が多いです。さらに1年ほどかけて皮膚のしわの様になじんでいきます。
*メイクをした状態です
しかし、全員がキレイな傷跡になるわけではありません。医師の技術にもよりますが、同じ医師が手術しても人によって傷のキレイさが違う場合があります。
傷口に関しては始めのうちはどうしても気になってしまいますが、焦らずに待っていれば徐々にですが良くなってきます。すっぴんでは気になってしまうかも知れませんが、ほとんどの場合はメイクで目立ちにくく出来ます。
仮に修正を希望する場合でも3-6カ月は待った方が良いでしょう。
5-1.内出血の程度と期間
内出血は必ずと言っていいほど出ます。全切開法では内出血の程度はまぶたが全体的に赤紫色になるような感じです。もっと少ない場合もありますが、そのように考えていてもらうのが良いと思います。腫れの様に長引くことはありません。1-2週間で消えてしまいます。また、抜糸後はメイクも出来ますので腫れや内出血をある程度隠せます。
5-2.痛みの程度と期間
切開なので痛いのではないかと思うかも知れませんが、初めの数日間ジンジンするくらいです。あまり気にならないと思います。通常はクリニックから痛みどめが出されますので、それで対応できると思います。もし、出なかった場合は市販のロキソニンなどでも大丈夫です。
5-3.知覚が低下する事がある
切開した部分のまつ毛側が鈍くなることがあります。不便に感じる事もないでしょう。3か月ほどで回復します。
6.リスクや失敗について
内出血や腫れはどうして起きてしまう事ですが、手術後に完全に落ち着いてからも以下のような事が残っている場合があります。まずは手術をした担当医に相談して下さい。
なぜなら、二重の切開法は医師によって細かい手術操作に違いがある手術ですので、担当医が傷の中の状態を一番わかっています。ですので、他のドクターに相談するにしても担当医に手術の内容をしっかり描いた記録をもらうようにした方がベターです。
それぞれの場合について修正出来る場合とできない場合があります。修正までには基本的に最初の手術から3-6カ月は空けた方が良いでしょう。状況により手術から時間を空けないで手術する場合もあります。
6-1.傷跡が目立つ場合がある
傷跡はあまり気にならなくなることが多いのですが、たまに目立つ傷跡が残ることがあります。医師の技術、体質、術後のケア(傷をいじっているときたなくなる)によります。
皮膚に余裕があれば傷を切り取って修正する事も可能ですが、二重幅が変わる可能性があります。もしも皮膚に余裕がないと目が閉じにくくなってしまいます。
6-2.左右差が出る場合がある
左右全く同じと言うのは困難ですが、目立つ左右差が出ることがあります。医師の技術によりますが、予測不可能に起こる事もあります。例えば手術前は眉毛を上げるクセがあったのに二重になるとそのクセがなくなることがあります。そのような事が片方で起きれば左右差がでることがあり、なかなか予測が困難です。
左右差の修正は、狭い方を広げて調整するのであれば、皮膚を少し切り取るだけで比較的簡単に可能です。広い方を狭くするのは少しやっかいな手術になります。もちろん出来ないことはありません。
その他、黒目の大きさが違って見えたりするのは二重のラインと言うより、目の開き具合の問題ですので、眼瞼下垂の手術や調整が必要です。
6-3.予定外の二重が出来ることがある
二重を作ろうとしたところ以外に二重が出てくることがあります。テープで固定するだけでよくなる事もあるようですが、袋とじと言って外から皮膚に糸をかけて矯正する場合もあります。
6-4.目の開きが悪くなることがある
目を開ける力が弱い人が、太い幅の二重まぶたを作ると、目の開きが悪くなる場合があります。その場合は眼瞼下垂の手術を行うか、医師の診察によってはあらかじめ二重切開と同時に行った方が良い場合があります。
6-5.目が閉じなくなることがある
皮膚を大きく取り過ぎた場合や、眼瞼下垂手術といって目の開きを良くする手術を同時に行った場合に起こる事があります。少しの程度であれば3-6カ月で閉じるようになります。6カ月待っても目が閉じにくい場合は二重の食い込みを緩めたり、同時に眼瞼下垂の手術を行っていれば、それを緩めたりする手術で対応します。
6-6.目の上がくぼむ事がある
目の上の脂肪(眼窩脂肪)を取り過ぎると目の上がくぼむ場合があります。目の腫れぼったさに眼窩脂肪が影響する割合は多くありません。腫れぼったさを取りたい場合はROOFという脂肪を取ります。
7.まとめ
二重まぶたを切開で作る方法とリスクについて解説しました。二重まぶたは奥が深く、他の手術との組み合わせもあるので、全てを解説できたわけではありません。しかし、かなりの部分を解説しましたので、ご自分に合った方法かどうかを考える手段になると思います。