多汗症で悩んでいる方は意外と多いです。
手の多汗症の場合は、汗でペンが滑ってしまい困ったり、書類が濡れてしまうのを気にしたり、握手や手をつなぐときに相手に不快な思いをさせないかと心配になったりと、日常生活の中で困ることは多く、深刻に悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
また、わきの下や、足の裏の場合も、洋服や靴下が濡れてしまい、恥ずかしいので困っているという方もいるでしょう。
そんなあなたのために、ここでは多汗症の原因とその対処法、治療法をご説明します。
まずは、できることから始めて、コンプレックスの解消に役立てて下さい。
多汗症とは、体温調節に必要な汗の量を越えて発汗があり、日常生活や職業に障害を生じている状態とされています。ここまでの症状でなくても、腋や手足の汗が気になる方は多くいます。
また、多汗症は全身からの場合の全身性発汗と一部からの局所性発汗に分類することができます。
局所性のものは手のひら、足の裏、腋に多く、それ以外の場所のものは神経疾患などが伴う場合があるので皮膚科で相談してください。
2.多汗症の原因
多汗症の原因は様々です。原因不明の場合から、重大な病気が隠れている場合まで多岐にわたります。
2-1.特発性(原因不明)のもの
原因なく発症する特発性のものが多く、通常左右対称に見られます。頻度は不明ですが、もっともよく見られます。部位としては全身、手、足、腋が好発部位です。特発性多汗症の頻度は人口の2.8~5.7%とも言われます。
辛いものを食べた時に顔から汗が出るのは味覚性発汗と言い、正常な反応です。
2-2.病気によるもの
皮膚病や内臓疾患の場合もあります。以下のような場合は一度皮膚科の医師に相談してみて下さい。
- 汗の出る状態が左右対称でない場合
- 汗以外の症状がある場合(皮膚の変化、微熱、体重減少、動悸、頭痛など)
病気による局所性多汗症の原因例 | 症状例 | |
手や足 | 遺伝性掌蹠角化症 | 肘・膝のかさつき |
皮膚紅痛症 | 足の部分的な赤み | |
顔面 | Frey症候群 | 耳下腺手術後の症状 |
胸腹部 | 脊髄神経障害 | 体幹のみや左右非対称の発汗 |
末梢神経障害 | ||
内分泌疾患 | 甲状腺機能亢進症 | 手が震える、眼球突出 |
先端肥大症 | 手足、唇の腫大 | |
褐色細胞腫 | 高血圧、頭痛 | |
更年期障害 | ほてり、動悸 | |
代謝性疾患 | 糖尿病 | 上半身の多汗 |
肥満症 | ||
感染症 | 発熱、微熱が続く | |
結核 | 咳が続く | |
細菌性心内膜炎 | 発熱、微熱が続く |
2-3.お薬によるもの
お薬の副作用でも起こります。向精神病薬、睡眠導入剤、痛みどめ(NSAIDS)、ステロイドを飲み始めてから症状が出てきた場合は担当の医師に相談してください。
3.自分でできる対処法
自力で汗を抑える方法は制汗剤くらいしかありません。市販されている制汗剤でもスプレータイプでなくロールオンやスティックタイプの方が効果は強くなります。臭いも気になる方がAg+のものを選ばれてもいいでしょう。
病院で調剤される塩化アルミニウム製剤と言うものがありますが、濃度の薄いものであれば市販でも手に入りますので試してみてもよいのではないでしょうか。
「佐藤製薬:テノール液」
「日邦薬品工業:オドレミン」
4.病院でできる治療法
病院で治療することも可能です。症状によっては皮膚科で健康保険を使って治療できます。その他自費診療になりますが美容クリニックでも可能です。
汗を抑える方法としては、
・塗り薬(塩化アルミニウム)で治す
1日1回使用します。2-3週間で効果が出てきますので、徐々に外用回数を減らしていきます。中止すると再発したり、皮膚炎を起こす場合があります。
・イオンフォトレーシスで治す
水道水の入った容器に手や足を入れて電流を流す治療です。8-12回程度の通院が必要なのと、その後も続けないと再発する方もいます。健康保険の適応です。
・注射(ボトックス)で治す
4-6か月間汗を抑えることが可能です。
2012年より腋に関しては保険も可能になりましたが、行っているクリニックは少なく限られます。
・交感神経遮断術で治す
全身麻酔による手術で胸腔鏡と言うものを使用して神経を遮断します。手や足の多汗症に用いられることが多いですが、その適応は慎重に決めねばなりません。
・ミラドライで治す
ミラドライとは電磁波を照射して汗腺のみを焼灼する方法です。
自由診療になります。汗の量が50%以上減ったと言う報告もあります。
・飲み薬(プロ・バンサイン)で治す
汗だけではなく全身に作用するので副作用もあり長期間は使いにくいと思います。
また、日本皮膚科学会で多汗症ガイドラインと言うものが作られました。こちらのページが分りやすいので参照にしてみて下さい。(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa32/index.html)
多汗症の治療法をより詳しく知りたい方は「最適な方法を見つけよう!病院で行う多汗症治療のまとめ」をお読みください。
5.まとめ
多汗症の原因にはさまざまありますが、そのほとんどが原因不明の特発性によるものです。治療としては以上のようなものが可能ですが、汗の他に症状を伴っている場合は担当の医師や皮膚科の医師に相談しましょう。