日本はワキガで悩んでいる方がとても多い国だということを、皆さんご存知ですか?
日本人は過度な清潔志向で、無臭を好み、においに敏感だと言われています。
そのため、ワキガ体質の方は、においに悩まされることが多く、仕事や、人間関係にも支障をきたすことまであります。
だからこそ、ワキガの治療法をお探しの方は多いのではないでしょうか。
ワキガ治療は、短時間で長年のコンプレックスを解消することができ、満足度がとても高いです。薬物療法や注射や手術など、その種類もさまざまです。
そこで、この記事では、自力でできる対策から手術まで、ワキガ治療法のすべてをご紹介いたします。
これを読めば、あなたのライフスタイルに合った、治療法が見つかると思います。
日本人の1割、つまり10人に1人はワキガ体質です。自分だけ…と悩まずに、前向きに治療していきましょう。
目次
1.ワキガの原因
ワキガとは腋など限られた部位に存在するアポクリン腺からの分泌物が皮膚の常在菌に分解されることにより臭いの強い物資に変化し、不快な臭いを発する状態です。
遺伝性があり、耳垢の湿っている人はワキガの事が多いとされます。
また、エクリン腺からの汗によってより周囲に臭っていくという性質があるので、汗を抑えることでも臭いは軽減します。
2.ワキガのにおいを抑える方法
ワキガの臭いを抑える方法には様々な方法があります。効果が大きい順に分類すると
①手術による治療
②病院で行う手術以外の治療
③セルフケアで出来る事
があります。
これらの治療法について、説明していきます。
3.手術でワキガを治す方法と治療費
手術でワキガの臭いを消すことができます。臭いの強い場合には、手術法は限られますが、健康保険の対象になります。
3-1.保険適応で手術する
最終的に医師の判断になりますが、臭いの強い場合は健康保険が使えますので治療費が抑えられます。手術法は皮弁法や反転剪除法と言われる方法で、脇に3-4cmの傷を付けて行います。
確実な効果が得られる反面、傷口が大きい、手術後のケアが必要などあります。
入院か日帰りか、お薬の処方や麻酔法の違いによっても細かい料金は変わってきます。
片ワキだと2―3万円台、両脇だと4-5万円台です。通院回数などによってもトータルの費用は変わります。
3-2.自由診療のクリニックで手術する
自由診療のクリニックでも上記皮弁法を行っていますが、治療費は保険がきかない分高くなります。
皮弁法以外に、1cmほどの傷口からカミソリな様なものを挿入しアポクリン腺を切除する方法や、超音波メスを挿入しアポクリン腺を焼いてしまう方法があります。このように傷の小さな方法で手術できるのが自由診療のメリットです。
上の表のように皮弁法は傷も大きい分、確実にアポクリン腺が除去でき効果も大きいです。手術の方法やリスクに関しては「【保険・保険外】ワキガ手術の効果・リスク・再発率のすべて」で詳しく述べています。より詳しく知りたい方は是非ご覧ください。
4.手術以外でのワキガ治療と費用
根本治療ではありませんが、汗を減らす事によって臭いも軽減します。
手術ではない方法で、病院で行う治療や処方されるお薬を紹介します。皮膚を全く切開しない方法をここでは紹介します。
4-1.塗り薬による治療
塩化アルミニウム製剤と言うものを用います。
毎晩塗るだけで汗が減ってきます。数日使用し、汗の量が減ってきたら使用する間隔も伸ばしていきます。
ワキガの臭いは汗が混じると、より周りへ臭っていきますので、汗を抑えることも効果的です。
副作用として肌に合わない場合の皮膚炎があります。
病院でも処方されますが、濃度の薄いものは薬局でも手に入ります。
「佐藤製薬:テノール液」
「日邦薬品工業:オドレミン」
病院では「パースピレックス」という既製品を扱っているところと、院内で調合しているところがあります。費用1本3000~6000円です。
4-2.注射による治療
ボトックスという薬品を腋に注射することにより大幅に汗を減らす事ができます。薬の効果は約4か月間ですので、繰り返すことが必要になります。
ほとんどが自由診療で行われています。相場は6-8万円です。ボトックスはアメリカの会社のお薬ですが、韓国等のジェネリック製剤で安く行う事もできます。3-5万円です。頭痛や赤みなどの副作用が稀にあります。(健康保険も効くようになりましたが、扱っているクリニックは少ないです)
4-3.レーザー(電磁波)による治療
ミラドライと言う商品です。マイクロ波(電磁波)を照射することにより、エクリン腺やアポクリン腺に熱が加わり破壊されます。電子レンジと同じ原理で、マイクロ波は水分に反応しますのでエクリン腺やアポクリン腺に選択的に熱を加える事ができます。
1年間の経過観察で被験者90%が汗の量が50%以上減ったと報告されています。
副作用は照射後の赤み、腫れ、不快感、皮膚の知覚麻痺、神経麻痺があります。神経麻痺は起こっても時間は数カ月かかりますが治まると報告されています。
費用は30万円台が相場です。
参考文献:H.Chin-Ho Hong, Mark Lupin Kathryn F. Clinical Evaluation of a Microwave Device for Treating Axillary Hyperhidrosis. Dermatol Surg 2012;38:728-735
4-4.脱毛により臭いを軽減させる
脱毛することにより、毛の中にアポクリン腺の分泌物が溜まりにくくなり、臭いの軽減につながります。ただし、脱毛で臭いが完治するわけではありません。
現在はほとんどで医療レーザー脱毛が行われています。2-3か月に1回、6回程度の通院が必要です。リスクは火傷です。
費用はクリニックによって様々ですが、通常5-6回で1-4万円です安い所では5-6回が1万円以下で可能です。ただし、あまりに安い所はフロント商品にしている場合もあるので、他の部位の施術をしつこく進めてくる場合があります。きっぱり断り、必要な部位だけ脱毛しましょう。
5.セルフケアで臭いを抑える方法
軽度のワキガであれば自分で抑えることができますし、強いワキガでも臭いを軽減することはできます。
デオドラント、塩化アルミニウム製剤、脱毛・剃毛、汗をこまめに拭き取る、食生活を見直す、タバコ・アルコールを控える、などあります。
より具体的に知りたい方は「医師が教えるワキガのセルフチェックとにおいを軽減する方法」をご覧ください。
6.まとめ
保険適応についてと皮膚を切開しない治療法について解説しました。多汗症の治療と混ざる部分もありますが、エクリン腺からの汗が減れば臭いも減るので敢えて両方を紹介しています。色々な方法が自分の生活スタイルに合った方法を医師と相談して決めてください。