硬毛化ってご存知でしょうか?単純には毛が濃くなることで、お薬の副作用等でも起こりますが、今回は脱毛後に起こる硬毛化について解説します。
脱毛していて、なんか毛が濃くなった気がする、硬毛化のリスクがあるって説明を受けたり、ネットで見たけどいまいちよく分らない…という方もいるでしょう。
この記事では、硬毛化とは何なのか、どの様な時に起こりやすいのか、対処方法は?などご紹介します。
脱毛していて、万が一硬毛化が起こった場合には、通常の脱毛とは異なるアプローチが必要なこともあります。硬毛化について知っているだけでクリニックに適切な相談が出来るはずです。是非この記事を読んで硬毛化への理解を深めましょう。
目次
1.硬毛化とは
硬毛化とは、本来よりも毛が濃くなることですが、多くはより黒く太く長い毛が生えてきます。病気やお薬によって硬毛化の症状が出てくることもありますが、クリニックやエステ、家庭用脱毛機による脱毛後にも硬毛化が起こることがあります。
硬毛化が起こる部分は、脱毛を行った部位、又はその範囲を超えて毛が濃くなることがあります。まだ分っていないことも多いのですが、頻度は約0.6%~10%程度と報告されています。
硬毛化の原因
硬毛化の原因はまだハッキリとは分っていませんが、レーザー照射によって不十分なエネルギーが加わったことによる反応だという説が有力です。硬毛化は医療レーザー脱毛だけで起こる訳ではなく、光脱毛、エステ脱毛などでも起こりえます。
他には、照射による炎症で硬毛化が起こるという説もあります。
また、医療脱毛の中でもヤグレーザーでは頻度が少なかったという研究もありますが、そもそもヤグレーザーで行った人が少ないので優位に少ないのかどうかはまだ分らないと考えられています。
硬毛化はレーザー照射後、必ずすぐに起こる訳ではありません。照射後数か月してから硬毛化が起こることもあります。一旦薄くなっても、元の状態よりも濃くなってきたら施術を行ったクリニックに相談しましょう。
2.硬毛化の起きる可能性は?脱毛法と硬毛化リスクの関係とは
硬毛化についてのまとまった報告はまだあまり多いとはいえず、報告により硬毛化の頻度もまちまちです。具体的な頻度としては約0.6%~10%という報告があります。
こういった報告をするのは医療機関ですから、おのずと医療脱毛において硬毛化がよく報告されるというような現象が起こりますが、エステ脱毛であれ家庭用脱毛機であれ硬毛化の起こる可能性は同じ様にあると考えた方がいいでしょう。
硬毛化の原因としてレーザーや光を当てることによる炎症とする説があり、その要因が大きいのであれば、医療脱毛より、家庭用脱毛機の方が硬毛化が起こりにくいと考えられます。
しかし、最も有力とされている原因は、不十分なエネルギーが毛に加わることによる作用と考えられています。その仮説をもとに考えると、弱いパワーで当てているエステ用の機械などの方が硬毛化のリスクが高いと考えられるでしょう。
いずれにせよ、現状ではどの方法でも同じように起こると思っていた方がいいでしょう。
“メディオスターやソプラノは硬毛化が少ない?”
メディオスターやソプラノという機器による蓄熱式脱毛は硬毛化が少ないと書いてあるものを見たことがある人もいると思います。確かに、このような蓄熱式と呼ばれる脱毛機では硬毛化が起きにくい、硬毛化を治療しやすいという医師もいます。
しかし、日本に導入されて数年ですし、個人的にはきちんとした比較や割合はまだ分らないの状態だと考えます。
3.硬毛化しやすい状態と場所
1章で解説したように硬毛化の原因はまだはっきり分っていませんが、硬毛化が起こりやすい状況や部位があります。
以下のような状況で医療レーザー脱毛を行うと、硬毛化になるとい訳ではありませんが、硬毛化になった人を見返すと、以下のような状況が多かったと考えられています。
- 産毛
- ホルモンに異常がある状態(PCOS:多嚢胞性卵巣症候群)
- ホルモンのサプリメントや薬を飲んでる人
- 施術後にカサブタや長引く赤みなどトラブルが合った場合
- 白人よりも有色人種
硬毛化が起こる確率はそれ程高いとは考えられませんが、上記のような場合に起こりやすいとされています。
また、起こりやすい場所としては顔・首・背中・上腕などです。
硬毛化が怖い!そんな方に押さえて欲しい6つのポイント
硬毛化はどうしてもある一定の確率で起こります。
気にならない部位であれば脱毛しない
硬毛化はうなじや背中など産毛の部分に起こりやすく、そもそも気になっていないのであれば脱毛しない方がいいと思います。腋や足の脱毛に行っても、せっかくだから、安いからといって全身脱毛を勧められることもあるようですが、硬毛化のリスクを避けたいのであれば、硬毛化しやすい部分はやらない方が良いでしょう。
全身で契約したから全身を脱毛しないといけに訳ではありません。
うなじや背中などを照射しなくても、全身で契約した方が費用が安くて済む場合もありますので、各クリニックの料金体系は確認するようにして下さい。
日焼けをしない
施術前後に日焼けはしないようにしましょう。特に施術前に日焼けをすると、やけどでカサブタが出来たり赤みが長引くリスクがあります。このような場合は硬毛化しやすとされますので、施術前の1ヶ月は必ず日焼けを避けましょう。
保証はカウンセリングで確認する
硬毛化が心配な人は、硬毛化した場合はどのような対応をしてくれるのかを各クリニックに確認しておきましょう。
硬毛化についてはまだ分らないことも多く、治療法も確立していません。硬毛化したものを確実に治します…と保証しているクリニックを探すのは難しいと思いますが、追加の処置を可能な限り行ってくれるかどうかは確認しておいてもいいでしょう。
針脱毛をする
レーザー脱毛や光脱毛の出現により、針脱毛を行う施設は減ってきましたが、針脱毛は確実な脱毛法です。時間がかかる・痛みが強いというデメリットはありますが、避けたい場合や硬毛化した毛を治療する場合には向いています。
ヤグレーザーで脱毛する?
ある研究ではアレキサンドライトレーザーや光(IPL)脱毛での硬毛化の頻度よりもヤグレーザーでの硬毛化の頻度が低かったとされています。しかし、ヤグレーザーで行った人の数自体が相対的に少なく、本当にヤグレーザーで硬毛化が起きにくいのかどうかはまだ分らないのが実情です。
ただ、ちょっとでも硬毛化が起きにくい可能性があるのなら、ヤグレーザーでやってみたいという人にはいいかも知れません。
メディオスターやソプラノで脱毛する?
2章でも解説しましたが、メディオスターやソプラノでは硬毛化が起こりにくいと言う医師もいます。まだ確固たる証拠はありませんが、硬毛化の可能性を少しでも低くしたい方は選んでみてもいいのではないでしょうか?
メディオスターやソプラノの脱毛効果に関しては、従来の医療脱毛と比較して同程度とする研究もありますが、硬毛化しやすい部位(背中など)の部位での研究は少なく、効果が同程度かどうかは不明です。
メディオスターやソプラノなどの蓄熱式脱毛については「メディオスターってどうなの?効果や痛みと選ぶべき基準」をお読みいただければ、研究結果などをまとめた詳しい情報が手に入ります。
4.硬毛化の対処方法
硬毛化してしまうと、自分でなんとかすることは困難です。硬毛化しても治療は医療レーザー脱毛になります。しかし、通常の脱毛とは違うレーザーのパワーや当て方をすることもあります。もしくは針脱毛を行うかです。
例えば、医療レーザー脱毛で2度打ちといって、硬毛化している場所に2回レーザーを重ねて照射したり、1週間後に再び照射する方法を紹介している文献もあります。あるいは、アレキサンドライトレーザーで硬毛化が起こったのをヤグレーザーで治療したという報告もあります。
いずれにせよ、これといった確実な対処法が確立している訳ではなく色々な対処法があります。他にも時間はかかりますが、待つという方法もあります。待っていると薄くなってくることがありますが、1-2年と長い時間が必要です。
保障制度があるクリニックもあり、硬毛化した場合無料で治療してくれます。(しかし、必ず簡単に対処できるという訳ではありません)
5.まとめ
硬毛化について解説しました。患者サイドで出来る対策などはあまりなく、硬毛化になってしまうと治療にも時間がかかります。硬毛化の頻度は多くないのですが、頻度が低かった報告でも約0.6%でリスクがあります。
硬毛化と言うものがあるという事を知っておくだけでも、無駄に心配することがなくなり、万が一本来よりも毛が濃くなってきたときには担当のクリニックへ適切に相談できることと思います。
Hair stimulation following laser and intense pulsed light photo-epilation: review of 543 cases and ways to manage it. Willey A, Torrontegui J, Azpiazu J, Landa N. Lasers Surg Med. 2007 Apr;39(4):297-301.
Paradoxical hypertrichosis after laser therapy: a review. Desai S, Mahmoud BH, Bhatia AC, Hamzavi IH. Dermatol Surg. 2010 Mar;36(3):291-8.
以上の解説は、体質等により個人によって該当しない場合がございます。予めご了承ください。