バストの大きさや形でお悩みの女性は決して少なくありません。しかし、身体にメスを入れる豊胸手術には抵抗がある方は多いですよね。
そんなお悩みを解消するのが、ヒアルロン酸を使った豊胸です。
短い手術時間でお胸のボリュームアップや、形を整えることが可能で、腫れや内出血は少ないので、連休が取れない方でも施術ができ、「プチ豊胸」として人気です。
ヒアルロン酸は、時間がたつと自然に身体に吸収されるので、夏などの薄着になる時期や、海に行く前などにバストアップしたいと、この豊胸を受ける方も多いです。
この記事では、ヒアルロン酸を使った豊胸について詳しく解説していきます。
目次
1.ヒアルロン酸の豊胸手術の効果と方法
片胸に100㏄のボリュームが増えれば、ブラジャーのサイズで1カップ大きくなると言うのが大体の効果の目安です。
しかし、ヒアルロン酸を入れすぎると触り心地が硬かったり、ゴツゴツしたりするので、方胸に対して100㏄とか120㏄とかの上限を設けている場合がほとんどです。ですので、ヒアルロン酸豊胸は1カップまでのバストアップと思っていただくのが良いでしょう。
また、ヒアルロン酸の持続期間、効果を実感できるのは1年未満と思っておいた方が無難です。
ヒアルロン酸は体の中に入ると徐々に分解されていきます。胸用に用いるヒアルロン酸は1年半ほどで溶けていくとされます。徐々に溶けていきますので、胸も徐々に小さくなっていきます。1年半もずっと大きさが変わらない訳ではないのです。
例えば、徐々にヒアルロン酸が溶けていき、お胸に20㏄しかヒアルロン酸が残っていなければ、ほとんど効果を感じることはできないでしょう。
ヒアルロン酸豊胸は、わきか胸の下(乳房下縁と言って、胸のふくらみでしわになっているところ)に2-3㎜の穴を開けて、ヒアルロン酸を注射する用の針で行います。医師によって傷をつける場所は変わってきますが、このどちらかがほとんどです。手術は30分あれば終わります。
2.メリット・デメリット
他の方法と比べて、ヒアルロン酸豊胸のメリットは以下のようなものがあります。(リスクについては4章で解説します)
- 手軽に出来る
- ダウンタイムが少なく、次の日から仕事が出来る
- 傷口が小さく、ほとんど分らなくなる
ヒアルロン酸は製品として注射器に入っており、注射するだけで手軽に行えます。お胸に注射するので、太い針(2~3㎜程)を使って広範囲に注射します。ですので、麻酔をかけて行うのが一般的です。
次の日からデスクワーク程度であれば可能です。筋肉痛のような痛みが胸に出ますが、動けないような痛みではありません。
太い針で注射を行いますが、傷口はほとんど分らなくなります。まれに赤いニキビの跡くらいで残る人がいます。
デメリットは以下の通りです。
- ヒアルロン酸がなくなってしまう
- 大きくするのに制限がある(約1カップ)
- 触った感じがやや硬い
ヒアルロン酸は体の中で分解されてなくなっていってしまいますし、大きさに制限があります。
触った感じは入れる量と元々のお胸の厚みによって変わってきます。お胸の厚みがない方にヒアルロン酸を多く入れるとヒアルロン酸の硬さがダイレクトに伝わります。お胸の厚みがある方には多めのヒアルロン酸を入れても硬さが伝わりにくいです。
3.手術後の経過
ヒアルロン酸豊胸は他の方法と比べてダウンタイム(回復期間)が短い事がメリットです。
痛み
麻酔の方法にもよりますが、手術中は麻酔をかけているのであまり痛みがありません。手術後も動けないようなひどい痛みはありません。強めの筋肉痛がお胸に起きます。だいたい1週間ほどでなくなります。
腫れ
手術による腫れはあまり起こりませんが、麻酔液を使用するため、ヒアルロン酸の大きさ以外に余分に大きくなります。麻酔は1日で吸収されますので1-2日後は小さくなった印象があるでしょう。腫れが大きく出た場合は1週間ほどで目的の大きさに落ち着きます。
内出血
注射で行うので出ることがあります。1週間で落ち着きます。
傷跡
太い注射針(2~3㎜)ですが、気にならない程度に消えていきます。早い人で数週間、遅い人で1-2カ月です。
中には、ニキビの跡の様に赤く残る人もいますがほとんど気にならない程度です。
4.ヒアルロン酸の豊胸手術のリスク
手術と言っても30分もかからずに終了する、小手術です。手術によるリスクは通常あまりありません。
しかし、ヒアルロン酸が入っている事で起こるリスクがあります。
4-1.しこりになる事がある
ヒアルロン酸は体の中で徐々に溶かされて、吸収されていきます。しかし、「しこり」となって溶けずに残ることがあります。それ自体が何か悪い影響を起こすことは少ないですが、まれに感染したり、痛みを伴うことがあります。
また、しこりがあるとコリコリ触れて気になると言う場合があります。
逆に、わざと大きなしこりを1つ作って、ヒアルロン酸を長持ちさせるような注入方法を行っているクリニックもあるようです。
一番困る事は、乳がん検診の際にヒアルロン酸のしこりなどが邪魔になる事です。精密検査をすればヒアルロン酸か病気かは判別が付きますが、このような理由から、フランスでは美容目的のヒアルロン酸豊胸は中止されています。
しこりになった場合は、注射器で吸い出したり、ヒアルロン酸を溶解する注射を行ったりします。乳がん検診の際に、しこりが見える場合がありますが1㎝未満のしこりは対処が難しくなります。手で触っても小さいので分りませんし、体に悪影響がない限り放置する場合が多いです。
4-2.まれに感染することがある
頻度は1%以下で、非常に稀です。手術中、もしくは手術後に体に入ったばい菌(細菌)がヒアルロン酸の周囲で炎症を起こすことがあります。赤く腫れて痛みが出てきますので、手術を受けたクリニックを早期に受診しましょう。
抗生物質を使用したり、ヒアルロン酸を1回外へ出したりする処置が必要になる場合があります。通院は必要になりますが、治療できます。
4-3.繰り返し行う事のリスク
ヒアルロン酸はなくなってきたら再度入れたり、追加する事が可能です。しかし経験上、繰り返し行う事でしこりになる可能性が上がったり、ボコツキ、硬さが出やすくなります。
ですので、ヒアルロン酸でずっと大きい胸を維持するという考え方は良くないです。大きさを長期に維持したい場合はシリコンバッグや脂肪豊胸に変更した方が良いです。
5.手術費用の相場
ヒアルロン酸10㏄当り3万円~4万円が相場です。片胸に50㏄ずつ入れたとすると合計100㏄で30~40万円になります。100㏄ずつだと合計で200㏄なので60万~80万円です。ヒアルロン酸は原価がかかるので、それほど安くはなっていきません。
麻酔代金として別途請求される場合もありますので、カウンセリングの前に確認しておくとよいでしょう。
かなり安い値段で表示してあるクリニックがありますが、理由は以下のようなものが考えられます。
- 大量仕入れを行っているため原価が下がる
- 新人が手術を行うため、キャンペーンを行っている
- 韓国製品など原価の安いものを使用している
- ヒアルロン酸豊胸で来院した人に、脂肪注入による豊胸など違う手術を勧める
韓国製品で安いヒアルロン酸はあります。原価が下がるので値段も下げる事ができます。数年前に使用した事があるのですが、その時はトラブルが多く使用しなくなりました。
ヒアルロン酸豊胸として有名なヒアルロン酸は「マクロレーンVRF」や「ハイアコープ」と言うものがあります。
相場よりも安い値段でヒアルロン酸豊胸を提供している場合は、ヒアルロン酸豊胸では利益が出ないので、脂肪注入による豊胸を強く勧めたり、ヒアルロン酸豊胸でも量をできるだけ増やすように勧めてくるクリニックもあります。(ヒアルロン酸豊胸をやってくれない訳ではないのですが)
理由は脂肪豊胸の方が値段が高かったり、利益率もいいからです。また、一度に入れるヒアルロン酸の量を増やしてもらえれば、その分利益も大きくなるからです。
脂肪豊胸には脂肪豊胸の良い点があるので、納得して脂肪豊胸を行う事は悪い事ではありませんが、強く勧められたり、勧誘されたりするのが嫌な人は気を付けておいてください。
6.ヒアルロン酸以外の豊胸手術
ヒアルロン酸豊胸以外には「脂肪注入による豊胸」「シリコンバッグ(生理食塩水バッグ)による豊胸」があります。
それぞれメリット・デメリットがります。
6-1.脂肪注入による豊胸
他の部位から脂肪を吸引して、お胸に移植する手術です。ほとんどの場合、太ももから脂肪を吸引します。
メリット
- 脂肪なので柔らかい胸に仕上がる
- 脂肪を取った部分は細くなる
- 5㎜ほどの小さい切開のみで手術できる
- 他部位の脂肪があれば2回目も行う事が可能
デメリット
- 脂肪を注入しても、一部吸収されて無くなるので、どれくらいの大きさになるかは正確には分らない
- しこりになる事がある
- しこりにならずに大きく出来るのは1.5カップ程度が限界
- ヒアルロン酸豊胸よりは体への影響が大きい手術になります。デスクワークあれば3日休みがあれば大丈夫です。
- 将来的に大きさが変化する(小さくなる可能性がある)
向いている人
- 柔らかさを一番重視する人
- 大きさにそこまでこだわらない人
- 痩せすぎでなく、他の部位の脂肪吸引が出来る人
脂肪注入豊胸についてより詳しく知りたい方は「柔らかく自然な豊胸:脂肪注入による豊胸手術の効果とリスク」もお読みください。
6-2.シリコンバッグによる豊胸
日本人の場合、わきに4㎝程の傷を作り、希望の大きさのシリコンバッグを入れます。
メリット
- 確実に大きくなる。2カップや3カップも可能だが、体格によって合う合わないがある。
- トラブルがあっても丸ごと取り出せる
デメリット
- 胸の厚みに比べて大きなバッグを入れると触ると硬く感じる
- 体への負担が他の手術よりも大きく、術後最低3日はお休みと安静が必要です。また痛みが強く起こります。
向いている人
- 確実に希望の大きさにしたい人
- 痩せていて、他の方法が合わない人
6-3.ヒアルロン酸豊胸が向いている人
- 手軽にバストアップしたい人
- 一時的に胸を大きくしたい人
- 1カップ以下のサイズアップでいい人
シリコンバッグ豊胸につてより詳しく知りたい方は「シリコンバッグによる豊胸手術を受ける際の効果とリスク」もお読みください。
7.まとめ
当たり前ですが、ヒアルロン酸豊胸にはメリットもデメリットもあります。この記事ではほとんど全てを解説していますので、内容を把握していただいて手術を受けられる事をお勧めします。
私の個人的な意見としては、ヒアルロン酸豊胸は一時的なバストアップでしかなく、繰り返すことでしこりやボコツキのリスクも上がってきます。それらのしこりは乳がん検診の妨げになる場合もあり、ヒアルロン酸豊胸はやるにしても1回お試しで行う程度が良いと考えています。また、コストパフォーマンスもよくありません。
長い期間にわたって、豊胸効果を維持したい場合はシリコンバッグ豊胸や脂肪注入豊胸をお勧めします。