ここ最近ピーリングジェルが流行っていますね。ピーリングと聞くと肌の汚れを取ってくれそうとか、古い肌を新しい肌へ入れ替えてくれそうと言ったイメージがあると思います。
では、流行のピーリングジェルにもこのような作用があるのかと言えばほとんどの製品がノーです。実際にピーリング効果の入っているものは少ないのです。それどころか、お肌にあまり好ましくない成分が入っている事も多くあります。
本来ピーリングはクリニックで行った方が効果も高くいいのですが、ホームケアとしてピーリング剤入りのものを使用したいと言う場合はどのような商品を選べばいいのか、どの様に使用すればいいのかをこの記事では解説いたします。
正しい知識を持って商品を購入しないと、効果がないばかりか肌に好ましくないものを使い続ける事になってしまいますので、是非この記事を読んでください。
目次
1.そもそもピーリングとは
ピーリングとは、ニキビ・肌の老化・しみ・くすみ・肌の質感などの皮膚の美容目的で行われるのもです。仕組みとしては、肌に薬液を塗る事で肌の表面を剥がす事により、新しくキレイな肌を作ろうとするものです。(剥がすの英語がピール:peel)
特にこのように、肌に薬液を縫って剥がすものをケミカルピーリングと呼びます。物理的な作用により行うものにダイヤモンドピーリングやレーザーピーリングがあります。
使う薬液によっていくつか種類がありますが、大きくはAHAとBHAと呼ばれるものに分かれます。
- AHA:グリコール酸、乳酸など
- BHA:サリチル酸など
実際にはピーリングは医療機関で行われるものですが、数十%の濃度の薬液を使用して行います。
1-1.ピーリングジェルとは
ピーリングジェルとはピーリングの薬液をジェル状の洗顔料など混ぜているもの、、、ではありません。ピーリングジェルと言われるもののほとんどにピーリング作用のある薬液は含まれていません。
実際にピーリング効果なんてないのです。いくつかのサイトでも指摘されていますが、ピーリングジェルの多くにはゲル化剤と言うものが入っており、これを肌に乗せてクルクルこすることで白い粒々が出てきます。角質が取れて出てきているわけではありません。
使用すると出てくる白いブツブツは「 (アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー」などのゲル化剤が正体です。摩擦を加える事により、この成分がブツブツとして出てきます。
AHAやBHAと言われるピーリングの薬液が入っているわけではありませんし、そもそも宣伝に出てくるようにボロボロ肌が向けていたら大変なことになってしまいます。
また、ピーリングジェルを使った後は化粧のりが良くなりますが、これも「ステアリルトリモニウムプロミド」などの成分によります。リンスや柔軟剤に使われる成分で、つるっとした感じは演出できますが肌への刺激は強くなりますので出来れば使用は避けたいものです。
2.自宅で出来るピーリングの選び方と注意点
1章でも解説したようにピーリングの薬液とはAHAやBHAが入っているものです。AHAやBHA配合と言う商品はピーリングジェルのようないかさま商品とは別に存在します。
しかし、AHAにしろBHAにしろ配合されている濃度は非常に低くなっており、ピーリングとしての効果はほとんど見られないレベルです。
多くが石鹸と混合されています。ピーリング剤は酸性、石鹸はアルカリ性なので中和されて効果も無くなってしまうのではないかと考えます。実際クリニックで行うピーリングではピーリング終了時にアルカリ性の薬液をたらしてピーリング剤を中和して治療を終えます。
もし、自宅でちょっとでもピーリング効果を得たいという事であればAHAやBHAが入っている成分を購入してください。また、ピーリング効果が非常に弱いと言っても、ピーリングの薬剤が入っていますので使用は説明書に従ってください。記入がない場合は1週間に1回程度にしましょう。
2-1.AHA(グリコール酸、乳酸)配合のものを選ぶ
ピーリング効果のあるものにはAHAとBHAがあると言いましたが、BHA(ほぼサリチル酸)ですが化粧品への配合基準で0.2%以下(海外の製品は別)と決められています。データはありませんが、この濃度ではまず効果は出ないでしょう。
ですので、選ぶのであればAHA配合のものの方がいいでしょう。
2-2.AHA(グリコール酸、乳酸)の濃度に気を付ける
日本の化粧品には全成分表示と言って、配合されているすべての成分を表示するように義務付けられています。ですので何が入っているのかは分るのですが、どれくらいの量や濃度で入っているかわ分りません。
日本の製品であればそれほど高い濃度のAHAが入っている事は考えにくく、逆にあまりピーリング作用がないものがほとんどでしょう。しかし、中にはトラブルを起こした例もあります。
新聞広告を見て、家庭でできるというピーリング(※)用の化粧品の試供品を申し込んだところ、「6ヶ月使えば肌が見違える」などと勧められて6ヶ月分を購入した。3ヶ月後、頬が赤くなり痛みを感じるようになり、医師の診察を受けた。治療に2ヶ月かかった。
では、どれ位の濃度までが自宅で管理できるものでしょう。以下のような参考基準があります。
米国のケミカルピーリング剤使用基準は、AHA濃度を化粧品の場合は【10.0%未満、pH3.5以上】
しかし、白人と黄色人種では同じように考えてはいけません。黄色人種である日本人の方が肌が弱くトラブルも起こりやすいのです。pHによってもAHAの作用は変化しますが、3%以下程度が自宅で出来る安全域なのではないかと考えます。それでも敏感肌の方や、化粧品でトラブルを起こした事のある方はピーリング効果のある化粧品自体を避けた方がいいでしょう。
2-3.保湿・日焼け止めは必ず使用する
ピーリング効果のある化粧品を使ったあとはホームケアと言えど、角質が剥がれている事が考えられます。しっかりと保湿し、日焼け止めは必ず使用しましょう。
2-4.使い方を守る
本当にピーリング効果のあるものであれば毎日使用していいとなっているものはないと思います。おそらく1-2週間に1回の表示となっている事思いますが、使用方法は必ず守るようにして下さい。
3.クリニックでピーリングを行う方法
通常ピーリングはクリニックで行うべきです。クリニックで行うピーリングにはAHAであるグリコール酸ピーリング、乳酸ピーリング、またはサリチル酸マクロゴールピーリングなどがあります。この3つがよく使用されるピーリング剤です。
使用する薬剤の濃度や㏗によって効果も変わるので一概には言えませんが、それぞれ特徴があります。多く行われるのがグリコール酸ピーリングで濃度や㏗によって多くの症状をカバーできます。
サリチル酸マクロゴールは少しマイルドな感じで、多くの症状に効果的ですが、ニキビのクレーターや大きな毛穴の開きには効果は限定的です。乳酸ピーリングはより弱いピーリングになります。ですので、初めてクリニックでピーリングを行う方、心配な方は乳酸ピーリングやサリチル酸マクロゴールピーリングをお勧めします。
美肌(くすみ、シミ予防、色むらの改善、化粧乗りの改善など)であれば、ピーリング単独でも一定の満足度は得られると思いますが、ニキビやニキビ跡、肝斑などの治療となるとその他の治療や組み合わせを行う事も多く、担当医と治療方針についてカウンセリングで話し合ってください。
4.まとめ:効果を出したい方はクリニックでピーリングを行う
ピーリングジェルと言われるものでも実際にピーリング効果が全くなく、肌に刺激に強い成分が入っているだけの場合もあります。素人が成分を調べて使用するのは難しいですが、もし自宅でピーリング効果を得たいのであればAHAやBHAが入っているものを選んでください。しかし、しっかり効果を出したいときにはクリニックで治療を行うべきでしょう。
市販のものでもAHA配合のものであれば少しなら効果はあるでしょう。しかし、一定の確率でトラブルもあるのではないかと思います。クリニックでピーリングを行う場合はしっかりリスク管理をしてもらえ、トラブルにも対応してもらえます。もちろん効果も強く出ます。ピーリング単独ですべてが解決できるわけではありませんが、お悩みや症状により色々な方法を組み合わせて治療することができます。
また、単に美肌目的の場合でも軽いピーリングを1-2か月に1回行うだけで、肌のごわつき感が取れたり、くすみが取れたりするのを実感できるでしょう。費用は1回5,000円~10,000円です。