目の下のクマ取り手術を調べていると、
「手術後に物が二重に見えるようになった」
「クマ取り後に複視が出た」
という話を目にすることがあります。
結論からお伝えすると、目の下の手術後に物が二重に見える「複視」が起こる可能性はあります。
ただし、頻繁に起こる合併症ではありません。
また、複視が起こったからといって、必ずしも眼球そのものを傷つけているわけでもありません。
一時的な麻酔の影響や腫れ・内出血によって起こるものから、眼球を動かす筋肉への影響まで、原因はいくつかあります。
そして、原因によって回復までの経過や対応方法も異なります。
この記事では、
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なぜクマ取り後に物が二重に見えるのか
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どのくらいの頻度で起こるのか
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どのような場合に注意が必要なのか
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複視になったらどうすればよいのか
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どのくらいで治るのか
について解説します。
目次
動画でも詳しく解説しています
クマ取り後に起こる複視については、YouTubeでも詳しく解説しています。
複視が起きる仕組みや、実際に起こった場合にどのように考えるのかについて、会話形式で説明しています。
「クマ取り後に物が二重に見える?複視の原因と対処法」
文章とあわせてご覧いただくと、より理解しやすいと思います。
クマ取り後に物が二重に見える「複視」とは?
複視とは、一つの物が二つに見える状態です。
目は左右それぞれが同じ方向を向き、左右の眼から入ってきた像を脳で一つにまとめています。
ところが、左右の眼球の向きにずれが生じると、左右から入ってくる像が一致しなくなり、
「一つの物が二つに見える」
という症状が起こることがあります。
目の下の手術では、眼球そのものを手術しているわけではありません。
しかし、眼窩脂肪の近くには眼球を動かしている筋肉があります。
そのため、脂肪を取ったり移動したりする操作の影響が眼球運動に及ぶと、複視が起こる可能性があります。
なぜクマ取り後に複視が起こるのか?
複視が起こる原因は一つではありません。
大きく分けると、次のような原因があります。
① 麻酔の影響
手術直後に起こる複視では、局所麻酔の影響が関係していることがあります。
麻酔薬が眼球を動かす筋肉などに影響すると、一時的に片方の眼球が動きにくくなることがあります。
左右の眼球の動きが一時的に合わなくなることで、物が二重に見えるわけです。
局所麻酔による一時的な眼球運動障害は医学的にも報告されています。
多くの場合、麻酔による一時的な影響であれば時間とともに改善します。
② 腫れや内出血
クマ取り後には、眼窩内にも腫れや内出血が起こります。
眼球を動かす筋肉の周囲が腫れたり、筋肉内や周囲に出血が起きたりすると、一時的に筋肉が正常に動きにくくなることがあります。
この場合も、
腫れや内出血が改善するとともに眼球運動が改善する
ことがあります。
③ 炎症や瘢痕によって筋肉が動きにくくなる
手術をすると、組織には炎症が起こります。
その後、傷が治っていく過程で「瘢痕」と呼ばれる組織が形成されます。
皮膚の傷跡をイメージすると分かりやすいと思いますが、同じことは体の内部でも起こります。
この瘢痕によって眼球を動かす筋肉やその周囲の組織の動きが悪くなると、
ある方向を見たときだけ物が二重に見える
といった症状が出ることがあります。
そのため、手術直後は問題がなくても、炎症や瘢痕が形成されていく過程で複視が目立ってくることもあります。
④ 眼球を動かす筋肉そのものへの損傷
頻度は低いものの、より注意が必要なのが、眼球を動かしている筋肉への直接的な損傷です。
下まぶたの脂肪の近くには、下斜筋や下直筋などの外眼筋があります。
特に下斜筋は下眼瞼手術で操作する脂肪組織の近くを走っているため、注意が必要な構造です。
下眼瞼形成後の複視について調べた報告でも、複視症例の中では下斜筋が関係しているケースが多く報告されています。
筋肉そのものを損傷した場合には、単純な麻酔や腫れによる複視よりも回復に時間がかかったり、追加治療が必要になる可能性があります。
「手術直後」と「数日〜数週間後」では原因が違うことがある
複視がいつ出現したのかは、原因を考えるうえで非常に重要です。
例えば手術直後であれば、
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麻酔
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腫れ
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内出血
-
筋肉への直接的な影響
などを考えます。
一方、手術直後には問題がなく、その後に複視が出てきた場合には、
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炎症
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瘢痕形成
-
筋肉周囲の拘縮
などが関係している可能性もあります。
そのため、
「複視があるかどうか」だけではなく、「いつから出たのか」「どの方向を見ると出るのか」
も重要な情報になります。
クマ取り後の複視はどのくらいの確率で起こる?
ここは数字の解釈に注意が必要です。
複視は頻度の低い合併症であるため、
「クマ取りを100人受けたら何人に起こる」
という正確な数字を出すのは簡単ではありません。
手術方法も、
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脱脂
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裏ハムラ
-
表ハムラ
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再手術
などさまざまであり、「一時的な複視」まで含めるのか「1週間以上続いた複視」だけを数えるのかによっても数字が変わります。
米国の眼形成外科医を対象に行われた調査では、回答した371名の医師のうち86名、23.2%の医師が下まぶたの手術後に1週間以上続く複視を少なくとも1例経験していました。
ただし、これは非常に重要なのですが、
「手術を受けた患者さんの23.2%に複視が起こる」という意味ではありません。
多数の下まぶた手術を行っている医師が、長い診療経験の中で一度でも経験したかどうかを調べた数字です。
したがって、この数字から患者さん一人ひとりの発症率を計算することはできません。
複視はまれな合併症ですが、
経験豊富な医師が適切に手術していても、完全にゼロにできる合併症ではない
と考えておく方がよいと思います。
再手術ではより慎重な操作が必要
過去に目の下の手術を受けている場合には、通常の初回手術とは少し状況が異なります。
以前の手術によって内部に瘢痕が形成されているため、
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本来柔らかい組織が硬くなっている
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組織同士が癒着している
-
正常な解剖が分かりにくくなっている
といったことがあります。
そのため、再手術では筋肉周囲を操作するときに、初回手術以上に慎重な剥離が必要になります。
当院でも目の下の修正手術を行う際には、筋肉の位置を意識しながら、無理に組織を引っ張らないように手術を行っています。
「何回手術したら複視になる」という単純なものではありませんが、過去の眼周囲手術歴は術前に必ず医師へ伝えることが重要です。
複視になったら、まず何をすればいい?
最も重要なのは、
手術を受けたクリニック・主治医に早めに連絡することです。
手術を行った医師は、
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どの術式を行ったのか
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どの部分を剥離したのか
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手術中に出血があったか
-
筋肉の近くをどこまで操作したのか
を把握しています。
そのため、まず手術を行った医師に相談することが基本です。
「複視が出ても、とりあえず半年待てばいい」わけではない
ここは特に注意していただきたいところです。
手術後の複視は自然に改善することも多いため、経過観察になるケースはあります。
しかし、
すべての複視を自己判断で数か月放置してよいわけではありません。
例えば、
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急激な視力低下
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強い眼痛や圧迫感
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急激に増える腫れ
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眼球が動かしにくい
-
強い頭痛などを伴う
といった場合には、複視以外の眼窩内合併症なども除外する必要があります。
術後に突然複視が出た場合は、まず手術を受けた医療機関へ連絡してください。
状態によっては早急な診察や眼科評価が必要になります。
複視は自然に治ることの方が多い?
複視が起こったからといって、そのまま一生治らないとは限りません。
2020年に報告された米国眼形成外科医への調査では、1週間以上続いた複視として報告された症例の73%が最終的に完全に改善していました。
*これはハムラ法のみの調査ではありません。
つまり、長く続く複視であっても改善するケースは少なくありません。
ただし、残りの症例では複視が残っており、自然に治る人だけではないことも重要です。
どのくらい待てば治る?
これは原因によって大きく異なります。
麻酔や一時的な腫れが原因であれば、比較的短期間で改善することがあります。
一方、
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筋肉周囲の炎症
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瘢痕
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拘縮
-
筋肉への損傷
などが関係する場合には、改善まで数か月かかることがあります。
眼手術後の複視について、6か月経過しても改善がみられない場合には、その後自然に改善する可能性が低くなってくるとされています。
ただし、これは「必ず6か月何もしない」という意味ではありません。
筋肉の明らかな損傷や強い運動障害など、早い段階で治療した方がよいケースもあります。
そのため、
「何か月待つか」ではなく、「何が原因で複視が起きているのか」を評価することが重要です。
複視が治らない場合にはどのような治療をする?
原因や症状の程度によって治療方法は異なります。
軽度で自然回復が期待できる場合には経過観察します。
一方、瘢痕によって筋肉の動きが制限されていたり、筋肉そのものに問題がある場合には、手術による治療を検討することがあります。
眼球を動かす筋肉を修復したり、斜視手術によって眼位を調整したりする方法です。
ただし、
再手術をすれば必ず完全に元に戻るわけではありません。
原因となっている筋肉や損傷の程度によって結果は異なります。
複視を完全に防ぐことはできる?
手術では、眼球運動に関係する筋肉の位置を理解し、脂肪を処理する際に直接確認しながら慎重に操作することが重要です。
特に下斜筋は眼窩脂肪の近くを通っているため、目の下の手術では注意が必要です。
しかし、
「経験のある医師なら複視は絶対に起こらない」というものではありません。
出血や腫れ、炎症、瘢痕など、手術操作以外の要素によっても複視が起こることがあります。
大切なのは、
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解剖を理解して安全に手術すること
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リスクの高い症例を術前に評価すること
-
合併症が起こった際に適切に対応すること
だと考えています。
まとめ
クマ取りや裏ハムラ、表ハムラなどの目の下の手術後には、まれに「物が二重に見える」という複視が起こることがあります。
原因には、
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麻酔による一時的な眼球運動への影響
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腫れや内出血
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炎症や瘢痕による筋肉の動きの制限
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外眼筋そのものへの損傷
などがあります。
多くのケースでは改善する可能性がありますが、原因によって経過は大きく異なります。
そのため、
「複視が出ても自然に治るまで待てばいい」と自己判断するのではなく、まず手術を行った医師へ相談することが重要です。
特に症状が強い場合や、視力低下・強い痛みなどを伴う場合には、早めの診察が必要になります。
目の下の手術は美容目的の手術ですが、眼球を動かす筋肉に非常に近い場所を操作します。
頻度が低い合併症であっても、
「どのようなことが起こる可能性があるのか」「起きた場合にどう対応するのか」
まで理解したうえで手術を受けることが大切だと思います。
動画では、実際の臨床経験も交えながら複視についてさらに詳しく解説しています。
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