頬の脂肪吸引は、余分な脂肪を取り除くことによって下膨れのような印象をなくし、すっきりとしたシャープなフェイスラインにすることができます。フェイスラインのお肉や頬のタプタプ感を気にされている方の中には、脂肪吸引を検討している方もいるでしょう。
しかしお顔の手術の場合には、失敗したらどうしよう…周りの人にバレないか…などといった不安が大きいですよね。また、腫れや内出血・痛みなどがどのくらい出るか知りたいという方も多いと思います。
このページでは、当院で手術をした方の写真で実際の効果や経過をお見せしながら、手術後のダウンタイムやリスク、手術を受ける際の注意点を詳しく解説していきます。
一度手術を受けたら元に戻すことは出来ませんので、手術で失敗せずに納得のいく最高の効果を得るためには、まずは正しい知識を得ることが重要です。頬の脂肪吸引をお考えの方はこのページを必ずお読みください。
目次
1.頬の脂肪吸引の効果
頬の脂肪吸引の効果はどれくらい出るのでしょう?もちろん、脂肪が多くついている人と少ない人では効果の見え方も違います。まずは、当院で行った頬の脂肪吸引の手術症例を見て下さい。
1-1.効果の高かった3症例
1-2.効果がそこそこだった症例
以上のように、効果の現れ方には個人差があり、脂肪の付き具合によっても変わってきます。
また、本人の期待度や感じ方、手術前のカウンセリングによって手術結果に対する評価と言うのは変わってきます。
ですので、手術前に担当の医師としっかりカウンセリングをしてどれくらい効果が出そうか(数字や写真では表しにくいのであいまいな表現にはなりますが…)しっかり話し合ってください。
1-3.頬の脂肪吸引の写真を見る時の注意点
頬の脂肪吸引の写真を見る時に気を付けて頂きたいことがあります。被写体やカメラの角度によって効果が違って見えるからです。
写っている顔の大きさが違う
手術前と手術後で顔の輪郭の大きさが違うことがあります、もちろん脂肪吸引をしているので小さくなるはずですが、顔全体的な大きさが小さくなっているのは、良くない症例写真です。効果を過大評価してしまいます。
写っている顔の角度が違う
顔の角度が違うと、輪郭が大きく違って見えます。下の写真のように顎を引くと手術していなくても細くなってように見えるのです。
2.頬の脂肪吸引の手術方法
頬の脂肪吸引の手順は以下のようになります。クリニックによって違いはあるでしょうが当院で行っている方法を記載します。
- 手術前の写真撮影と医師によるデザイン
- お顔の消毒、点滴の注射
- 点滴からの麻酔で寝ている間に、局所麻酔
- 脂肪の吸引
- 傷口を縫う
- お顔をきれいにして、フェイスバンドを装着して終了
当院では傷口を耳たぶの後ろに作っています。あご下の脂肪吸引も同時に行う時は顎の下部分にも追加で傷を作ります。
手術時間は30分程度ですが、手術前のデザインや髪結い、消毒など合わせて、2時間くらいです。
3.頬の脂肪吸引の失敗
頬の脂肪吸引で小顔になりたいと思っても、いざ手術となると怖いと思う人も多いのではないでしょうか?まずは、失敗するとどうなるのかを解説します。
失敗と言っても確率も非常に少ないですし、多くの場合は改善できるものや気にならない程度になるものですので、そこまでナーバスにならなくてもいいと思います。
3-1.効果が感じられないことがある
顔の脂肪は多くついているものではありません。二の腕や太ももに比べると吸引出来る量も少ないです。また顔の大きさの割合に比べて皮下脂肪の割合が少ないと言うのも理由の一つです。
カウンセリングでの期待値によって満足度が変わってきます。手術前には効果が出そうかどうか、担当の医師としっかり相談するようにしましょう。
3-2.凹凸が出ることがある
無理な脂肪吸引、脂肪の取り過ぎなどで凹凸が出ることがあります。通常は滅多にないですが、出てしまうと、脂肪注入などをして修正することになります。(状態にもより修正法は変わってきます)
3-3.シコリが出来ることがある
手術後2-3カ月経っても頬に丸い小さな小豆のような膨らみ(シコリ)を触れることがあります。自然に無くなっていく場合も多いですが、気になったら担当の医師に相談しましょう。
3-4.ひきつれ、凹みが出ることがある
口元の膨らんだ部分を無理に吸引すると引きつれが起こったり、凹むことがあります。修正は脂肪注入にて対応します。特にたるみのある人は注意が必要です。
3-5.神経麻痺が出ることがある
滅多に起こる事ではありませんが、脂肪吸引の手術によって神経麻痺が出ることがあります。「イー」や「ウー」がいいにくくなったり、ストローが吸いにくくなります。しかし、1-6カ月で治ると言われています。
4.頬の脂肪吸引の腫れと効果が出るまでの期間
頬の脂肪吸引で皆さんが最も心配するのが腫れです。頬は柔らかく腫れやすい部位でもあります。下の写真は当院で頬とあご下を同時に脂肪吸引した方の腫れ具合です。(術後1日目と7日目が揃っている方で提示しています)
当院では腫れが少なくなるようなお薬を使用して行っているのでこの程度ですが、実際はもっと腫れます。
腫れは1週間ほど続き、引いていきます。その後すぐに細くなるという訳ではなく、徐々に細くなっていきます。1ヶ月で細くなっている人もいれば2カ月ほどかかる人もいます。
5.頬の脂肪吸引の経過
頬の脂肪吸引後の腫れは前の章で解説しましたが、その他にも知っておくべき経過がります。
手術後の腫れは1週間ほどで、傷口の抜糸も1週間目にあります。糸が付いていても目立たない場所なので、腫れの具合によっては2-3日で仕事に復帰できます。またマスクを出来る仕事であれば2-3日目には復帰可能です。1週間すれば内出血もお化粧でかなり隠せます。
マスクが不可能で、腫れが落ち着くまでであれば、お休みは1週間あった方が無難でしょう。
傷はかなりきれいになる
傷の写真を2章で載せましたが、顔の傷はかなりきれいに治ります。ただし、手術後すぐに気にならなくなるわけではありません。平均的には3ヶ月もすればかなりきれいに落ち着いてきます。
内出血が出ることがある
脂肪吸引の後は内出血が出ます。頬の場合は皮膚が厚いので目立ちにくいですが、大きく出てしまう場合もあります。マスクをすれば腫れとともに隠せます。
痛みは少ない
顔の脂肪吸引の後の痛みはそれ程大きなものではありませんので心配しなくても大丈夫だと思います。クリニックから処方される痛み止めで対応してください。
一時的に硬くなる(拘縮する)
脂肪吸引の後は一時的に組織が硬くなります、硬縮すると言います。これ自体は正常な反応ですので心配しなくても大丈夫です。この間にマッサージを指導するクリニックが多いかと思いますが、2カ月程度で硬さは取れて触った感じも自然になってきます。
感覚が鈍くなることがある
脂肪吸引の後は、その部分の皮膚の感覚が鈍くなることがあります。これも2-3ヶ月で改善します。
6.頬の脂肪吸引のアフターケア
アフターケアの方法は、クリニックや医師によって異なることがあります。私が行っている方法を解説します。下の写真はフェイスバンドの1例です。
圧迫をしっかり行う
脂肪吸引の後は圧迫を行った方が術後の腫れを少なくでき、効果も高まると考えられます。私は術後2日間は1日中のフェイスバンドによる圧迫を指導しており、それ以降はできる限り(家にいる間や寝ている間)にはフェイスバンドを付けるように指示しています。
3か月間継続してもらっています。
マッサージ・ストレッチを行う
マッサージも指導しています。手術後1週間位より、脂肪吸引をした部分が硬くなってきます。押してほぐしてもらったりして、マッサージするようにしてもらっています。
ストレッチに関しては、主にあご下まで行った時ですが、皮膚にひきつれた感じが出ますので、それを伸ばすようにしてもらっています。
7.頬の脂肪吸引を受ける上での考え方
頬の脂肪吸引を受ける際に気を付けて頂きたいことがあります。誤解されている方もいるので、また失敗しないためにも是非読んでください。
7-1.ほっぺた全体小さくしようと思わない
頬の脂肪吸引と言っても、ほっぺた全体が小さくなって小顔になる訳ではありません。もしほっぺたの脂肪だけがなくなってしまえば、特に骨の残っている部分だけが目立って痩せこけた顔になって老けてしまいます。
頬の脂肪吸引と言いますが、実際に吸引するのは以下の部分です。
吸引する部分に関しては手術前にしっかり医師と相談しましょう。
7-2.笑うと膨らむのは筋肉が動くから!
カウンセリングでお話を聞いていると、笑うと膨らむ部分があるので、それを解消したいと言う方がいます。笑うと(動くと)膨らむと言うのは、中で筋肉が動いているので、膨らんでいます。もちろん、その動きによって、脂肪もあるので目立っていますが、脂肪吸引だけで解決するものではありません。
ですので、多少マシになればいいな、というつもりでいた方が賢明です。
7-3.ほうれい線の横の脂肪は取れるのか?
ほうれい線の横(外側)の膨らみが気になって脂肪吸引して欲しいと言う方が時々いらっしゃいます。確かに、ここの脂肪吸引に関する研究報告(*)もあるのですが個人的にはあまり変化がない部分だと思っています。
私は、診察上、脂肪が多そうだなと思えば手術をお受けすることもあるのですが、積極的には勧めていません。
(*)Surgical softening of the nasolabial folds by liposuction and severing of the cutaneous insertions of the mimetic muscles. Wang J, Huang J. Aesthetic Plast Surg. 2011 Aug;35(4):553-7.
8.頬の脂肪吸引の値段相場
脂肪吸引には色々な種類があるのですが、色々な機械を使ったり脂肪吸引に名前を付けてみても、残念ながら効果に違いはありません。腫れや内出血などのダウンタイム(回復期間)も差がないとされています。
色々な名前の脂肪吸引がありますが、頬だけの脂肪吸引の場合、おおよその相場感は25-30万円です。クリニックによってはこれに加えて麻酔代金や圧迫物品代金が上乗せされる場合がありますので、3-5万円上に見ておいた方がいいかも知れません。
日本ではベイザー脂肪吸引などが効果が高いとか、ダウンタイムが短いとして宣伝されていますが、そんなことはありません。詳しく知りたい方は「ベイザー脂肪吸引を検討したら知っておきたい効果と口コミ」をお読みください。
9.まとめ
頬の脂肪吸引は、脂肪による膨らみを気にしている方にはいい方法だと思います。しかし、効果はすごく大きなものではなく、手術前に担当医とどれ位効果が出そうかをカウンセリングし、腫れの程度やリスクなどを知って、自分に必要かどうかを考えてから手術を受けるようにしましょう。