脂肪吸引をすると「手術後に体重はどのくらい減るのか?」「体脂肪率は何パーセント落ちるのか?」と疑問に思われる方は多いですよね。
また、手術を受ける際の体重制限の有無や、手術後の体重管理はどうしたら良いのかが気になっている方、手術後にむしろ体重が増えてしまい心配されている方もいると思います。
実際には、脂肪吸引の手術では、体重や体脂肪率が減ることはほとんどありません。
しかしながら、ボディーラインの見た目の変化は大きく、脂肪吸引した部位は細くなります。ではなぜ、体重が変わらないのでしょうか?
このページでは、脂肪吸引による体重の変化や、手術前後の体重制限について詳しく解説していきます。
これを読めば、気になる疑問や心配が解消されますので、手術を検討する際にお役に立つはずです。ぜひお読みください。
目次
1.脂肪吸引で体重はほとんど変わらない
脂肪吸引をすると、脂肪を取った部位は痩せたように見えます。イメージですが4-7kgは痩せたように見えるのではないかと思います。しかし、手術後の体重はそれほど変わりません。多少変わってはいるでしょうが、女性であれば数kgは体調によって常に変化していると思います、この範囲内での体重変化程度なのでほとんど気が付かない位の変化しか起こらないでしょう。
見た目ほど脂肪が取れている訳ではない
吸引した脂肪量の測定が難しいというのがあります。ネットを見ていると、二の腕だと両方で300cc~500cc程度の脂肪が取れた、多い場合は1000ccの脂肪が取れたというのが載っていることと思います。
しかし、必ずしも、この脂肪の測定自体が正確に体の中にあった脂肪の量を計測できている訳ではありません。下の瓶のように脂肪が取れるのですが(瓶の上部に滞留しているものが吸引された脂肪です)、どの時点でカウントするかによって計測値が変わってきます。
また、キレイに分離したように見えてもまだこの中に、脂肪ではない液体や血液も混ざっています。遠心分離によって分離するとさらにきれいになります。写真左のようにキレイに見えても、遠心分離すると6割程度になります。
結果、クリニックで言われる『〇〇ccの脂肪が取れました』というのは、実際にはその6割くらいと考えるのが妥当だと思います。
1000㏄の脂肪と言われても、実際には600cc程度で、脂肪の比重をかけると0.54kgの減少位でしょう。2000ccで1.1kg程度、この程度ですので、女性であれば結構正確に体重を計測している方でなければ気づかないのではないでしょうか?
*以上の計算は、当院の施術経験に基づく、おおよその数値です。
通常の体重変動の陰に隠れてしまう
脂肪吸引の手術後には体重変動があります。これは手術した部位にむくみが起こり、水分が溜まる事によって起きます。一時的に体重が増えるという現象が起こります。これが徐々に引いていきます。人にもよりますが1-3ヶ月ほどで落ち着きます。
ですので、脂肪吸引後元の状態に戻るまでに時間がかかり、体重変化に気づきにくいという事が起こります。
また、脂肪が身体の中から無くなるだけでなく、施術部位には瘢痕組織といって身体の空洞を埋めようとしたり、傷ついた組織を修復したりする時に出来ますが、この分の組織の増加もあり得ます。重さは測れないので何とも言えませんが、以上より、脂肪吸引では体重が減ってもほとんど気が付かない程度と言えます。
少なくとも、数千cc取れた!と言われたからと言って、その分と同じgの体重が減る訳ではありません。
“体脂肪率や内臓脂肪”
脂肪吸引で取る皮下脂肪は表面にありますので、体型の変化には影響しますが、量的には上記に説明したとおりであり、体脂肪率もほとんど変わらないでしょう。また、内臓脂肪は脂肪吸引で吸引する皮下脂肪と違いお腹の中にあるものですので取れません。
2.ダイエット(減量)と脂肪吸引の違いとは
一般的なダイエットとは体重を減らすことをメインにしています。脂肪を減らしたい人がほとんどでしょうが、脂肪以外の筋肉なども減っていく可能性があります(ダイエットのやり方によります)。また、個人差はありますが、皮下脂肪・内臓脂肪の減少を含め、身体の全体的に痩せていきます。
対して、脂肪吸引は脂肪を吸い出す事によって、施術局所の皮下脂肪を選択的に減らせますがその他の脂肪は減らせません。
3.脂肪吸引で大きな効果が出る理由
脂肪吸引ではほとんど体重は変わらないと解説しましたが、ではなぜ見た目には痩せたように見えるのでしょうか?
脂肪吸引で吸引する脂肪が皮下脂肪だから
脂肪吸引で吸引して取り去る脂肪は皮下脂肪と言って皮膚のすぐ下にあるものです。身体の奥の方にあるものがなくなるよりも、表面的なものがなくなった方が見た目には細くなったように感じます。
体重が減らないから効果が大きく見える
脂肪は比重が軽いです。脂肪吸引で体重が減らない理由の逆になりますが、仮に脂肪として1kg減っただけでも体型に与える変化は大きく、意外と見た目の変化が見えます。
体重を減らすよりも狙ったところを減らせる
ダイエットしたことのある方は分ると思いますが、体重が増えると気になるところからだんだん増えていきますよね。そして、痩せる時は痩せて欲しくないところから、、、脂肪がなぜ部分的に増えたり減ったりするかは置いといて、自分の好きな場所から減らせないのが一般的なダイエットです。
脂肪吸引は、手術をした部分が細くなるので、気になる部分を重点的に減らすことが可能です。体重が1kg減ると言うのに比べて、例えば太ももから脂肪が1kg分減った方が見た目の変化はかなりの違いが出るはずです。
また、脂肪吸引は局所的に細くなるというのも当然メリットな訳ですが、吸引する場所に強弱を付けたりすることによって、気になる部分を多めに吸引してボディーラインを変えることも可能です。ダイエットでは限界のある部分に対しても脂肪が残っていれば吸引して細くすることが出来ます。
例えば、「どうしても太ももの張り出しが気になる」「二の腕の振袖部分の脂肪が減らない」など、解消することが出来ます。
4.脂肪吸引後に体重を増やさないように
脂肪吸引を行った後も体重は増やさないように努めた方が良いです。ここまで、脂肪吸引後に体重はほとんど変わらないとしましたが、ほとんど変わらないのであって多少は減るはずなのです。
脂肪吸引と体重の関係、リバウンドの関係は議論のあるところですが。興味のある方は「脂肪吸引後はリバウンドが起こります|正しい知識と対策」をお読みください。
体重が増えてしまうと、吸引したとはいえ太くなることもありますし、当たり前ですが吸引した以外の部分が太くなることもあります。体重が増えるということは、体の中で何かが増えているということですので、体重管理はしっかり行いましょう。
1リットルの脂肪を吸引したら1kg減る、2リットルの脂肪を吸引したら2kg減る位に思って体重管理しましょう。
たしかに、脂肪吸引した部分は太くなりにくくなっています(個人差はあります)が、油断は禁物です。
“脂肪吸引後に体重が一時的に増えることがある”
1章でも解説しましたが、脂肪吸引の後は非常にむくみが出やすい状態になっています。これは手術による影響ですが、脂肪吸引した部分に水分が多く溜まりむくみの状態になって腫れています。
普段よりも水分をため込んでいるので、その分の重さが加わり体重が増えることがあります。顔や二の腕、ふくらはぎの脂肪吸引であればそれほど変わらないでしょうが、お腹や太ももなど広範囲で行えば、体重が少し増えることはあります
手術後すぐや、数週間で体重が増えているからといってあまり驚く必要はありません。極端に食べ過ぎず、いつも通りの食事をしていればむくみの状態は解消され、吸引したところも細くなってきます
5.脂肪吸引を受ける事が出来ない体重とは
脂肪吸引は見た目を細くする手術ですが、体重が大きすぎると断られる場合があります。これは施設によって基準が異なりますので、具体的な数字はありませんが、例えば当院ではBMIが30以上の方は身体の脂肪吸引の手術をお断りしています。(BMI=体重kg÷身長cmの二乗)
体重で制限していなくても取る脂肪の量で制限しているクリニックもあります。例えば「5L以上の脂肪吸引は日帰り手術では行わない」というようなものです。逆を言えば体重が重いと5Lを越えてしまうので日帰り手術では出来ない、もしくは部位を減らしてくれと言われる可能性があります。
6.まとめ
脂肪吸引と体重の関係について解説しました。脂肪吸引後に体重が減るのか知りたかった方や、手術後に体重が増えてびっくりした方の疑問の解消になったのではないでしょうか?
脂肪吸引は体重は大して減りませんが、見かけは大きく変わります。検討している方は、メリット・デメリットよく考えて実行されるのが良いと思います。「最高の脂肪吸引を受けるために必ず知っておきたい全知識」のページに脂肪吸引で知っておきたい知識をまとめていますので是非ご覧ください。
なお、解説における見解は、体質・体格等により個人差があることを予めご了承ください。