加齢と共に出てくるお悩みの1つに、ほうれい線があります。
ほうれい線が目立つようになると、それだけで老けた印象になってしまいますよね。
マッサージやお顔のエクササイズを頑張っても、なかなか消えなくて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
美容クリニックで行える、ほうれい線を薄くするための処置は何種類かありますが、今回は、その中でも、ヒアルロン酸注射について解説していきます。
ほうれい線のヒアルロン酸注射の効果やその持続期間、注射によるリスクや料金の相場など、処置を受ける前に必ず知っておくべき情報をお教えいたします。それらをきちんと知っておかないと、せっかく高いお金を払ったのに効果がいまいち実感できなかったり、副作用や失敗で後悔したり、必要以上の料金を払ってしまうなんてこともあるかもしれません。
ヒアルロン酸注射の処置を受ける前にぜひ知っておいていただきたい内容です。
目次
1.ほうれい線の原因
ほうれい線の目立ち方としては二通りあります。1つは窪みとして目立つ場合と、皮膚表面の細かいシワが気になる場合です。もしくはその両方です。
ほうれい線の上にある頬の脂肪が弛んでくる事やほうれい線の部分の脂肪(皮下組織)が減ってくる事で凹凸としてほうれい線が目立ってきます。頬の脂肪が弛んでくると言っても1㎝も2㎝も移動するわけではなくほんの数㎜です。
また、笑うとシワになる部分はほうれい線と一致します。年齢とともに皮膚の弾力がなくなり、薄くなってくる事で皮膚表面のシワも気になってきます。
2.ヒアルロン酸注射の効果
2-1.ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸とは人体にも存在する物質です。体内にあるヒアルロン酸は水分を多く含みお肌のハリを出したりしてくれます。しかし、美容で注射するヒアルロン酸の役割はそうではありません。ボリュームアップとしての作用でしわを持ち上げて、伸ばして消していきます。
また、身体の中にはいると徐々に分解されて無くなっていきます。ヒアルロン酸同士を結び付けている架橋という仕組みによって無くなるまでの期間は様々です。
2-2.ほうれい線のヒアルロン酸注射の効果
ヒアルロン酸を注射する事でほうれい線はかなり改善します。今の年齢が30代なら20代の頃のほうれい線に、40代であれば30代の頃のほうれい線になるようなイメージです。
ただし、完全に無くなる訳ではありませんので過剰な期待は禁物です。特に動くところなので、1週間ほどで多少なじんできます。
2-3.効果の持続期間
ほうれい線に注入するヒアルロン酸の持続期間はおおそよ6カ月です。効果を実感できる期間は4-6か月でしょう。
実はヒアルロン酸と一口に言っても様々な種類があります。あごを出したり、鼻を高くするような輪郭を作るのには硬いヒアルロン酸が向いています。逆に目の周りの皮膚の薄い場所や細かいしわなどの様に繊細な部分には柔らかく調整されたヒアルロン酸が向いています。
柔らかいヒアルロン酸で3-4カ月程度、硬いヒアルロン酸で6-8か月程度で溶けていくと思っていいでしょう。(胸用の硬いものは1年ほどです)
ほうれい線には中等度~硬めのヒアルロン酸を使用する医師が多いと思いますので、6カ月程度でなくなっていくでしょう。ヒアルロン酸はいきなりなくなる訳ではなく、徐々になくなっていきますので、効果の実感とはズレが出て早くなくなった様に感じる可能性はあります。
3.ヒアルロン酸注射の流れ
ヒアルロン酸注射を実際に行う時の流れを示します。
①カウンセリング
医師とカウンセリングを行い、気になっている場所(ほうれい線)の確認や必要本数などを確認します。確認しあった上で処置へ移ります。
②デザイン
実際に注入する部位や気になっているポイントに医師が目印をペンで付けていきます。すぐに消えるペンですので安心してください。
③麻酔
注射には痛みが伴います。麻酔を使用しなくても我慢できる範囲ではありますが、クリニックによって使用する麻酔が違ったりします。美容クリニックで使用する麻酔は以下の2つが多いです。
表面麻酔(塗る麻酔や貼る麻酔)
注入時の痛みは抑えられます。表面のみの麻酔ですので、体の中の痛みは取れません。効くまでに20-30分かかります。表面麻酔の場合はデザインの前に行います
笑気ガス(鼻からガスを吸う麻酔)
酔っぱらった様な感じになります。痛みを抑える効果が人によってかなり差があります。数分で効果が出て、数分で切れるので使い勝手が良く、美容クリニックや歯科でよく使用されます。
④注入
実際の注射へ移ります。お互いに確認しあった部位を改善するようにヒアルロン酸を入れていきます。
⑤終了
鏡で注入後の確認をし終了となります。処置の時間はほうれい線のみの処置であれば10分ほどで終わってしまいます。
4.ほうれい線のヒアルロン酸注射の副作用
ヒアルロン酸自体は体内にもある物質でアレルギーなどの反応を起こす可能性はゼロに近いです。ただし、ヒアルロン酸製品の中には局所麻酔なども入っている場合がありますので、ヒアルロン酸以外のものに反応を起こすことや、注射によって痛みや内出血が出る事があります。
4-1.内出血が出る事がある
注射をすると、微細な血管を傷つけ内出血が出る事があります。数日でなくなるような軽いものから治るまで1週間ほどかかるものまであります。しかし、ほとんどの場合はコンシーラなどで隠せます。
下の写真が大きめの内出血が出た場合です。場所は顎に出る訳ではなく、顎の注射の内出血です。参考にしてください。
内出血の確率をかなり減らす事ができる鈍針(先が尖っていない針)と言うものもあります。
通常の針だと軽いものも含めて内出血が10%位の確率だと思います。鈍針だけ使用した場合は1%以下でしょう。
鈍針は料金がオプションになっていたり、料金に含まれていたりするのでクリニックごとでの確認が必要です。
対処法:一旦内出血が出てしまうと消えるのを待つくらいしかありません。施術後~翌朝位までは冷やせば程度を軽くすることが出来るでしょう。
非常に弱い効果ですが、市販の「ヘパリンZクリーム」を使用してもよいでしょう。血流を良くして内出血が引くのを助けてくれます。
*鈍針は普通の針とは違いますので、向いてる部位や向いていない部位もあります。ほうれい線であれば、骨の上にヒアルロン酸を入れることがありますが、鈍針では向かない場所です。通常の針の方がキレイに注入できる部位もあり、使用に関してはドクターと相談して決めるようにしましょう。
4-2.アレルギーが出る事がる
非常にまれです。ヒアルロン酸自体でなく局所麻酔薬に対するものです。
対処法:施術後に腫れて来る、気分が悪いなどの症状があればすぐに医師、処置を受けたクリニックへ相談して下さい。
4-3.赤くなる、むくむ、硬くなる
一時的ですが、起きることがあります。数日で解消します。
4-4.皮膚の異常
1%程度の確率で、かさつきが出来ることがあります。
対処法:1週間で改善しない場合はクリニックに相談しましょう。
5.ヒアルロン酸注射の失敗
副作用とは別に、何か対応や処置をしないといけないものがあります。
5-1.血流障害(血のめぐりが悪くなり皮膚が変色する)を起こすことがある
非常にまれです。0.01%程度と考えられます。ヒアルロン酸が血管内に注射されたり、血管を圧迫する事で皮膚への栄養が行きわたらず、皮膚が死んでしまいます(壊死と言います)
症状としては、痛みがひどい、鼻付近の皮膚の色が変色する(色は様々ですがすぐに分ると思います)、鼻付近に水泡ができる、などがあればすぐに処置したクリニックへ連絡しましょう。
対処法:すぐにクリニックに受診しましょう。ヒアルロン酸を溶かす注射、血流を良くする点滴や塗り薬など色々な対処法を講じます。
ヒアルロン酸の入れすぎも血管を圧迫するリスクがあり良くないので、ほどほどにしておくのが重要です。
5-2.しこりになる事がある
ヒアルロン酸が溶けずに固まってしまう事をしこりになると言います。医師の腕にもよりますが、何回も入れすぎるとしこりになりやすいです。
見た目にデコボコしていなければ放置してもいいですが、まれに感染(ばい菌が付いて腫れる)する事があります。
対処法:ヒアルロン酸を溶かす注射で対応します。
5-3.感染する(ばい菌が付いて腫れる)事がある
ヒアルロン酸にばい菌が付いて腫れてくることがあります。頻度は1%以下でしょう。
対処法:注射器で膿を吸い出したり、抗生物質を投与したり、ヒアルロン酸を溶かしたり状況に応じて対応します。
5-4.効果が分りにくい、すぐになくなる
効果が分りにくい人が中にはいます。入れる量が少ない場合。頬骨が高く、20代からほうれい線のような段差がある方は効果は出にくいです。
ほうれい線が目立ちやすいタイプの方は処置しても完全にほうれい線が消える訳ではありませんが、老化した分は改善します。
また、初回のヒアルロン酸はなくなるのが早い方がいます。実際に分解されてなくなっているのか、なじんでしまっているのかは分りませんが、経験的にそのような方がいらっしゃいます。
6.ヒアルロン酸注射の料金
6-1.ほうれい線のヒアルロン酸の値段の相場と必要量
ヒアルロン酸の料金体系として、「ヒアルロン酸1本○○円」として売っているクリニックが多いです。中には、「ほうれい線のヒアルロン酸○○円」という値段設定をしているクリニックもあります。
安い所では1本1万円、高い所で1本10万円と値段の幅はかなりあります。相場としては1本4-6万円でしょう。
自分にはどれ位の量のヒアルロン酸が必要か分りませんよね。年齢が同じでも人によって違うので何とも言えません。
あくまでですが、年齢別で目安を立ててみました。
- 20代:気になる人でも1本(1㏄)以下 必要料金の相場:4-6万円
- 30代:1本~2本 必要料金の相場 4-12万円
- 40代:2本程度 必要料金の相場 8-12万円
- 50・60代:2本~4本 必要料金の相場 8-24万円
ヒアルロン酸の量を増やすと料金も増えてしまいます。例えば、2本必要であっても1本のみ使用して軽い改善をすることも可能です。必ず最大限ヒアルロン酸を注入しなければいけないことはありません。
6-2.料金の安いヒアルロン酸がある理由
安い値段で集客して、他のものをすすめる
安い値段のヒアルロン酸で集客して、高い値段のヒアルロン酸を勧める事や、ほうれい線を消すにはリフトアップ手術が必要だと言って、他の手術を勧める手法です。
ヒアルロン酸1本(1㏄)を1万円で行っても赤字ですので、それで丁寧にそのまま施術してくれる訳がありません。
胸用の原価の低いヒアルロン酸を使用している
豊胸に使用するような原価の安いヒアルロン酸を使用している場合は1万円位でもあり得ます。顔の注入しても問題はありませんが、以下のようなデメリットがあります。
- 胸用の荒いヒアルロン酸では細かい操作が出来ない
- しこりになる可能性が高くなる
ほうれい線に使用するヒアルロン酸としては向かないと思います。
0.1㏄単位の表示にして安く見せている
ヒアルロン酸製品は通常1本1㏄が多いです。これを0.1㏄ずつで販売しているところがあります。そうする事で見かけ上安く見えます。
*0.1㏄ずつ販売しているクリニックでの注意点
0.1㏄ずつ販売する事は悪くはないと思いますが、行うのであれば、ヒアルロン酸を別の注射器に移してそれぞれの人で違う注射器で使用する必要があります。
信じたくはありませんが、同じ注射器で針だけ変えて、違う人に注射しているクリニックもあると聞きます。そのようなクリニックにはいかない方が良いでしょう。
糖尿病用のインスリン注射で、針を変えても感染症が移ったと言う報告があります。注射する部位の構造が違いますが、負わなくていいリスクを負う必要はありません。
事前に知る事は困難なので、問い合わせ時やカウンセリングの際に確認するしかありません。処置の時にも違う注射器に移しているのを見せてもらいましょう。
7.ヒアルロン酸注射以外でほうれい線を改善する方法
ヒアルロン酸ほど手軽に、ほうれい線を改善してくれる方法はありません。
自宅で出来るものとしてマッサージや顔の筋肉の運動が推奨されますが、美容クリニックで行うものを紹介します。
レーザー系の処置
多くは超音波やラジオ波と言うものがメインになります。肌を少し引き締めてくれますが見た目に大きく変わることはありません。
ほうれい線や顔の老化に対して予防的な役割も果たしてくれるので、そういった意味で行う価値は十分にあります。
代表的なレーザー機器の名前として「サーマクール」「ポラリス」「ウルセラ」「テノール」などがあります。
糸のリフトアップ
ほうれい線だけの改善効果で言えば、値段やダウンタイム(回復期間)の割に少ないです。直後はいいのですが、3-4カ月でかなり戻ってきます。
よく、直後の写真でこんなに違いますと言う広告を見ますが、騙されない様にして下さい。
フェイスリフト手術
かなり大掛かりなフェイスリフト手術やミッドフェイスリフトと言う手術を行わなければほうれい線は変わりません。フェイスリフト手術と言うのは、耳の前~後ろを切開したるんだ組織を持ち上げる手術です。持ち上げる範囲によっていろいろな名前が付いています。
特に東洋人は骨格上、フェイスリフトの効果の出にくい骨格です。また、フェイスリフトはどちらかと言えばフェイスラインに効果の出しやすい手術です。
1-2時間で終わりますと言うようなフェイスリフト手術では、まずほうれい線は改善しません。
8.まとめ
ほうれい線の見た目を若返らせると言う目的では、ヒアルロン酸注射は非常に簡単で有効な方法です。しかし、極まれですが思わぬトラブルもあります。
信頼できる医師を選び相談する事をお勧めします。